若いころと味覚が変わったのは間違いない。「人生の経験と味覚は平行に育ち、苦さや辛さの味の良さが分かって来た」というのは格好のつけ過ぎだろうか。
食べ物で特に変わったのが、お魚が大好きになったことだ。多分これは酒の影響が大きいと思う。
ところで、酒の肴(さかな)というが、実は酒のための「な(おかず)」という意味で、酒席で食される食品であれば、全てが肴となり、室町時代頃までは、魚肉に限らない用法が一般的だったという。
魚類は、古くは「うを」(後に「うお」)と呼んでいたが、江戸時代頃から「さかな」と呼ぶようになった。魚のことを「さかな」と呼ぶのは、肴から転じた言葉であり、酒の肴には魚介類料理が多く使用されるようになったからだそうだ。(Wikipedia参照)
今は魚を食べることが多い。
子供のころは、瀬戸内海沿岸に住んでいたのと、肉が少ない時代ということもあって、「毎日が魚料理」だった。これはさすがに辛い。それで、魚はそんなに好きな部類ではなく、滅多にない肉料理の日が楽しみだった。
ある資料によると、「焼き魚」、「刺身」、「煮魚」、「寿司」、「干物」の順に多く食べるそうだ。
当時は「煮魚」が多く、苦手なのは、「アジ」、「イワシ」、「サバ」や「サンマ」の煮付け。「ニシン」や「カレイ」の煮付けもあまり好きではなかった。
そして、子供に魚嫌いが多いのは、「骨」のせいというのは今も昔も同じで、骨をさばくのに苦心していた。
今、居酒屋へ行くと必ず注文するのは「お刺身」。定食屋の朝食は「シャケ定食」、お昼以降は「焼きサバ定食」。小料理屋では「カサゴの煮付け」が定番だ。
大衆魚とは言わなかったものの、「オコゼ」(写真)、「カワハギ」、「鯛」は当時高級魚の類ではなかった。
これらの魚は当時も大好きだった。
朝日新聞土曜版be(1月30日版)に食べたいお魚のランキングが載っていた。
ヘルシーな食材として魚は世界中で注目が高まっているのに、魚食文化の国である日本では「魚離れ」に歯止めがかかっていません。ただ食べられなくなると思うと、かえって食べたくなるのが、人の情でしょうか。トップを競ったのは、ともに資源量の減少が心配なウナギとマグロでした。
わずかな差で1位になったウナギ。2014年に国際自然保護連合(IUCN)によってニホンウナギは絶滅危惧種に指定された。今秋、南アフリカで開かれる「ワシントン条約」会議で規制対象になれば、輸入禁止となる可能性もある。
太平洋マリアナ諸島沖で産卵、仔魚(しぎょ)は海流に乗って、はるか日本の川にやって来る。養殖だと大半がオスになるなど、生態には謎が多い。こうした事情から「食べたい」というだけでなく、ウナギの将来を憂える声も目立った。
「このままだと、日本では失業する方も出てくる。完全養殖に向けて、国家も重点的に支援してほしい」
なかには大好きだからこそ、“ウナギ断ち”を宣言する人も。「『完全養殖』の技術が確立されるまで、食べるのを我慢することにした」
2位のマグロも高級すしネタで人気の太平洋クロマグロ(本マグロ)が14年に絶滅危惧種に指定された。幼魚が乱獲されて資源量が減少した。
「ウナギ同様、このままではいつの日か食べられなくなるのではないか」、「日本は売れるとなると乱獲してきた。国際的な流れに反している」。
02年に近畿大学が完全養殖に成功。広く出回るまでには時間がかかりそうだが、「近大マグロ、気になります」
3位以下は食卓の定番といえる大衆魚が並んだ。ただし、どれも先行き安泰とは言えないようだ。
3位のアジ。近年は水揚げ量が減少している。乱獲や温暖化に伴う水温上昇などのためとされるが、原因は特定されていない。
