朝の通勤時間に、駅でそれらしき女性の着物姿を見ることが多くなった。
以前は朝鮮学校の学生だろうか、チマチョゴリの服装(写真)を見るのがこの時期の風物詩だったが、嫌韓とかが喧伝されたころから、いわれなき罵声やいじわるを警戒したのか、最近は見かけることが少なくなった。
なにしろ、嫌中・嫌韓を教育している幼稚園があるというのには驚いた。いつから日本は中国や韓国に対する戦時体制に入ったのだろうか。
●卒業式の時期(あれいつ?.com参照)
小学校の卒業式は、全国的に3月17日(金)、3月24日(金)が多く、他には3月16日(木)、3月18日(土)、3月23日(木)に行うところもあるようだ。
中学校は、3月10日(金)、3月15日(水)、3月16日(木)が多いが、授業時数と各都道府県の高校入試日が考慮されているので、小学校よりも日程にばらつきがあるようだ。
高校は、3月1日(水)以降、第3週までに行われる学校が多く、その日程は小学校・中学校に比べると更にばらつきがあるようだ。
そして、大学は3月23日(木)、3月24日(金)など、3月下旬、とくに3月25日前後に行うところが多いようだ。
●各国の卒業式(日本と違いすぎ⁉ 海外の学校の代表的な卒業式はこんな感じ!参照)
■帽子を投げる!イギリスの卒業式 (日本と違いすぎ⁉ 海外の学校の代表的な卒業式はこんな感じ!参照)
高校までは学校によってさまざまだが、大学の場合、卒業式は通常、学校のなかで行われることはなく、シアターなどを貸し切って行われる。卒業式で着るガウンや帽子は、自分で用意してくるのではなく、このシアターで借りるのが普通とのこと。
卒業式が終わったあと、卒業生みんなで集まって帽子を投げる(写真)のが昔からの習慣のようだ。
■卒業式での激励スピーチ
卒業式でのスピーチを聞いてもなかなか記憶に残るものは少ない。
そのなかで特筆されるのが、アップル社の創業者・スティーブ・ジョブズ氏(2011年、56歳で没、写真)の母校、スタンフォード大学卒業式(2005年)での「伝説のスピーチ」(映像)。
題して「死はおそらく生物にとって最高の発明です」(駒澤大学准教授・山口浩氏翻訳)
もし今日が人生最後だとしたら、今日やろうとしていることを私は本当にやりたいだろうか?」その答えが「ノー」である日が続くと、そろそろ何かを変える必要があるとわかります。(中略)
自分がそう遠くないうちに死ぬと意識しておくことは、私がこれまで重要な選択をする際の最も重要なツールでした。ほとんどのものごと、外部からの期待、自分のプライド、屈辱や挫折に対する恐怖、こういったものの全ては死に臨んでは消えて無くなり、真に重要なことだけが残るからです。(中略)
誰でも死にたくありません。たとえ天国に行きたいと願う人でも、そこに行くために死にたいとは思いません。しかし、死は、私たち全てが共有する行き先です。かつてそこから逃れた人は一人としていません。そしてそれはそうあるべきことなのです。(中略)
あなた方の時間は限られています。他の誰かの人生を生きて無駄にしてはいけません。ドグマにとらわれてはいけません。それは他の人たちの思考の結果と生きることだからです。他人の意見の雑音に自分の内なる声がかき消されてしまわないようにして下さい。
そして最も重要なことですが、あなたの心や直感に従う勇気をもって下さい。心や直感は、あなたが本当は何になりたいのかすでに知っています。他のことは全て二の次です。
■卒業式についての考え方の日本との違い
日本では卒業式というと、雰囲気は厳粛、そして今まで過ごしてきた学校や仲間たちと別れる日という、しんみりとした寂しいイメージがあるが、イギリスやアメリカなどの欧米では、そうものではなく、卒業は今まで自分たちが学業を頑張ってきた成果となる日、つまり明るくハッピーなもの、というイメージが強いようだ。
●卒業ソング
これは、朝日新聞、3月12日号 卒業ソング、みんなで歌って涙… それって日本だけ?
