最近の政治や企業の不祥事を見て分かるように、トップが判断を過つことは往々にしてある。
●そこで「側近」の役割が重要なのだが、「側近」には3つのタイプがある。
1.トップのイエスマンに徹する。
■1945年、ドイツの敗戦が決定的になったとき、ナチス総統・アドルフ・ヒットラーの指名により首相に就任した。しかしゲッベルスは「総統は私にベルリンを去って、新しい政府に首班として参加するよう命じた。私は初めて、総統に従うことを断乎として拒否する」として、「無条件に死に至るまで彼(ヒトラー)の味方になる」ため、「無用な生を、総統の傍らで終える」ことを表明して、妻と子6人とともに自害した。(Wikipedia 参照)
2.「側近政治」と言われるが、参謀が実質的に権限を握り、裏でトップを操る。
■道鏡(772年、72歳?で没)は文武天皇4年(700年)に 河内国若江郡(現在の大阪府八尾市)に生まれた。若年の頃、法相宗の高僧・義淵の弟子となり、良弁から梵語(サンスクリット語)を学んだ。禅に通じていたことで知られており、これにより内道場(宮中の仏殿)に入ることを許され、禅師に列せられた。
天平宝字5年(761年)、平城宮改修のため都を一時近江国保良宮に移した際、病を患った孝謙上皇(後の称徳天皇、770年、52歳で没、画像)の傍に侍して看病して以来、その寵を受けることとなった。
天平宝字7年(763年)に少僧都に任じられ、翌年天平宝字8年(764年)には藤原仲麻呂の乱で太政大臣の藤原仲麻呂が誅されたため太政大臣禅師に任ぜられた。翌年には法王となり、仏教の理念に基づいた政策を推進した。
神護景雲4年(770年)に称徳天皇が崩御すると後に、造下野薬師寺別当(下野国)を命ぜられて下向し、赴任地の下野国で没した。(Wikipedia 参照)
祈祷によって取り入った事、姦通説や巨根説が唱えられた事から、ロシア帝国のグリゴリー・ラスプーチンとの類似性が、しばしば話題となる。
ロシア帝国最後の皇帝となった、ニコライ2世(1918年、50歳で没、写真)の要請を受け、1907年、血友病患者であったアレクセイ皇太子の治癒に当たった。医師たちはラスプーチンの能力に懐疑的だったが、彼が祈祷を捧げると、翌日にはアレクセイの発作が治まって症状が改善した。血友病を治癒したことで、ラスプーチンは皇帝夫妻から絶大な信頼を勝ち取った。
奇怪な逸話に彩られた生涯、怪異な容貌から怪僧・怪物などと形容される。ロシア帝国崩壊の一因をつくり、歴史的な人物評はきわめて低い反面、その特異なキャラクターから映画や小説など大衆向けフィクションの悪役として非常に人気が高く、彼を題材にした多くの通俗小説や映画が製作されている。
ボニーM/怪僧ラスプーチン(1978年)
3.トップの不足した部分を補い、サポート役に徹すること。
江戸時代の大久保彦左衛門や、中曽根内閣の後藤田正晴官房長官がそうだったと言われる。
■大久保彦左衛門こと、大久保 忠教(1639年、79歳で没、画像)は、戦国時代から江戸時代前期の武将。江戸幕府旗本。
『三河物語』の著者としても知られる俗に「天下のご意見番」として名高い忠教であるが、旗本以下の輿が禁止された際に「大だらい」に乗って登城したという逸話や三代将軍・家光にことあるごとに諫言したなどの逸話は後世の講談や講釈の中での創作である。これは太平の世に著書『三河物語』が当時の体制に不満を持っていた武功派の武士たちに支持され、いわばヒーローとして祭り上げられた結果ともいえる。
いわゆる講談や講釈で知られるようになった「大久保彦左衛門と一心太助の物語」は鶴屋南北の弟子・河竹黙阿弥が書いた歌舞伎芝居に脚色してからである。
一心太助は実在の人物で、若いころ大久保彦左衛門の草履取りだったといわれるが、実は架空の人物だったというのが定説である。
