お好み焼きは全国的には、広島と大阪でしのぎを削っている。店舗数は大阪府がトップだが、図のように、人口1万人当たりの店舗数では広島県がダントツの一位である。
全国ではどうだったか知らないけれど、戦後間もないころ、自分のふるさとでは、お好み焼きは普通におやつとして食べていた。
しかし、今と形は違い「薄焼き」と呼ばれ、クレープ状の生地にネギとわずかな野菜をのせて焼き、それを半月状に折りたたみ、醤油やウスターソースを塗って薄皮と呼ばれる木の皮にのせていた。
当時から専門のお好み焼き屋もあったが、お店で買って帰るときは、それを新聞紙にくるんでた。
キャベツを入れるようになったのは、おやつ感覚のものからお腹を満たすものへと変えるため、ネギの代わりに安いキャベツを入れたところ、ボリュームも出て美味しくなった。シャキシャキの食感がキャベツと良く合う。 こうして、定番の組み合わせが誕生したのだという。
もちろん、広島県でも当時から「関西風お好み焼き屋」はあった。今でも健在のようだが、「徳川」というお店だ。
以来、客が自分で混ぜるのが関西風だと思い込んできたが、関西でもお店が調理してくれるのがあるんだね。
下の映像が古くからある「徳川」のCMだ。♪サッサとサッサッサとかき混ぜまして、ま~るくま~るく作りましょう。(中略)お好み焼くなら徳川へ~ 友達たくさん作~りましょう~♪ と歌う。
なお、「モダン焼」というのは「大阪のお好み焼に焼きそばを混ぜたもの」の俗称で、大阪でも古くからのお好み焼屋にとっては、メニューとしては邪道なので、焼きそばのないことが多い。
<広島風お好み焼きの特徴>
1.マヨネーズや溶き辛子などは塗ったりしない。
もちろんソースはちょっぴり甘い、地元の「オタフクソース」(写真)である。ウースターソースではお好み焼きに沁み込んでしまうから、と開発されたお好み焼きの必需品。
2.豚肉、タマゴ、そばを加えた「肉玉そば」が基本メニューである。
3.ピザ切りは許せない。格子切りこそが正統である。
4.食べるときは箸ではなく、「ヘラ」を使う。大阪では、「テコ」か「コテ」とも言う。(写真)
鉄板から直にヘラで食べるのが王道。
<お好み焼きの雄・みっちゃん>
前作日本のお好み焼き文化でも紹介したみっちゃんは、広島県内に約2000軒あるとされる広島風お好み焼き屋の元祖の一つである。
大きく分けて総本店系・新天地みっちゃん・いせや系の3つに分かれている。新天地みっちゃん・いせや系は総本店の暖簾分けとされる。
自分はみっちゃんには2回行ったことがあるが、広島駅ビルは総本店系で、広島空港内はいせや系であることを今まで知らなかった。
さまざまなアイデアやひらめきを盛り込むことで現在のお好み焼の原型へと変化させていった井畝満夫氏(写真)の功績は「みっちゃん(井畝満夫)のお好み焼き発明大辞典」で明らかにされている。
ヘラを使うようになったのも彼の考案のようだ。
元は屋台からスタートしたが、皿を洗うには水を汲みに行かなければならないし、割り箸も高価だった。鉄板の上でヘラを使って食べれば、皿も割り箸も使わなくてすむと考えた『みっちゃん』は、お客さんに「こうして食べたら美味しいよ」と、このスタイルをすすめた。珍しいスタイルをお客さんもおもしろがり、あっという間に人気となっていったという。(写真は戦後間もない屋台時代の「みっちゃん」)
<広島名物・お好み村>
今、お好み村には2階から4階まで25店舗が入っている。
自分も広島にいたころ何度も行ったが、地元民でも一度ならずとも行くべきだと思っている。
思い出すのは赤ヘル以来広島カープが強いころ、優勝したときはいつもテレビでお好み村の中継が入っていたことだ。
*①広島駅新幹線口を出発して、⑥原爆ドーム、⑦平和公園を経由して、⑪お好み村へ到着。
広島駅から約20分。原爆ドームから約10分。平和公園から約5分。
広島に来たなら、一度ならずとも本場のお好み焼き屋さんに行きんさい。
忘れられんようになるかも知れんよ
広島出身のPerfumeが東京で広島風お好み焼きを作る