「人は見た目が9割」(竹内一郎著、2005年、新潮新書、写真)がベストセラーになるご時世、9割とまでは行かないにせよ「第一印象」が大切なのは、音楽も一緒である。
●シンバル
間違いなく大ヒットする予感がして、その通りとなった。
彼女は同年フランス映画「Cherchez l'idole(アイドルを探せ)」に出演、主題歌となった「La plus belle pour aller danser」(邦題は映画タイトルと同じ「アイドルを探せ」、フランス語原題は「踊りに行くのに一番の美人」という意味)を歌い、ハスキー・ボイスと容貌でたちまちスターとなる。
彼女はデビュー後56年経った今も現役で、今年の9月にはフランス・パリのオランピア劇場で公演。フランス主要都市を巡演する予定である。
これまで20回近く来日しているが、滞在中のラジオ・インタヴューで、これほど長い間現役で活動することが出来るそのモチベーションを保つ秘訣を聞かれて、「変化すること」「常に新しい事にチャレンジすること」 と言ったという。何時までも前向きな人生だ。(Wikipedia参照)
シンバルだったら素人でも分かるが、「出だし」におやっと思うものの、その「楽器名」が分からないことが多い。
●オートハープ
この曲もつい最近まで楽器名を知らなかった。
拙ブログ・私が選んだ日本のフォークソングベスト5で、五つの赤い風船の「遠い空の彼方に」の伴奏にヴィブラフォンを使っているのを紹介したが、その際、以前から気になっていた、彼らの代表曲の「遠い世界に」の出だしの楽器を調べたてみたらオートハープ(写真)だというのが分かった次第である。
オートハープという楽器は知らなかったが、一連のコードバーを持つ弦楽器で、その名前にもかかわらず全くハープではなく、むしろツィターだという。
オートハープは、アメリカではブルーグラスとフォークの楽器として使用されてきた。
最も有名なのは、1927年から1943年まで活躍した、カーター・ファミリー(The Carter Family) の メイビル・カーターとサラ・カーターによって使用されたことである。(写真ではサラ・カーターが持っている)(Wikipedia参照)
五つの赤い風船/遠い世界(1969年)
パーカッションはこんなにあるが、音楽ではいろんな楽器が混ざっている場合が多いので、何を使っているのか分かりにくい。
●カスタネット&カウベル
オールデイズの定番曲「リトル・ダーリン」は、1957年にモーリス・ウイリアムス(ザ・グラジオラスのリーダー ) が作詞・作曲したドゥーワップ調のR&Bで、同年に自演のレコードをリリース、全米11位だったが、これをカナダのオンタリオで1953年に結成された4人組・ザ・ダイヤモンズがカヴァー、軽快な曲調に加えて愉快なパフォーマンスが受け、本家を押さえて1957年の夏には6週間連続全米2位の大ヒットとなる。
ここで使っているカウベル(写真)とは、牛(カウ)などの家畜の首に付ける、金属製の鐘鈴(ベル)のことである。楽器として用いる場合には、そのまま用いる場合と、改良して用いる場合がある。いずれも、打楽器、体鳴楽器に分類される。中の舌をなくし形も四角く角張らせ、口がつぼまるよりもむしろ開口部が広くなったような形をしたものが、特にラテン音楽で多用される。この楽器は手に持つか専用のホルダーに固定し、木製のばちなどで叩いて音を出す。(Wikipedia参照)
●ギロ
ウーゴ・ブランコ(2015年、74歳で没、写真)はベネズエラの有名なアルパ奏者。1958年に発売された「コーヒールンバ」(Coffee rumba)は世界的にヒットした。
ウーゴ・ブランコ/El Cigarron(1962年)
●板ムチ
NHK大河ドラマ「赤穂浪士」(1964年)の原作は、大衆文学の重鎮である大佛次郎の同名の大作「赤穂浪士」。主役の大石内蔵助に大映の看板俳優で後に国民栄誉賞を受賞する長谷川一夫(1984年、76歳で没、写真)を担ぎ出し、歌舞伎界や新劇界の大物、歌謡界の人気アイドルまでも起用し、前作「花の生涯」を上回る豪華キャストの競演で話題を集めた。
赤穂四十七士たちの討ち入りを決意するまでの苦悩や葛藤、彼らに関わる人々の思惑などを1年間かけてじっくりと描き出す大河ドラマならではのストーリー展開で、その結果視聴率は優に30%を超え、浪士の討入りが放送された回には視聴率53.0%という大河ドラマ史上最高視聴率記録をも打ち立てた。
ここでは、芥川也寸志(1989年、63歳で没、写真)のテーマ曲も話題となった。この曲は芥川が新東宝映画『たけくらべ』(1955年)の主題曲を使い回ししたものだったが、板ムチ(写真)によるビシッ、ビシッという音が討ち入りの厳しさを感じさせ、視聴者の共感を得て、レコードも発売された。現在でも「忠臣蔵といえばこの音楽」というイメージが定着している。(Wikipedia参照)
ストリングス パープル・クリスタル/「赤穂浪士」テーマ曲(1964年)
●ヴィブラフォン
最後は奇しくも「時の人」坂本九(1985年、43歳で没、写真)の代表曲。
その中の一人が坂本九だった。
2012年2月の社長就任以来、社長として6回目の慰霊登山となったJALの植木義晴社長は午後1時26分すぎ、山頂付近にある「昇魂之碑」に献花した。
「事故以降に入社した社員が94%になり、当時事故を経験した社員はたった6%。われわれの使命は事故を風化させることなく、事実をしっかりと心に刻み、安全運航に全力を尽くすこと」と、安全への誓いを新たにした。
「上を向いて歩こう」(別名:スキヤキ、SUKIYAKI)の作詞は永六輔(写真左)、作曲は中村八大(写真右)。
ところが、矢崎泰久「わが青春の永六輔」によると、「上を向いて歩こう」は60年安保闘争で亡くなった「樺美智子に捧げる鎮魂歌のつもりだった」、ヒットして、「永さんの胸中は複雑そのものだった」とある。
後に数多くのアーティストによってカバーされ、いまだに外国人によるモノマネのネタにもされる。坂本の突然の航空機事故死や永六輔のメモリアルソングとしても、よく用いられる。
イントロで使っている、ヴィブラフォン(写真)がマリンバや木琴と大きく異なる機能は、共鳴パイプの上にファンが電気モーターによって廻っており、それによって音のふるえ(ヴィブラート)を起こし、この楽器特有な甘い音色を出すところで、ヴィブラフォンという名前で呼ばれるのは、ここに起因する。
坂本九/上を向いて歩こう(1963年)