職業は魚屋。神奈川県小田原の老舗魚問屋・鮑屋の主人がそのモデルだとされている。義理人情に厚く、江戸っ子の典型として描かれることが多い。
それは、大久保彦左衛門の皿を誤って1枚割ってしまった腰元お仲が手討ちで殺されそうになるのを、一心太助が知る。一心太助は彦左衛門の前で残りの皿7枚を割り、彦左衛門がお仲および一心太助を許す。一心太助は、お仲と結婚し、武家奉公をやめてお仲の実家の魚屋で働くこととなる。その後も、彦左衛門に意見し協力することとなるというものだ。
山田太郎/男!一心太助
中曽根内閣で創設された内閣官房6室制度発足の場で、内閣官房長官の後藤田が、部下である初代の内閣五室長に対して与えた訓示を、「後藤田五訓」という。内容は次のとおり。
- 出身がどの省庁であれ、省益を忘れ、国益を想え
- 悪い、本当の事実を報告せよ
- 勇気を以って意見具申せよ
- 自分の仕事でないと言うなかれ
- 決定が下ったら従い、命令は実行せよ
内閣官房長官時の1985年、中曽根康弘総理大臣の靖国神社公式参拝を翌年から中止させ、日中関係の危機を救ったことで知られる。
■源氏鶏太原作で、1951年から1952年まで週刊誌「サンデー毎日」に連載された『三等重役』を映画化した、森繁久彌が主役を演ずる『社長シリーズ』(1956年〜1971年)。
奔放な社長を諫める真面目で頑なな秘書役を演じた小林桂樹(2010年、86歳で没、写真)もそんなタイプだった。
上記で良いと思われるのは、もちろんNo.3である。
しかしこれには条件がある。トップに苦言を受け入れるだけの器量があるか、またそういう部下を採用、登用する眼力があるかということだ。
誰しも耳に心地よいことは嬉しいし、受け入れやすい。孤独に陥りやすいトップにとって、自分が推進しようとしていることに同意してくれる側近ほど頼りになる部下はいないだろう。
そこに悪魔がささやいていることに気が付かないのである。そして「裸の王様」になる。
政権は長くなると必ず腐る、あるいは暴走する。最近の不祥事を見ていると、安倍内閣もその例に違わない。
第二次内閣は2012年12月に発足したが、大量に生まれた119人の安倍チルドレンが、次の選挙で残存率87%と淘汰もされず、陣笠議員として残っているのもその一つの原因かもしれない。
今の自民党は、まるで大政翼賛会のようだ。
多分、やりすぎだとか間違いだとか思っている良心的な議員もいるのだろうが、大きな声にならない。
こんなのであれば、議員定数はもっと削減すべきだ。
●側近に関して、次の名言がある。
〇自分より優れたるものを自分の周りに置きし者ここに眠る。 アンドリュー・カーネギー(1919年、83歳で没、写真左)
〇側近を見れば、君主の頭の良し悪しが分かる。 ニッコロ・マキャべリ(1527年、58歳で没、画像右)
●最近話題になっている政治は「側近政治」による弊害と見ることも出来る。
トランプ大統領しかり、朴槿恵元大統領しかり、安倍首相も、はたまた石原元都知事もしかりである。石原元都知事が、自ら暴露するとは思わなかった。
誰が本当の大統領なのか? 高まる“トランプ側近政治”の懸念 (CURUTURE、2017.2.13)
ドナルド・トランプ大統領の右腕、スティーブ・バノン(現在63歳、写真)の名前を聞いたことがある人も多いだろう。毀誉褒貶の激しいこの人物が、軍事・外交の最高意思決定機関「NSC」のメンバーになる。しかも、軍と情報機関のトップよりも格上で、だ。
1月下旬にドナルド・トランプ大統領が、一部イスラム教国からの旅行者や移民の入国を制限する大統領令を発令した。それ以来、この命令をめぐってさまざまな混乱が生じている。ざっと並べてみても、下記のような状況だ。
• 全米各地の空港で抗議デモが発生
• 100社以上の企業が大統領令に反対する法的意見書を提出
• 命令に異議を唱えたイェーツ司法長官代行が解任される
• 国務省幹部らが抗議
