超高齢社会を迎え、日本老年学会は、医療の進歩などで健康的に生活できる期間が延びていることから、現在65歳以上とされている「高齢者」の定義を75歳以上に引き上げたうえで、現在は「高齢者」とされている65歳から74歳までの人たちについては新たに「准高齢者」と位置づけ、健康な間は仕事を続けたり、経験を生かしてボランティアに参加するといった活動を後押しするなど、活力のある社会をつくっていく必要性を強調している。
彼は、次のように世代別の呼称の定義を変えて、各世代を若返らせることを提言している。
少年:5~17歳、成年:18~34歳、壮年:35~74歳(定年は75歳に変更)、老年:75~99歳、百歳者(センテナリアン):100歳以上
65歳以上が全人口の4分の1以上となり少子高齢化が進んだ日本で、健康な老人を活用しない社会はおかしいと思う。
日本老年学会のワーキンググループの座長を務める、大内尉義医師は「この20年ほどで老化のスピードが遅くなり、今、高齢者と呼ばれる人は生物学的に5歳から10歳ほど若返っているという。
しかも下図によると、65歳の人の余命は男性で19.46歳、女性は24.31歳。男性で84歳、女性は89歳。健康な高齢者に、この期間「家にいてじっとしていろ」というのか。
本日(1/7)の朝日新聞の天声人語。題して「波平さんの若さに驚く」
65歳を過ぎて自慢のチキン調理法を教える商売を始め、大当たりした。
「65歳までに手に入れたことを結集すれば新しいスタートが切れる」
90歳で亡くなるまで働き続けた彼の言葉だ。
「さび付くよりすり切れる方がましだよ。じっとしていてさび付くより身を粉にしている方が好きなんだ」
65歳から74歳を「高齢者」から切り離して「准高齢者」と呼んではどうか――。医師や研究者らでつくる学会が提言した。いわく脳の働きや歩く速度、要介護の認定率などからみて、以前より健康な人が増えた。ゆえに「高齢者」の定義を見直すべきだという
学会の発表資料に登場したのが『サザエさん』の父波平さん。いまの感覚では70歳ほどに見えるが、実は54歳という設定だった。
漫画の連載が始まった昭和20年代の54歳はあんな雰囲気だったか。一昔前まで55歳が退職定年だったことを思い出す
心身の衰えるスピードは人により大きく異なる。誰もがカーネルおじさんのように最晩年まで働きたいわけではない。
それでも60代半ばからの黄金の10年を「現役世代の続き」と位置づける発想にはうなずく人も多いだろう
提言では65歳から上が准高齢者、75歳以上が高齢者、さらに90歳以上は超高齢者とされた。敬老の日も3通り必要になるのだろうか。
以前にも言ったことがあるが、老化に伴うことで一番怖いのが病気と認知症だ。
●昨年末に退職して以来、家にいることが多い。自分はお酒が好きなだけにこれが怖い。
これも朝日新聞2016年12月7日号(老いとともに)退職・別れ…酒に頼りがちに
退職や身近な人の死別などをきっかけにアルコール依存症になる高齢者が増えている。年を取ると同じ飲酒量でも若いころより酔いやすく、アルコールとの付き合い方を変えていく必要がありそうだ。
■昼酒続けて依存症に
「入院して初めて、自分が依存症だと認めることができた」。東京都内の男性(69)は振り返る。(中略)
(60歳まで勤めた会社の)退職後は昼から飲み始めることが増えた。飲んでふらつき、転んで頭をけがしたことも。禁酒を試みたこともあったが、長続きしなかった。
2014年1月、自宅で血を吐き、救急車で搬送された。アルコール依存症と診断され、家族の希望で専門病院に入院した。
アルコール依存症は単なる大酒飲みとは異なり、「自分の意思で飲酒をコントロールできない」「生活に支障をきたす」などの特徴がある。
男性の場合、依存症との自覚はなく、診断に納得できなかったという。「いつでも酒をやめられる」。医師にはそう反論していた。
だが、入院中、患者が集まる「自助会」に参加し、色々な体験談を聞いて意識が変わった。「酒の害は死に至る。いまがやめどきだ」と思えるようになった。
退院後、自助グループの一つ、全日本断酒連盟(東京)に加盟する、自宅近くの断酒会に入会。飲酒の誘惑が多い夜は会合に参加し、断酒の目的を共にする仲間と過ごすようになった。会合では一人ひとりが体験を語る。吐血後の手術のつらさや、家族にかけた迷惑を思い出し、毎回気持ちを新たにする。
昼間はマージャンや囲碁、スポーツクラブに出かけ、夜は断酒会に参加し、生活のリズムをつくることを心がける。家族も協力してくれる。妻は断酒会に出かける前に毎日午後4時半に夕食を準備してくれ、息子は親戚との宴席に付き添って酒を飲まないようにしてくれた。「もう少しすれば、夜に一人でいても酒を飲みたいと思わないだろう」
同連盟によると、60歳以上で断酒会に入会した人の割合は、5年前は19%だったが、今年4月時点では24%に増えた。依存症のリスクが広く知られるようになってきたことも一因だという。
■患者増、周囲が支えて
