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この世界の片隅に

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 昨年末、ららポート横浜にあるTOHO CINEMASに行き今話題の映画を見た。自分の故郷をテーマにした映画を見ない手はないだろう。

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 こうの史代さん(48歳)の原作の漫画で、自分の故郷、広島県・呉市を舞台にした
片渕須直監督のん能年玲奈、23歳、写真)主演のアニメ映画「この世界の片隅に」(写真)

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 ところどころニュアンスの違うところも感じたが、呉弁の温かいイントネーションも
出身者としては心地よい。

 のんが声で演じる主人公すず結婚して広島から呉に移り、次第に戦時体制の強まる日常の中でひたむきに生きるや、市井の人々の様子がとても美しく丁寧に描かれている。

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戦艦「大和」を建造した軍港都市の呉は何度も米軍から焼夷弾(写真)を落とされ焦土と化す。

 祖父は呉の海軍工廠に勤めていた戦艦「大和」の建造に加わったことが自慢だったそうだ。呉海軍工廠参照)

 母方の祖父は呉の防空壕で亡くなった。家族は広島県の田舎に疎開して辛酸を舐めたという。自分はその疎開地で生まれた。

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 母によると呉からも広島の原爆のキノコ雲(写真)が見えたそうだ。
そして終戦。

 少なくとも広島県人であれば、原爆と共に絨毯爆撃を行い多数の民間人を殺戮した米軍に怒りを覚えるのが自然だと思う。

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 ところが、1952年に建立された原爆死没者慰霊碑の石碑前面には
「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と刻まれている。(写真)

 この「『過ち』は誰が犯したものであるか」については、建立以前から議論があったという。本当は「原爆を投下したのは米国であるから、過ちは繰返させませんからとすべきだ」というのが正しいだろうが、アメリカの占領下、当時は許せないことだったのは容易に想像できることだ。

 地元だけに映画で現実が容易に想像できる。涙が止まらない。嗚咽をこらえるのが精一杯だった。

 当たり前の日常をあっけなく奪う、それが戦争だとこの作品は教えてくれる。
 
 戦争がなかったら…と思う。自分の家族もどれだけ幸せだったことだろうか。



 すずが呉で住んでいたところは、長ノ木というところ。映画で使われた地域も実在の場所で懐かしさが込みあげて来る。

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 何でも「全国斜面都市連絡協議会」という団体があり、12都市(小樽、函館、横須賀、熱海、尾道、、下関、別府、長崎、佐世保、北九州、神戸)が加盟しているという。坂の多い都市のことだ。
 
 は坂道が多い。長ノ木も山のふもとにある。

 バスで「長ノ木循環」(図)というのが走っていて、東中央4丁目で降りる。

 子供のころはこのバスによく乗ったものだ。お墓は江原町にあり、親戚は郷町にある。長ノ木は身近な存在だった。

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 そこを登った先にある呉のシンボルとされる灰ヶ峰(標高737m)は、第二次世界大戦中は軍港呉を空襲から守るための海軍の高射砲施設があり、一般人は立ち入り禁止であった。頂上の展望台は元高射砲台の基部が使われている。また現在、気象庁の無人測候所のある平坦部は終戦後すぐは進駐軍のレーダー基地だった。

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 映画の中で、背後の橋の上を1967年に廃止された路面電車(写真左)通過して行くが、これは堺川に架かり現在も残る「堺橋」写真右)
 


 自分は中学生のころ住んでいたところだが、にある相生橋西詰の北側の朝日町一帯(これは上図に載っていない。呉医師会病院の近辺)に、かつては関西一の規模を誇ったという、「朝日遊郭」があり、登場人物の一人、「二葉館」の遊女である白木リンが住んでいた。

 すずがヤミ市に砂糖を買いに出かけた帰りに、道を間違え遊郭に迷い込んでしまい、そこでリンと出会うシーンだ。

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 また、すずが嫁ぎ先の北條家から呉の街に出るときに、必ず前を通過する、同じ形の蔵が3つ並んでいる「三ツ蔵」(写真)があるが、旧澤原家住宅であり、中国地方を代表する大規模商家の一つである。

 映画の主人公、浦野すずの実家がある広島・江波地区は、天満川本川(太田川)に囲まれた三角州の南東部にある。映画では、草津とか古江という地名も出て来る。

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 NHKテレビ「ぶらタモリ」で年末に再放送していたが、この地域は江戸時代まで海だったようだ。干拓を重ねた末、今のような土地になった。

 広島も大学時代を過ごしたところ。懐かしい気持ちで一杯だった。


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