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椎名誠「心より新年をお詫びいたします」

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イメージ 1 椎名誠(現在71歳、写真)の「ナマコのからえばり」(2008年、毎日新聞社)を図書館で借りて読んでいる。今から8年前なので彼が64歳のときの作品だ。
 
 2008年刊というが、もうシリーズ物として10巻も発売されているようだ。
 
イメージ 2

 彼の本はとても面白い。読者を楽しませようと言うサービス精神にあふれている。
 
 その中で「心より新年をお詫びいたします」というコーナーがある。
 
 「あけましておめでとうございます」という新年号の原稿を作っている日が12月14日で嘘もいいところ、しかも年末進行の原稿締め切りに追われ、全然「おめでたくない!」。
 
 年賀状のことにも触れていて
 
 「当然年賀状はもっと嘘で『昨年中はいろいろお世話になりました。本年もどうぞよろしく』などと年内に書いているから、そのときの昨年中というと一昨年のことになってしまう」
 
 「『昨年中はお世話になりました』などと肉筆で書いてある年賀状をよく貰ったりするが全然お世話した記憶がないことのほうが多いのも困る。本当はお世話したのに忘れてしまっていたりしたらボケ老人を心配しないといけないしなあ。でも大丈夫。ぼくに限って絶対にヒトをお世話したりしないから」
 
 「年賀状は出さないと先輩などに失礼だし、まあ出しておけば無難だから作るけれど、印刷したものをぼくのアシスタントが宛て名書いているだけだから、ぼくの年賀状はぜんぜんココロがこもっていないものなのでどうぞ今年もよろしく」
 
 それからの話の方がもっと面白いが、興味あれば本を読んで下さい。
 ひとつだけお知らせしたい。「日本の幼稚な若い男たちよ」から。
 

1.若い男たちよ。香水を付けるのを止めたまえ。男は黙って汗のにおいだ。今は寒いからなかなか汗もかけないが、締め切った部屋で、たとえばエレベーターの中などで、柑橘系か何かのやたらつんとくる匂いを振りまいている男がいるけれど、一度、カメムシについての本を読みなさい

2.
若い男たちよ。電車の中でチョコチョコ指を小器用に動かしてメールを打つのを恥と思いなさい。そんなことしてないで、ドスンと寝入るか、何か虚空を見るか、誰か殴りつけたいヤツを睨みつけるか、もっとアクティブに自己を貫きたまえ

3.
若い男たちよ。安酒場でだらしなく酔っ払うのを止めたまえ。同僚や仲間たちと酒を飲むのは楽しいけれど、今の君たちはあまりにもだらしなく、簡単に酔っていないか?酔って気が大きくなり大きな声を張り上げる。挙句は叫ぶ、酔い潰れて歩けなくなる。ここは日本だからそんなことが出来るけど、一つ別の国に言ったら酔って外を歩くだけで簡単に逮捕あるいは強盗追いはぎのターゲットになっていくのが普通なんだよ。

 

4.若い男たちよ。もうそろそろカラオケバーチャルのつかの間の自惚れ陶酔の空しさを知る頃だ。倫理観の欠如した自分勝手な若い女を隣の席から蹴飛ばしなさい

5.
若い男たちよ。50センチくらいのカツオを包丁一本で捌く技術を身に付けよ。2~3匹練習したら後はもう一生の技になる。砲弾のようなぷりぷりのカツオを、刺身包丁一つでシャキシャキさばいていって一切れ2~3センチはある厚切りの刺身を作ってオロシショーガでわしわし食うのだ。あるいは誰かに食わせるのだ。アフリカではないからカモシカをしとめて自分でさばいて食うのはなかなか大変だがカツオならできる。カツオを一匹さばけるようになったらずいぶん何かの自信がつくはずだ。

 

6.若い男たちよ。もっと現実社会のいろんな分野の、身体を使っているプロの男たちと話をせよ。何の世界であってもプロは凄い。うどん屋だろうが下駄屋だろうが、本物のプロには本物の人間がいる。「霊視」だとか、「生まれ変わり」だとかの噴飯モノのインチキどもに一寸たりとも目をくれるな。あれはバカな女たちの幼稚な暇娯楽なのだ。男と女の資質の差が、あのあたりで見事にあらわになる。バカ女たちのペースに巻き込まれるな。