• 一部の欧州各国の首脳が大統領令を公然と批判
混乱や摩擦を数え上げていったら切りがないという状況だ。(中略)
こうした混乱が生じた主な原因として指摘されるのは、ホワイトハウスの首席戦略官で大統領上級顧問の任にあるスティーブ・バノンだ。トランプ大統領の側近中の側近とされるバノンは、もともと「ブライトバート・ニュース」というオルタナ右翼のオンラインニュースサイトで責任者を務め、世に名前を知られるようになった人物である。トランプ大統領の選挙戦では参謀役となり、当選後には戦略担当補佐官として政権移行チームに参加、閣僚候補の選定などに携わったという。
しかし、「ニューヨーク・タイムズ」(NYT)など報道各紙はバノンをたんなる側近とは見なしていないようだ。
NYTは1月末、「真の大統領はバノンか?」と題した記事を発表。米版「GQ」や政治専門メディア「ポリティコ」にも同じ主旨の記事が載った。
そんなバノンの右腕に、スティーブ・ミラー(写真)という人物がいる(肩書きは「大統領上級顧問」)。
バノンとミラーは大統領就任演説の草案作りに関与するとともに、就任直後から矢継ぎ早に発せられた大統領令の準備も中心になって進めたとされる。
一連の大統領令は、その多くが関係省庁にほとんど事前説明なく発令されたものだった可能性が高く、少なくとも入国制限令については説明がなかったという指摘が「Vox」に掲載されている。これは、トランプ大統領本人も了承した上でバノンら腹心が仕掛けた「奇襲攻撃」といえるだろう。
このVoxの記事によると、移民法に詳しいわけでもない二人がまとめた草案には当然不備があった。しかし、この大統領令の執行にあたる国土安全保障省(DHS)にはフィードバックの機会がほぼ与えられず、さらに「グリーンカード(永住権)取得者は対象から除外されるのではないか」というDHS関係者の解釈もバノンに拒絶されてしまったという。
ここからが問題だ。そんなバノンが、国家安全保障会議(NSC)のメンバーに起用されることが決まったのだ。これにより、NSC内では統合参謀本部議長(軍人のトップ)と国家情報長官(CIAなど情報機関のトップ)の位置付けが事実上格下げとなる。この異例の人事が大きな波紋を呼び、「ワシントン・ポスト」や「ウォール・ストリート・ジャーナル」といったメディアが危機感を伝えるに至った…。(続く)
朴槿恵を笑えない安倍首相の側近政治! 原発推進もTPPも一億総活躍も70年談話も裏にひとりの人物の入れ知恵が (リテラ、2016.11.12)
安鍾範(アン・ジョンボム)・前大統領府政策調整首席秘書官やチョン・ホソン元付属秘書官など、朴大統領の側近秘書官たちが逮捕された後も、新たな疑惑が次々と噴出。朴政権は完全に機能停止に陥っている。
この事件が韓国に激震をもたらしているのはもちろんだが、韓国と同じくらい大騒ぎしているのが日本のメディアだ。ワイドショーは連日トップ扱いで、朴大統領がいかに崔容疑者に操られていたか、崔容疑者にどんな人脈が連なっていたかを大きく報じ、コメンテーターたちは「日本ではあり得ない事件」「日本より遅れた二流国家だから」「まるで韓流ドラマのよう」などと発言をしている。
しかし、韓国で起こっていることは本当に「日本ではあり得ない」ことなのか。
実は、日本の総理大臣・安倍晋三(現在62歳、写真)についてもかなり前から、ある人物に「操られている」という指摘がなされてきた。
その人物とは、本サイトでもたびたび報じてきた総理首席秘書官の今井尚哉氏(現在58歳、写真)。
今井秘書官は経済産業省出身の元官僚で、第一次安倍政権で内閣秘書官を務めて以降、安倍首相と急接近。第二次安倍政権で、5人の秘書官を統括する首席秘書官をつとめているのだが、永田町ではいまや“影の総理大臣”とまでいわれるくらい、大きな力をもっているのだという。
