参議院選挙を終えた翌日の7月22日、自分の職場であるマンションのご長老と出勤時バッタリ出会い、今度の選挙の話に花が咲いた。
〇れいわ新選組は身障者や若者に希望を与えた
彼は、れいわ新選組のことを知らなかったようだ。当選した2人の障害者の特定枠での選出については、情報不足でネガティブな考えだった。
何よりもご自身が介護サービス事業会社の副社長を現役で務めているほどの実業家である。
ほとんどSNSでしか情報が得られない、れいわ新選組のこと、テレビや新聞が情報源という年配者にとってはムリもないことだと思った。
その分、SNSに接することが得意だが、保守的と言われている若い人の支持が多いという結果が出た。これは「シルバー民主主義」と揶揄され、選挙に無関心な若者が多い日本にとっては明るい兆しだ。
こんな二つの記事に注目した。
■参院選、10代 投票率31% 全世代より17ポイント低く(東京新聞、7月24日)
全年代平均の投票率48.80%(確定値)より17.47ポイント低い。大型国政選挙で選挙権年齢が初めて18歳に引き下げられた前回2016年参院選に比べ、速報値で14.12ポイント、全数調査による確定値からは15.45ポイント下がった。政治参加を促す主権者教育の在り方が課題になりそうだ。(後略)
〇印象操作する言葉
ときどき選挙のことから話が脱線しそうになることをお許しいただきたいが、日本語は世界一便利で、柔軟性のある言葉だと思う。その良さが悪用される例を見ることが多くなった。
万葉集に、柿本人麻呂の歌で「しきしまの大和の国は 言霊の幸わう国ぞ ま幸(さき)くありこそ」があるように、我らがご先祖たちは、日本を『言霊(ことだま)の幸(さき)わう国』と呼んでいた。
分かりやすい現代文にするなら、「この日本の国は、言霊、すなわち言葉が持つ霊的な力によって幸せになっている国です。これからも平安でありますように」と言っているのだ。
古代の人々は、言葉に霊力が宿ると考える「言霊信仰」を持っており、美しい心から生まれる正しい言葉は、その言葉通りのよい結果を実現し、逆に、乱れた心から生まれる粗野な言葉は災いをもたらす、と信じていた。
翻って現代の日本はどうだろうか。文法の乱れや流行語の多用も問題だが、より深刻なのは、いわゆるネットいじめや、議会のやじ、ヘイトスピーチなどで使われる粗野な言葉だ。
古代の人々は、言葉に霊力が宿ると考える「言霊信仰」を持っており、美しい心から生まれる正しい言葉は、その言葉通りのよい結果を実現し、逆に、乱れた心から生まれる粗野な言葉は災いをもたらす、と信じていた。
翻って現代の日本はどうだろうか。文法の乱れや流行語の多用も問題だが、より深刻なのは、いわゆるネットいじめや、議会のやじ、ヘイトスピーチなどで使われる粗野な言葉だ。
■総理の言葉の軽薄さ
ときの首相がこんなことでは世の中は乱れる。民主党政権が「悪夢のよう」とか、枝野立憲民主党党首を過去所属した政党の民主党と言い続けるのも作為性を感じる。
■参議院選挙の結果評価
「勝利者なき選挙結果」といわれる今回の参議院選挙だが、安倍首相は信任を得たので改憲を進めると言っている。
マスコミの報道では自民党、公明党、日本維新の会を合わせた改憲勢力が「3分の2を割った」ということが真っ先に喧伝されているが、これもある意味では言葉のマジックだ。
多くの国民は改憲を優先して議論して欲しいとは思っていないということだ。
参院選の比例区で自民党に投票したと回答した人に限っても、「社会保障」が39%で、「外交・安全保障」21%、「教育・子育て」20%、「景気・雇用」14%。「憲法改正」は4%だった。
参院選の結果、与党と日本維新の会などの「改憲勢力」の議席が、改憲発議に必要な3分の2に届かなかったことには、43%が「よかった」と答えた。「よくなかった」は26%だった。内閣支持層では「よかった」が31%で、「よくなかった」43%の方が多かった。不支持層では「よかった」が66%で、「よくなかった」14%だった。
安倍政権のもとでの憲法改正には「賛成」31%で、「反対」46%を下回った。今後、安倍首相が進める政策には「不安の方が大きい」が55%で、「期待の方が大きい」32%を上回った。前回2016年の参院選後の調査で同じ質問をした際の「不安」48%、「期待」37%と比べても、「不安」が増えた。当然の結果だと思う。
自民党も公明党も得票数を減らしている。特に自民党は単独過半数だった議席を失った。
令和初の国政選挙となった第25回参院選は、自民党が改選前から9議席を減らした57席に。一方、自民にと連立を組む公明党は、改選前より3議席を増やして14議席を獲得した。さすがの結束力である。
