れいわ新選組も最終回。前作と大分間隔が空いてしまった。その間、ようやくマスコミでも少しづつ取り扱われるようになってきた。参議院でたった2議席得ただけの小政党。しかも党首には議席がない。それが日本を変えるパワーを秘めている。興味深い現象だ。
8月5日(月)のBS・TBSの「報道1930」(画像)は山本太郎代表が生出演し、政権奪取構想を述べていた。
大衆の情念をすくい上げる田中角栄(写真左)と、知的なタイプの政治家の大平正芳(写真右)と両輪だったように、前者のタイプの山本太郎氏と後者の誰か組めば、鬼に金棒というわけだ。ソニーの盛田昭夫と井深大、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫という例もある。
その知的なタイプの政治家は立憲民主党代表・枝野幸男だというのだ。それには異論もあるだろうね。慌てて探す必要はない。候補者はたくさんいそうだ。
〇NHKから国民を守る党(N国党)との違い
たまたま政党要件を満たさない2つの党が、今度の参議院選挙で政党として認められたからという理由だけで、一緒くたに扱われていることが腹立たしい。全然レベルが違う。
NHKに関するだけの、ワンイシューで選挙に勝った「NHKから国民を守る党」(略称:N国党、以下N国党)だが、同じ2013年に結党し、前回2016年の参院選挙比例区で646,393票を取った「支持政党なし」(略称:支持なし、以下支持なし」と極似している。
「NHKをぶっ壊す!」だけのスローガンで、国会議員になれるなんて信じられない。
それでも、N国党の動向は無視できない存在だ。2013年に発足したN国党は現在、27人の地方議員を抱える。立花氏は当選後、一般に政党とみなされる党所属議員5人を満たすために、12人の国会議員に白羽の矢を立て、まず、北方領土をめぐる戦争発言で日本維新の会を除名された、丸山穂高衆院議員(35歳)を入党させ、安倍総理と近い渡辺喜美参院議員(67歳)と統一会派を組むことになって、実はN国が改憲勢力だということが明確になった。さらに、パワハラ問題などで悪名高い安倍チルドレン・石崎徹衆院議員(35歳)や、立憲民主党から離脱したセクハラ疑惑のある青山雅幸衆院議員(57歳)にも声をかけていて、主義主張に関係なく、政党助成金を求めて誰でも入党させようとしている、けじめのない危険な政党である。
N国、幹事長に上杉隆氏 都知事選へ立候補検討(8/10、共同通信)という記事が
上杉氏は、立花氏も出馬した2016年都知事選で落選した。
総会で立花氏は「国会で右も左も分からない状態で、実際は上杉氏が全部動いている」と、党運営で同氏から支援を受けてきたと説明した。次期衆院選で比例代表の全11ブロックに候補者を擁立する方針も表明した。という。ちょっと驚きの人選だ。
〇れいわ新選組の凄さ
〇れいわ新選組の凄さ
■国民に寄り添う本気さ
安倍内閣の登場によって言葉の持つ意味が変わったり、何よりも言葉が軽薄になった。国語が成り立っていないし、とても言っていることが信じられない。
安倍首相は「国民に寄り添う」という言葉をしきりに使っているが、真反対のことをしている。
通勤時、参院選の残骸というか、まだポスターが貼られていた。(画像)自民党のポスターだが、見るとこんなことが書いてある。「都民に寄り添う政治」-本当にそんなことを考えているのだろうか。
野党にしても既得権者のエリートばかりで、「国民に寄り添う」と言うのが口先だけだったように思い知った。
山本太郎は真剣にそんなことを考えていると思う。それが第一のポイントだ。
彼の政策を聞いて、今まで、消費税、最低賃金、公務員の数などについて、固定概念に捕われ、思考停止していた自分を恥じた。
別にアジ演説に酔ったわけではない。しかも、既得権者にとっては大騒ぎだろうが、現実的な政策だと思う。
彼の凄いところは、いつも野党の欠点として指摘されていた、何でも反対ばかりではなく、対案に対する数字的な裏づけがあることだ。
■統計のウソ
