下図は、少し古いが、2009年、マイボイスコムが発表した、映画に関する調査結果。
それによると、調査母体においてはこの半年間に映画館で映画を観ていない人は4割強に達していることと、それらの人の「観ない理由」としては「料金が高い」がもっとも多く、「観に行くのが面倒」「お金をかけてまで観たい映画が無い」が続いている。
映画館と映画そのもののが現在抱えている問題を象徴しているようなデータともいえる。
■料金が高い
映画館に行かない理由の第一位に挙げられている「料金が高い」というのは同感だ。
現在の映画館の入場料金はほとんどが大人1800円、3D作品になればプラスの料金がかかる。
1950年の映画料金は64.6円だったそうだ。以降、1970~79年の10年間の間に324円から958円になり、2018年現在では1800円の料金設定になっている。1950年に比べて27.9倍だ。(左グラフ)
それを、消費者物価指数動向を考慮した上で、1950年の映画観覧料を計算し直すと、534.8円。現在はその3.4倍ほどに相当することになる。
ただし、1970年代以降は映画の観覧料は実質的にほぼ変わらず、料金は安定しているという見方も出来る。(右グラフ)(70年近くにわたる映画観覧料推移をグラフ化してみる 2018/05/20ガベージニュース参照)
前作では、1960年代から映画会社が行った地盤沈下への対応の一部をお伝えした。
しかし、その結果、全般的に映画の質が落ちるとともに、1970年代からは、収入の低下の挽回策を、お決まりの「料金の値上げ」に求め、悪魔のサイクルに陥ったといえる。
日本の映画館料金は世界の国々と比べて高いのだろうか。
世界的にも物価が高い北欧で1,500円から1,700円代が平均料金。
莫大な製作費をかけることで有名な映画大国であるアメリカでさえ、6ドルから7ドルで映画チケットを購入することが出来るという。日本円に換算するとだいたい600円ぐらい。
ヨーロッパの映画産業の中心になっているフランスも同等の料金設定にされているそうだ。
やはり、世界一高い料金だといえそうだ。菅官房長官、携帯料金だけでなく、映画料金にもメスを入れた方が良さそうだよ。![]()

ほぼ「全国一律料金」というのも問題がありそうだ。海外では、新作映画でも観客がニーズとお財布と相談して映画館を決めることができるところもあるようだ。場所や設備が全く違う映画館で同一料金?これって確かにおかしいよね。
そして、映画館での映画鑑賞料金が高いと言われる理由としては、金額そのものが高額なのだということの他に、料金に見合ったサービスが提供できていないということが挙げられます。
だいたいの映画館に行くと、映画本編の前に約10分ほど予告編や広告が流さる。既に高額な映画鑑賞料金を支払わされている上に、延々と続く広告を見させられるのはおかしいと思う。(映画館離れの原因?日本の映画鑑賞料金が高すぎる問題参照)
これには、ちょっとした恥ずかしい思い出がある。
当時は大人気で、タイタニックを観ないと話の仲間に加われないほどの人気ぶりだった。
ここは、噂のシネコンだった。暗い施設内に入ると何館もあり、入り口に番号札がある。その番号を間違えた。
それにしても随分長い予告編だなと思っていたら、すでに本篇が始まっていた。映画の途中でようやく館を間違えたことが分かり、這う這うの体で退散した。それで、タイタニックの前半の映像は見ていない。
セリーヌ・ディオン/映画「タイタニック」主題曲「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」(1997年)
■観に行くのが面倒
映画が家庭で見られるようになった。自分はオーディオの営業をしていたが、ステレオもオーデイオ不況の打開策として、1980年代には、音楽+映像の世界に突入した。
その起爆剤はパイオニアのレーザーディスク。
フィリップスとMCA(米映画会社)が開発を断念した光再生方式のビデオディスクのパテントをMCAから取得し、「レーザーディスク」のネーミングで販売にこぎ着けた。
競合は日本ビクターを中心とする13社のVHD連合。一方のパイオニアは、まったくの孤立無縁の崖っぷちに立たされた。
主要商品のミニコンポは、AVアンプにセンタースピーカーとスーパーウーファーを加え、リアースピーカーの左右2台とともにテレビにつなぎ、いわゆる「ホームシアター」として、家庭でもハイファイで臨場感に富んだ映画を楽しむことが出来るようになった。(写真)
展示会では、ドルビーサラウンド搭載のハイファイ・ビデオのテープか、レーザーディスクを使い、デモンストレーションを行う。
レーザーディスクを使ったのは、西部劇の形式を踏襲したアメリカのアクション・ロックの、この映画だった。そのレーザーディスクも2002年に生産が終了。今や、パイオニアも這う這うの体の経営だ。
映画「ストリート・オブ・ファイヤー」より「今夜は青春」(1984年)
■お金をかけてまで観たい映画が無い
歴代の観客動員数で、2000年以降でベストテンに入っている映画を見ると、8件もある。しかも、日本映画が半数で、洋画が圧倒的に多かった時代とは異なっている。(Wikipedia 参照)









その感覚は、娯楽が多様化したことにあるのかも知れない。昔は映画本数も映画館も多すぎたのだろうか。
●閉館する映画館の歌
「ありがとう」は、FUNKY MONKEY BABYSの21枚目にして最後のシングル。
お笑いコンビ・ウッチャンナンチャンの内村光良(54歳、写真)が起用された。内村が脚本・監督を手がけた、2013年3月公開の映画『ボクたちの交換日記』の主題歌となっている。
MVでは、客足が途絶え、閉館する映画館の映写技師を内村が熱演。
撮影は山梨県石和市にある映画館テアトル石和(写真)で行われた。
FUNKY MONKEY BABYS/サヨナラじゃない(2013年)
続く。