消えてなくなる職業について、これは現代ビジネス2014年11月9日号の記事。
人間が行う仕事の約半分が機械に奪われる―そんな衝撃的な予測をするのは、英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授(写真)である。
同論文の凄味は、702の職種すべてについて、コンピューターに取って代わられる確率を仔細に試算したことにある。言うなれば、これから「消える職業」「なくなる仕事」を示したに等しく、これが産業界に衝撃を与えているわけだ。
右に載せたのは、そうした「消える、なくなる」可能性の高い主な仕事である。いずれもコンピューターに代わられる確率は90%以上という驚くべき数字が弾きだされている。
○ロボット(robot)の開発
robot の語源はチェコ語で「賦役」(強制労働)を意味するrobotaとされている。
日本においては、1923年に『人造人間』(宇賀伊津緒訳、春秋社)が出版されており、宇賀氏はrobotを「人造人間」と訳している。
最近では携帯大手ソフトバンクが、人間相手に会話をする世界初の感情認識パーソナルロボット・Pepperを発表するなど、各企業のロボット開発競争は熾烈化している。
その最新ニュース。
ソフトバンクロボティクスは6月20日、同日10時より販売を開始した感情エンジン搭載のパーソナルロボット「Pepper」が受付開始1分で完売したと発表した。なお、定価は198,000円(税別)。
現在、Pepperの生産体制は月間で最大でも1000台とされており、6月中の販売予定台数も1000台に限定されていた。次回以降の販売予定については、「7月中にWebサイトでお知らせする」(ソフトバンクロボティクス)としている。
Pepperは2014年6月に感情認識パーソナルロボットとして発表、18日には「感情を持ったロボットに進化した」として孫社長が20日の一般販売開始を発表していた。(写真)
なお、法人向けには「Pepper for Biz」として秋より提供を開始、時給1500円でPepperを派遣する「アルバイト派遣」サービスも7月1日よりスタートする。
2014年10月に行われた日本最大のIT・エレクトロニクス見本市『CEATEC(シーテック)』では、人間相手にラリーをするオムロンの卓球ロボットなどが披露され、来場者の度肝を抜いた。
「こんにちは。ラリーを始めましょう」。卓球台に近づくと、反対側で台をまたぐようにそびえる高さ2.7メートルのロボットが話しかけてくる。
日本におけるロボット市場は直近では9000億円ほどだが、これが'20年には約3兆円、'35年には10兆円程にまで達するといわれる。
コンピューターの技術革新がすさまじい勢いで進む中で、これまでロボットはルーチン的な作業しかできないとされてきたが、ここ10年間におけるロボットの能力向上は目覚ましいものがある。
ロボットが完全に人間の知性を手に入れるにはあと少なくとも50年はかかると言われているが、その過程で、多くの仕事が機械の脅威にさらされることがわかってきた。
子供の頃に憧れたSFの世界が現実化する日が近づくようでワクワクする面もあるが、それは同時にロボットが人間の仕事を奪う皮肉な結果をもたらすのだ。
「最近の技術革新の中でも注目すべきはビッグデータです。これまで不可能だった莫大な量のデータをコンピューターが処理できるようになった結果、非ルーチン作業だと思われていた仕事をルーチン化することが可能になりつつあります」
その具体例としているのが「医療診断」。コンピューターが患者個々人の症状や遺伝子、薬歴などをほかの患者と比較することで、それぞれに合った最良の治療計画を作ることに成功しているというのだ。
「センサー技術の進化も重要です。センサー技術が発展すると、これまで人間にしかできないとされていた認知能力を備えた機械がさまざまな分野で活躍できるようになるからです」
「人間は休憩や睡眠をとる必要があるので、観察が中断することがありますが、センサーは常に見張りができる。また、人間は集中力の低下や人それぞれに思考のバイアスがありますが、ビッグデータを分析するコンピューターにはそのようなデメリットがない。結果として、機械のほうが人間よりすぐれた仕事をする可能性すらあるわけです」
前出の表を見ると、給与福利厚生担当者、税務申告者代行者、簿記・会計・監査の担当者、測定を行う担当者など、失われる仕事として身近なものも多い。
ロボットが職場に溢れ、仕事を奪われた人間が失業者になっていく様は想像するだけで恐ろしいが、オズボーン氏は「人類にとってこれは歓迎すべきことだ」と主張する。
「かつて洗濯は手作業で行っていましたが、洗濯機の登場でその仕事は奪われました。しかし、それによって余った時間を使って新しい技術や知恵が創造された。こうして人類は発展してきたわけです。現在起きているのも同じことです。
ロボットやコンピューターは芸術などのクリエイティブな作業には向いていません。となれば、人間は機械にできる仕事は機械に任せて、より高次元でクリエイティブなことに集中できるようになるわけです。人間がそうして新しいスキルや知性を磨くようになれば、これまで以上に輝かしい『クリエイティブ・エコノミー』の時代を切り開いていけるのです」
もちろん、そうした高次元でクリエイティブなスキルを身につけられなければ、失業者に転落するリスクが大きいということでもある。来たるべきロボット社会で生き残るのは、なかなか容易ではなさそうだ。
こんな仕事が無くなればいいのにねー「兵隊」
シューベルト作曲/軍隊行進曲
スッぺ作曲/軽騎兵序曲
ジョニー・ディアフィールド/悲しき少年兵(1959年)
コリーン・ラベット/帰らぬ少年兵(1967年)