自分は統計が好きで、仕事でも統計を使って何度もプレゼンテーションを行ってきた。
人から話を聞く場合、ごまかす可能性があります。その点、数字はウソをつかない。どこにムダがあるのか、どこが弱いのか、どこを強化したらいいのかがわかる。
数字を見れば企業が抱えている問題の7割は分かります。もちろん、残りの3割は数字だけでは分からないので、現地にも行きます。
要するに印象操作ではなく、正確なデータで物事を捉えることが大切だということである。
しかし、元の数値が改ざんされたり、途中から母集団を変えると、過去のデータと連続性が失われる。そして、都合のいいところだけを使う統計は「正確なデータ」とは言わない。安倍内閣はその禁じ手を使った。実は、数値を振りかざして自分に都合のいい考えに誘導するのは簡単なことだ。それは、ほとんど誰も元の数字を知らないし、検証できないからだ。
景気がいいとか、所得が増えた、雇用が改善したとか統計を交えて言われると、実感は無いが「そんなもんかな」と思ってしまう。自分のところだけ景気は通り過ぎ、所得は増えず、そして失業していたりすると、とかく人は自分自身が置かれた不遇を責めるものだ。
そうではないことが、山本太郎の説得力ある説明でバレてしまった。どうして、これまで野党はもっと統計を駆使して政府に反論できなかったのだろうか。
■弱者と若者に夢を与えたこと
れいわ新選組は、「一億総活躍時代」というスローガンが、人の価値を生産性だけで物差しを測る息苦しさに風穴を開けた。
そして、世界一の少子高齢化が進み、格差拡大、移民に対する不安、消費税増税、年金破綻…。どう見ても日本のお先は真っ暗にしか思えない若い世代に夢と希望を与えたことが大きい。「消費税廃止」、「最低賃金全国一律1,500円」。「奨学金徳政令」という政策がそうだ。
若者が選挙に行かない理由をさして分析せず、政治と芸能をごっちゃ混ぜし、「パンとサーカス」で若者を釣ってきたことが白日の下にさらされた。
■消費税廃止という政策の快挙
右図、今や青山学院大学経営学部客員講師を務める、お笑い芸人の中田敦彦(36歳)のYouTube大学がそのいきさつを詳細に、かつ分かりやすく解説している。
この図を見ると、何のことは無い、消費税は財政の健全化を図るためではなく、お金持ちと、大企業を優遇しただけで、税としては消費税が、所得税と法人税のマイナス分で相殺されてチャラになっているだけではないか。
消費税も輸出業者は還付税として反って利益を得ていたり、課税売上高が1000万以下の場合は免税されるとか、簡易課税なども抜け穴があるのではないかと思っていた。
そして、物品のどれをとっても税率が同じであれば、所得が多い人も少ない人も生活必需品について購入額はそんなに変わらないということは、低所得者にとって不利になり、消費税、所得税、法人税、配当課税、どれをとっても富む人はどんどん富み、格差社会になるのが目に見えていた。
現在の立憲民主党や国民民主党に在籍する連中も、消費税については歯切れが悪いはずだ。
何しろ増税を言い出したのは民主党政権の菅直人や野田佳彦。初代の鳩山由紀夫は4年間は増税しないと約束していた。
増税問題で民主党政権が割れ、挙句の果て、自民党と増税の約束をして、誰の眼にも敗退が分かっていた破れかぶれ解散したのだから。それこそ悪夢の時代だった。
そして、新聞各社も歯切れが悪い。自分たちだけ生活必需品と称して、早々と定期購読の新聞を軽減税率の対象とし、増税据え置きにしているのだから。ずるいよ、ずるいよ。
ついでにいうと、「軽減税率」というのもいやらしい表現だ。これも印象操作をしていると思う。「増税据え置き対象」という言葉で十分だ。
マレーシアのマハティール政権が消費税廃止を公約にして政権を取ったのは耳に新しい。今年の6月1日から実行している。(画像)
これまでは、消費税は増やすか留めるかばかりに目が向いていたが、抜本的に見直すという政党が出てもおかしくないことには気が付かなかった。
安倍政権のお陰で、お金持ちは十分潤ったはずだ。そろそろ、大多数の庶民が本当に報われるような政治を期待したい。