「今井さんは安倍首相の行動日程やスピーチ原稿をすべて仕切っているのはもちろん、政策決定プロセスにも大きく関わっている。安倍首相がメリットも実現性もないTPPに前のめりになったのも、原発再稼働にやたら熱心なのも、今井秘書官の入れ知恵が大きい。安倍首相は何かを決めるとき『今井ちゃんがこう言ってたから』というのが口癖で、経済や外交の重要政策は今井氏に必ず相談して、ほとんど今井氏の言う通りにしている。細い詰めも全部今井さん任せ。その仕事の任せ方は全権委任に近く、その影響力は盟友と言われる菅義偉官房長官や麻生太郎財務相よりもはるかに大きい」(政治評論家)
実は、今井氏の側近政治については、過去に月刊誌や週刊誌で何度も記事になっている。
たとえば、「文藝春秋」(文藝春秋)2015年12月号は「首相を振りつける豪腕秘書官研究」(森功)と題するルポで、これまでの安倍政権の重要政策に、いかに今井秘書官が深く関わってきたかを官邸関係者の証言をもとにつまびらかにしている。
その代表が、アベノミクスの三本の矢だ。同記事で官邸関係者がこう証言している。
「前の三本の矢もエール大学の浜田宏一名誉教授の金融緩和や京大の藤井聡教授の国土強靭化計画を取り入れ、実際の政策に落とし込んだのは今井さんでした。総理に対し、『一年後はこうなって、五年後には、こうなる』とプレゼンをすると、『さすが今井ちゃん、なんて頭がいいんだ』となる」
また、安倍政権は安保法制を強行採決した直後、これからは経済に重点をおくとして「新アベノミクス」「一億総活躍社会」をぶちあげたが、これも今井秘書官の発案で「今井さんは経産省の素案を受け取ってから事実上、 一〜二日で新アベノミクスを仕上げました」との証言が同誌に掲載されている。しかも、このとき、今井秘書官は「今度のアベノミクスは、安保から国民の目をそらすことが大事なんです」とうそぶいたという。
どうも、この首相側近は単純な政策提言だけではなく、政局運営や世論誘導まで仕切っているらしいのだ。実際、14年11月の消費増税先送りを名目にした電撃的な衆院解散も今井秘書官がシナリオを書いたものだ。「文藝春秋」にはこの舞台裏に関する証言も掲載されている。
「総理の外遊に同行していた今井さんは十月初め、ASEAN会場のミャンマーから一人抜けて帰国し、現財務次官の田中一穂さんに消費増税先送りの直談判をしています。(略)その報告を受けた総理は、豪州からの帰りの飛行機で今井さんをそばに置き、麻生太郎財務大臣を説得した。そうして今井さんの描いたスケジュールに沿って解散を決めたそうです」
今井秘書官は外交にも深く関与し、2015年夏の「戦後70年談話」も手がけている。周知のように、70年談話は、表向き謝罪の姿勢の継続を示しながら、「子や孫、先の世代に謝罪を続ける宿命を負わせてはならない」とする詐術的なものだったが、これも「文藝春秋」によれば、〈「二十一世紀構想懇談会」の報告書を下敷きにし、事実上、今井が談話の原稿をとりまとめている。ドイツサミット後の六月から、原稿作成に着手し、安倍と直接やり取りをしながら、三度ほど書き直した〉ものだったという。(中略)
まさに、影の総理という評判がぴったりの驚くべき暗躍ぶりだが、しかし、今井秘書官による側近政治を指摘しているのは「文藝春秋」だけではない。複数の週刊誌が同様の問題点を指摘している上、今井秘書官が安倍首相を囲い込んで、コントロールしている実態まで明らかにしている。(中略)
原発にTPP推進……こうしてみると、国家への悪影響という意味では、文化政策を私物化した崔容疑者よりも、むしろ今井秘書官のほうが問題が大きいとさえいえるのではないか。
しかし、安倍首相からの恫喝にすっかり萎縮しきった日本メディアは自国で起こっているこうした事態を決して報じようとはしない。お隣の国の国家スキャンダルを嬉々として報じている場合ではないと思うのだが。
「灯台下暗し」だったね。