7.
若い男たちよ。火を起こせるようになれ。どんな場所でもどんな材料でも、どんなシチュエーションでも野山、あるいは海岸で自分の手によってきちんと炎の出る焚き火を作れるようになれ。いついかなる事情で家族を連れて都会や自宅を追われ、野山をさすらうかわからない時代になっている。焚き火料理は試行錯誤が一つの力になる。この野外の火を使って最低三種類の人間の食い物を作る知識を持ちなさい。但しバーベキューは止めろ。あれは料理ではない。肉や根菜を焼くなら炎の中で。

8.
若い男たちよ。腹を引っ込めろ!腹なんか一センチたりとも出すな。それなりの自分の運動をしていればそんなにだらしなく腹など出てこない。一日五分でいいから自分のやり方である程度負荷の来る運動をしていれば必ず効果がある。絶えず全身の筋肉に緊張感を持たせる努力をするべきだ。トレーニングジムなどに行く必要は全くない。床があればいい。それと戦うのだ!男は腹だ。

9.
若い男たちよ。ラーメン屋の行列に並ぶな。その近隣に行列なしでは入れるラーメン屋がいくらでもある。行列のできるラーメン屋との差はいろいろあるかもしれないが、所詮はあるかなきかの差だ。ほかでもそれなりに上手く喰えるのだ。ああいう行列に30分もアホ面して並んでいる人生を恥じる神経を持て。

10.
若い男たちよ。テレビを見るな。今、少しでも自分の意思というものに興味を持ち始めたとしたらこれからは一生テレビを見ない人生を送れば、それなりの自分独自の人生を歩めるはずだ。今のテレビは幼稚なディレクターが、異常で狭隘な精神と、わずかな知恵と興味だけで作っている子供文化になっているから、みても何ほどの意味もない。テレビは新聞よりもさらに不要のメディアになっていると理解すべきだ。テレビを窓から蹴落とせ!

11.
若い男たちよ。少年マンガ雑誌を捨てろ。子供のマンガ雑誌をむさぼり読んでいる若者は今世界で日本人だけということを知れ。少年マンガを背中を丸めて読んでいる中年メタボ親父がうんざりいる世の中だから視覚の麻痺があって、若者たちはその醜い幼稚な姿に気が付かないのだろうが、明日のメタボ親父は君なのだ

12.
若い男たちよ。ズボンを上げろ。アメリカのヒップホップ系の黒人がズボンをちょっとずり下げて退廃を気取って始めたのを日本の足の短い若者がやると幼児が上手くズボンをたくし上げられずに便所からヨタヨタ外に出てきてしまったようで誠にいたたまれない悲しい光景になってしまう。あれをみると後ろから行ってひょいとズボンを両手でズリさげてみたくなって困る。若者たちよ、お前らのパンツは愚かで汚い。

13.若い男たちよ。もっと自分の興味を持ちなさい。世間のゴシップや流行ものは君の人生に何の力のたしにもならない。「そんなの関係ねえ!」を見て笑うのは一回だけでいい。あんなのは若い者たちの人生のこれからの力に、まるで関係ねえ、何の力にもならないものだ。若者たちよ、むしろ現在に関係ない森羅万象に興味を抱きなさい。樹木を考えよう。泥を考えよう。大気の渦について思いを馳せてみなさい。ゴカイに何故足があんなにあるのか疑問を持とう。成層圏とはなんなのか。どうしてオゾンが穴を開けるのか。ヒメクダマキモドキとはなんなのか。糞はなぜ臭いのか。

 

14.若い男たちよ。温水洗浄トイレ、いうところのウォシュレットの温水からケツを上げろ。あれをひどい痔の患者が使う事はあっても日常みんなで使っているのは日本人だけだ。肛門を洗いすぎて、肛門付近を守る恒常菌がいなくなり、日本の若者は、世界で一番
ひ弱な肛門になっているのを知りなさい。


 14項目のうち自分は9項目だけ当てはまっている。アッ!もう若者ではないか。
 

わしらはあやしい雑魚釣り隊の歌
 

 男としてうらやましい生き方だね。
 
 

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