国立病院機構久里浜医療センター(神奈川)によると、同センターを受診したアルコール依存症の患者でみると、65歳以上の割合は、男性は2000年の13%から12年は24%に、女性でも6%から11%に増えた。
樋口進院長は「全国的に、高齢者の患者が増える傾向にある」と指摘する。退職後にぽっかりと時間が空き、昼間から酒を飲み始める人は珍しくないという。配偶者や友人との死別など「喪失感」を伴う出来事も多くなり、孤独な時間を埋めるように、酒量が増えることもある。
ただ、高齢になってから依存症になった人は、もともと社会生活を営んでいて規範意識が高い人が多く、若い人に比べて治療しやすいという。
治療では、入院して体からアルコールを抜き、心身に与える影響を学び、過去の問題行動を振り返る「心理社会的な治療」などを受ける。断酒は生涯続くことになるが、高齢者の場合、職場の飲み会などの機会も少なく、家族がいれば支援も受けやすい。
樋口さんは「高齢だから好きなようにさせてあげたいと、家族も許容しがちだが、早く治療させるほうが本人のためになるし、家族の負担も減る」と話す。家族が相談する場合、地域の精神保健福祉センターがいいという。
認知症を伴っている場合は治療の意義が伝わりにくいこともあるが、アルコール依存症を専門に治療する新生会病院(大阪)の和気浩三院長は「デイサービスの利用や、孫や家族と過ごす時間を増やすなど、これまで飲酒していた孤独な時間をいろんな人との関わりで埋めていくことで、断酒を続けられるケースも多く経験している」と話す。
飲酒の影響で一時的に認知機能が落ちることもあり、飲酒をやめれば回復する人もいるという。
■少量で回る酔い、転ぶ恐れも
高齢者がアルコールとうまく付き合うには、どんなことに気を付ければいいのか。
一般的に成人男性なら日本酒で1日1合、ビールなら500ミリリットル(中瓶1本)が適量とされるが、高齢者は加齢の影響を考える必要がある。年を取ればアルコールの代謝能力が落ち、少量の飲酒でも酔いやすい。若いころに比べて体内に占める水分割合が下がり、同じ飲酒量でも血中のアルコール濃度は高くなる。
酔って転倒しやすくなり、大けがを招くこともある。国民生活基礎調査(13年)によれば、転倒や骨折は、介護が必要になった原因の12%を占める。
山王メディカルセンター(東京)内科部長の堀江義則・国際医療福祉大教授は「加齢とともに飲酒量を減らすことを心がけてほしい」と話す。酔うことを目的にせず、食事と一緒に、楽しく飲むことが大切だという。食事と一緒だと飲酒のペースがゆっくりになり、アルコールの血中濃度の急上昇も抑えられる。飲酒量も少なくなりやすい。また、脱水を防ぐため、水分を一緒にとることを心がけてほしいという。
久里浜医療センターの樋口さんは、依存症を防ぐためにも「定年後に時間ができても、日中に飲む習慣はつけないで」と話す。高齢者は複数の薬を服用していることも多い。アルコールと薬の相互作用は複雑といい、服薬中の人は主治医に相談するのが安全だ。
●そして認知症。会社を辞め、緊張した日々を送らないので危険だと感じている。
交通死亡事故の数は2005年から2015年までの10年間、年々減少している。
警察庁は今年の1月4日、2016年1月~12月の1年間における交通事故死者数を発表。交通事故による死者数は、15年ぶりの増加となった2015年の4117人から213人(5.2%)減少した3904人で、これは1949年以来の3000人台の数字であるとしている。
一方、75歳以上の高齢者ドライバーによる死亡事故件数はほぼ横ばいで、結果的に全体の件数に占める割合は増加している。
背景にあるのは、高齢者ドライバーの増加だ。75歳以上の高齢者ドライバーは2005年の約236万人から2015年には約478万人と、10年間で約2倍に増えた(警察庁調べ)。
また、75歳以上のドライバーのうち、死亡事故を起こした人の認知機能検査結果を調べたところ、約半分が「認知症のおそれ、あるいは認知機能低下のおそれ」があったことも分かっており、認知機能の低下が、高齢者による事故に何らかの影響を与えている可能性は高い。
運転免許の自主返納が取りざたされているが、自家用車に代わる交通手段がない地域では、日常生活がままならなくなることもよく分かる。
2017年3月12日から道路交通法が改正され、75歳以上の運転免許更新時の認知症対策が次のように強化されるそうだ。
自分も返納してもいいのだが、役所や銀行などの身分証明のためいつも運転免許証を使っているのに無くしたら不便だと思っていたが、どうやら違うようだ。
「運転経歴証明書」というのがあり、免許証と同様に身分証明書として使える。免許を返納した日から5年以内に申請すればもらえるという。
また地方自治体によっては、運転免許を自主返納すると、バスやタクシー、鉄道の運賃割引などの特典を受けられる施策を行っているところもあるそうだ。
いずれにしてもそろそろ仕事を探さなければならない。
岩崎宏美/人生の贈りもの(2004年)