だが、比例区の得票を見ると、あろうことか前回の参院選よりも103万票も減っている。これは、一体どうしたことか――。
今回、公明党が獲得した比例区の得票数は653万63356票である。前回の第24回参院選(2016年7月10日投票)は757万2960票、〆て103万6624票が減ったことになる。
ちなみに自民党の得票は1,771万票で、前回から240万票減らしている。似たようなものに映るかもしれないが、公明党はこれまで、強固な学会という組織票に支えられ、何が起ころうと揺らぐものではなかったのだ。600万票台となったのは、実に27年ぶりのことなのである。
■自公とも3回続けて得票減 安倍首相「年末解散」はあるのか(日刊ゲンダイ、7月24日)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/258950の記事の一部から。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/258950の記事の一部から。
3年前の参院選で自民が比例で獲得したのは2,011万票だったが、今回は1,771万票と240万票も減らしている。堅固な集票組織を持つ公明も100万票減の653万票だった。17年衆院選も含めれば、自、公とも、3回連続で得票を減らしている。組織が弱体化しているのは明らかだ。
自公が得票を減らす一方、野党は踏ん張っている。今回の立憲民主の791万票と、国民民主の348万票の合計は、1,139万票で、前回、民進党が取った1,175万票とさほど変わらない。共産は150万票減らしたが、他方、れいわ新選組が228万票を獲得。議席を得た野党トータルの得票数では、2,552万票から2,510万票とほぼ横ばいなのだ。今回、投票率が前回比5.90ポイント減の48.80%だったのに、野党は得票数をキープしているのである。
「野党が敗北したのは、選挙協力が中途半端だったことも要因です。32ある1人区こそ一本化して10勝しましたが、複数区はバラバラに戦ったために取りこぼしもあった。野党が共闘していれば、北海道、東京、大阪、兵庫で自民でなく野党が最下位当選できたはずです」(政治評論家・山口朝雄氏)とある。見方を変えれば全然違った選挙結果となる。
■左翼ポピュリストとは
ところで、早速、れいわ新選組のことをマスコミは「左翼ポピュリスト」とレッテル貼りをしたが本当にそうなのだろうか。
今、左翼とか右翼とか、保守とか中道・革新とか、リベラルと現実主義とか、言葉の意味を失っている時代だ。自分が若いころは、保守と革新という分け方が一般的だった。保守の代表は自民党、革新は社会党と共産党だったが、今では逆に保守は野党、革新が与党という感じだ。
しかし、革新という言葉を希望とか前向きの意味で使っていたときと今は違う。国民の意見が二分しているような大きな課題を生煮えの状態で法案を可決するのが、「革新」とは言わない。それは一般的に「暴挙」とか「暴走」と言う。
ある人が「日本人を分けるのに右翼・左翼ではなく愛国か売国かで分けると非常に簡単だ」と言っていたが、なるほどと感心したことがある。
ここでも愛国者と売国奴の概念は人によって違う。自分は米国に日本の国益よりも米国の利益を優先するような属国まがいの考えをしている人たちを売国奴だと思っている。
「反日」も、真っ先に自虐史観や中国や韓国のことに理解がある場合に使われていることが多いのにも違和感を感じる。
■忖度とは
そして、「忖度」という言葉はすっかり悪役に定着したが、「気配り」という日本人の「おもてなし」に繋がる相手の気持ちを察し配慮するという美徳の言葉として、決して悪い意味ばかりではなかったはずだ。
れいわ新選組の代表・山本太郎は逆に、その忖度という言葉を「国民に忖度します」とうまく選挙に利用した。うまい!
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犯罪が起きると、これまで使っていた言葉が悪意に満ちた言葉に変わることも嫌だ。
「闇営業」なんて、何時から使われていたのだろうか。「アルバイト」と言えばいいのではないか。そして、「ニート」と表現すればいいとばかり思っていたのに、犯罪が起きた途端に、「ひきこもり」という言葉に統一されたようだ。
だったら、「少女売春」を「援助交際」と呼ぶのは止めようよ。
次回は「れいわ新選組4」最終回。政策を見ていきたいと思っています。
次回は「れいわ新選組4」最終回。政策を見ていきたいと思っています。