黒柳徹子の特集を始めていつの間にか5作目になった。日野原重明氏から続く「アンチエイジングの星」の生き方として何か参考になればと思っていたが、調べれば調べるほど彼女の生き方の凄さを知ることとなった。
彼女がこれまで超一流の現役で過ごしてきたのには当然、ワケがある。
その一つは、「人生一度何かを決めたら、飽きない性分」だということだ。今まで「退屈」をしたことがないという。同じ道を歩いていても、その途中で、季節の変化を感じたり、何か新しいものを見つけたりするのだ。
その源泉となる好奇心を保つ秘訣は、黒柳徹子【その3】でも記したところだが、「人でも自分でも、無理に『こうだ』と決めつけない」ことだ」。「価値観って、人それぞれだから、一般論に振り回されことはない」という。
この本にはたくさんの人が登場している。その出会いの多さに驚くが、記憶力の確かさにはなお驚愕する。そして、もちろんたくさんの人にただ会っているだけではない。そこにあるのは多くの「気づき」である。正にその「気づき」が彼女をここまで育てたのだと思う。
彼女のアラフォー時代は見た目のことより、精神的なことに夢中だった。「『もっと知的になりたい』『知性のある人と話がしたい』とか。だから絵を観たり、展覧会に行ったり、本を読んだり、そういう『心磨き』に夢中だったような気がする」という。
こんなことも言っている。
「自分の個性は自分が一番分かっているものね。個性を、さっさと自分で極めてしまえば、まわりの雑音に惑わされなくなるから、ラクよ」(中略)
「個性を磨こうとするときに、一番邪魔になるのが、虚栄心ね。(中略)『自分をよく見せよう』とか、『これを持っていないと悔しい』とか、そういうレベルの見栄とか虚栄心を、つい持ってしまうかも知れないでしょう?(中略)
「まずは、人と自分を比べないこと。ありのままの自分を、受け入れること。能力以上に良く見せようとか、そういうことを考えなくなれば、争いごとも減るだろうし、世の中もっとうまくいくのに、と思います。ただし努力は必要!」(中略)
「人と自分を比べるのは無意味なことだけど、自分が置かれている状況がいかに恵まれているかを知ることは、虚栄心を排除することにつながるかもしれません。生きることは大変だし、難しいんだけど、『日本はなんて自由なんだ』『自分は仕事があって、人に必要とされているだけでも幸せだ』って思えば、生活なんて、つつましくてもいいんじゃない」
閑話休題。先に図書館で借りた「徹子ザ・ベスト」と書いたが、その貸出期限は1月14日(日)ということもあり、この回を以って黒柳徹子特集の最終回としたいが、そのテーマは「黒柳徹子の結婚観」である。
黒柳徹子、84歳、未婚である。
2013年12月26日放送のNHK総合テレビ『あさイチ』で「これまでに2・3回程結婚を考えたことがあり、お見合いや出会いがあったが、タイミングが合わなかった」と話した。そして「誰かを信頼して、好きだと思える人がいることはこういう仕事をしていく上で大事。今はいません」とし、「茶飲み友達がいたら良い」と話した。また、「昔は年上が好きだったが今は年下が良い」と話したが、「今は友達が居れば良い」と話した。そして、タイプについて質問されると「尊敬できる方」と話し、「私は欠落しているところが多いから知的な人が良い」と語った。また、後のインタビューで「結婚を諦めたわけではない」とも語っている。(Wikipedia )
「徹子ザ・ベスト」でも「婚活(?)の思い出」を語っている。
「私が人生で最初に結婚を考えた相手は、脳外科医で、男ばかりの兄弟の長男でした。知人の紹介でお見合いをしたんですけど、特にお母さまが、とっても女の子を欲しがっていた」そうだ。実は彼女はお見合い相手よりも彼の父君の方に惹かれていたという。
ところが、もうすぐ結納、という時期のこと。ちょうど仕事場に、離婚歴のある作曲家の先生が来てこんなことを言った。
「結婚したら、その相手とずっと一緒に暮らすわけだから、何かひとつ嫌なところがあったら、やめておいた方がいいね」
「それで、母に『私、(結婚するの)やめる!』と言い、母もあっさり『そうね、その方がいいわね』って」
「恋愛の経験を積んだうえで、結婚しようと思った人もいました。その人は、私にこう言ったんです。『結婚生活なんて、きっと、面白くないと思うよ。ご飯がうまく炊けなかった…と思うと、気になっちゃうしね。第一、君にも、まだどんな才能があるか分からないし、いろいろやってみるといいんじゃないかな』
彼女と噂になった人は多い。この辺のことは「黒柳徹子の恋愛遍歴&恋人は誰?隠し子疑惑の父親は飯沢匡?」に詳しい。
しかし、本命は40年も続いた外国人男性との遠距離恋愛だったのではないだろうか。
そのお名前はブルガリア出身で世界的に有名なピアニスト、アレクセイ・ワイセンベルク(2012年、82歳で没、写真)。
その恋人が亡くなってしまい、結婚のタイミングを失ってしまったようだ。
昨年の12月22日に最終回を迎えた、テレビ朝日系のテレビ番組「トットちゃん!」。
そこでは、来日した“恋人”カール・祐介・ケルナー(城田優)から連絡を受けた徹子(清野菜名)が、急いで葉山のホテルまで向かい、掛け替えのないひとときを過ごす。そして今度は徹子が祐介の元を訪れると申し出るも、祐介はある決意を胸に秘めていた。
祐介の体に何が起きたのか、「離れていても愛し合える」と互いの愛を固く信じ合ってきた2人。その後、徹子があらためて祐介のスイスにある別荘へと向かうと…という物語だった。
彼女とカール・祐介・ケルナーの出会いは、東京オリンピックの1964年10月10日の夜、乃木坂のカレー屋。ナンが売り切れていて、手つかずでナンを残していた外国人客に「ナンをちょうだい」話しかけたところ、彼に下品とたしなめられるところから始まった。その7年後の1971年にトットちゃんがニューヨーク留学をし、そこで城田優さん演じるカール・祐介・ケルナーと再会し、恋が動き出している。
ドラマの設定では、外国人恋人のカール・祐介・ケルナーは日本人とのハーフという設定だったが、実際は、ブルガリア出身のワイセンベルクと彼女は英語でやりとりをしていたそうだ。
当時、彼はパリに住んでいた。1969年(40歳)には、ワイセンベルクは初来日している。それから何度も来日し、1982年(53歳)には、「徹子の部屋」に出演しているという。
年に1~2度しか会えなかったというが、どこで会っていたかについては不明だ。
いずれにしても、彼女は恋愛を含め、多くの人たちとの出会いと別れを経験し、「気づき」を積み重ねてきたようだ。