その名は味がいいからついたともいわれる。「アルバイト先で、初めて捕れたばかりのアジを食べたときのおいしかったこと」、「子どものころからアジのひらきが大好きで、皿には何も残さない。おかげで骨が丈夫になった」
4位のサケも、このところ7割占める輸入サーモンが高騰、北海道も不漁だ。「最後の晩餐はご飯と塩ザケと決めている」、「毎日のように皮まできれいに食べます」
5位のサンマは10年ごろから激減し、回復していない。今回は男性から熱い声が寄せられた。「落語の『目黒のさんま』を聞くと、よだれが出てくる」、「酒をのむようになってサンマの苦さがうまさになった。佐藤春夫の詩が理解できるようになった」
■「骨」が理由で子どもは敬遠
今回は「食べたいお魚」とともに「よく食べるお魚」も尋ねた。上位は(1)サケ(1196票)(2)アジ(1033票)(3)サバ(842票)(4)サンマ(777票)(5)マグロ(655票)の順。また魚料理が好きと答えた人は88%、肉より好きだと答えた人が57%と、いずれも多数を占めた。
しかし、日本人の魚離れは進んでいる。06年には肉と魚の摂取量が逆転。水産庁によると、「骨があるから嫌い」「食べるのが面倒」といった理由で、子どもたちの魚嫌いが増えているという。
今回も「子どものころは骨が苦手だった」という声が目立った。ある男性も同様だったが、「大人になって食べたらこんなにうまかったかと。人生、損をしたような気分」と残念がる。
大事なのは子ども時代の記憶。魚好きに育てたいなら褒めること。「きれいに食べると母が褒めてくれたので、苦手意識がなくなった」
(レタスクラブ 2014年7月8日号)によると
●日本人は世界で4番目に魚が好き!
魚をどのくらい食べているかの世界平均は1年間に1人あたり15.9kg。それに対し、日本人は70.6kg食べています。これは世界で4番目に多い量。
ちなみに一番多いのはインド洋上にあるモルジブで153.4kg、2番目はヨーロッパのアイスランドで91.1kg、3番目はオセアニアのキリバスで78.6kgです。いずれも周囲を海にかこまれた島国です。それに比べると、アメリカ、イギリス、フランスでは、日本人の3分の1から半分ぐらいしか魚を食べていません。
●地域によって、よく食べる魚が違う
たくさん食べられている魚介の種類は、北海道では「いか」「鮭」「さんま」。東北では「かつお」「かれい」「さけ」「さんま」。関東地方では「まぐろ」。東海地方では「まぐろ」「あさり」。北陸地方では「ぶり」「いか」「かに」。関西地方では「えび」「たこ」「鯛」。山陰地方では「いわし」「あじ」「いか」「ぶり」「かれい」。四国地方では「かつお」「ぶり」「たこ」。九州地方では「あじ」「いわし」「鯛」が多くなっています。(総務省 家計調査2011年~2013年平均より)
●好きな回転寿司のネタは?
第1位は「サーモン」。「とろサーモン」「活き〆サーモン」や「あぶりサーモン」など、いろいろな種類や食べ方アレンジが楽しい!
第2位は「まぐろ」。「赤身」「中トロ」が好き!。「ねぎトロ」や「鉄火巻き」も欠かせません!「大トロ」は年齢とともに食べる量が減りました。
第3位は「えび」。「甘えび」「車えび」「ぼたんえび」など、えびの種類が豊富なのに加え、生で焼いて、ゆでて、味の変化が楽しめるほか、「アボカドあえ」や「えび天入り手巻き」などはボリュームがあって、満足感あり!
その他、「あなご(塩・たれ)」「えんがわ」「つぶ貝」「卵」も人気でした。
自分で「食べたいお魚」ランキングを挙げるとどんなものになるだろうか。
フグ、オコゼ、タイ、キンメダイ、カレイ、アジ、サバ、アユ、岩魚、サンマ、イカ、タコ、カワハギ、コマイ、シシャモ、カツオ、カサゴ、マグロ、ウナギ、エビ…
ー順番がつけられない。嫌いなものが思い当たらないのだ。
(写真)
坂本冬実/ふたりの大漁節