卒業式のシーズン。皆さんにも胸にほんのり残る「卒業ソング」があるでしょう。先生に怒られたり、友だちとケンカしたり、恋に破れたり……。甘酸っぱい青春の日々を思い出しつつ、口ずさんでみませんか。
「歌は世につれ」といわれるが、100年以上歌い継がれてきた卒業ソングといえば「仰げば尊し」だろう。日本に伝わり、1884(明治17)年、小学唱歌集に掲載された。原曲は不明だったが、米国で出版された歌集に同じ旋律があったのを桜井雅人・一橋大名誉教授が6年前に発見した。
同じく「蛍の光」も明治時代に小学唱歌になった。原曲はスコットランド民謡。歌詞の冒頭は中国の故事「蛍雪の功」に由来する。
両曲とも中高年の支持が高い。だが「仰げば尊し」は2番の歌詞を卒業式で歌わない学校もあるという。「身を立て名をあげ」の部分が立身出世を強い、今の時代に合わないからという理由らしい。
それにしてもなぜみんなで歌うと感動が増すのか。
『声の文化史』(2016年、成文堂、写真)の著書がある早大国際言語文化研究所研究員でフリーアナウンサーの原良枝さん(58歳)は「声は、身体の中を巡ってきた呼気が発するもので、生々しい身体の一部。そこには霊的なものも含まれている。同じ歌を歌う安心感や、声をそろえて歌い上げる達成感が広がり、感動となっていくのではないか。感動が共振するのが卒業ソングなのだろう」と語る。
最近の卒業式では生徒の希望を尊重し、Jポップなどさまざまな歌が歌われている。
コンピューターの音声合成技術「ボーカロイド」から生まれたバーチャルアイドル初音ミクの「桜ノ雨」(映像)も、10代の間では卒業ソングの「神曲(かみきょく)」とされ、人気が高い。
卒業をテーマにした「大人のJーPOPカレンダー」(3月編)を出した日本コロムビアの担当ディレクター(50)は「昔の卒業ソングは『つらくても苦しくても一緒に歩いていこう』みたいな連帯感があったが、いまの若者は引いてしまうのでは。
ネットや携帯電話の普及で別れの意識も変わっている」と言う。
とはいえ、オリコンのランキングに、30年以上前に発表された尾崎豊の「卒業」(1980年、映像)が入っているのはおもしろい。学校や教師に反発しながらも全身でぶつかっていく「熱さ」を感じさせる歌である。26歳で生涯を閉じた尾崎が生きていれば51歳、どんな卒業ソングをつくるだろう。
テレビドラマの影響も大きい。武田鉄矢が中学教師を演じた「3年B組金八先生」の主題歌「贈る言葉」(1979年、映像)は、実際の卒業式でも歌われてきた。
みんなでともに涙し、歌うというのは日本独特のセレモニーかもしれない。一般社団法人「日本記念日協会」(事務局・長野県佐久市)の代表理事、加瀬清志さん(64)は言う。
「日本人は、日々の暮らしや人生に一つ一つ意味づけをして、目標をクリア(達成)していくのが好きな『クリア人』。卒業ソングも記念日と同じように通過儀礼的な意味合いがあるのではないか」
放送作家時代、担当していたラジオ番組の中では松任谷由実の「卒業写真」(1975年、映像は山本潤子の歌)や斉藤由貴の「卒業」(1985年、映像)をよく選曲した。
「1970~80年代の卒業ソングは、恋も別れも人生も、学校を舞台にした青春ど真ん中の歌という感じだった。だが最近は歌詞が抽象的というか形容詞が多い。励まし合うフレーズだけが独り歩きしているものが目立つ。学校の影が薄くなっているのではないか」と指摘する。
●卒業ソングの新定番
現代の卒業ソングの新定番は「旅立ちの日に」だ。
1991年に埼玉県秩父市立影森中学校の当時の校長であった小嶋登により作詞、作曲は、音楽教諭の坂本浩美(現・高橋浩美)。編曲は、多くの合唱曲を手掛けている松井孝夫(影森中学と直接的な関係はない)だった。
小学校、中学校、高校、大学の卒業式、印象が薄かったということだろうか、全く思い出せない。大学は学園紛争のあおりで無かったのかもしれない。
自分にとって「卒業式」とはこの先に待ち構えている、「人生の卒業式=死」のことに思いを馳せることしかないのか。