今回は前回に引き続き、カバーによってすっかりイメージの変わる曲の特集だが、洋楽歌唱編を。
●「ヴォラーレ」は1958年のサンレモ音楽祭で、ドメニコ・モドゥーニョとジョニー・ドレッリが歌って優勝した曲。アメリカでミリオン・セラーを記録し、第1回グラミー賞を受賞したことで、サンレモ音楽祭は一躍世界的に認められた。
ジプシー・キングスのカバーはキリン淡麗生CMソング等で有名。
彼らは、タバコ(LARK)、自動車(マツダセンティア)、化粧品(資生堂)、ビール(キリン淡麗生)、「鬼平犯科帳」のエンディング・テーマ「インスピレイション」の劇中歌やCMに使われ、一時は「コマーシャルの王様」と呼ばれたこともあった。
ドミニコ・モデューニョ(1958年) ジプシー・キングス/ヴォラーレ
原題は「Those Were the Days」、「あの頃はよかった・あの頃がなつかしい」という意味で、歌詞は壮年期の人間が青春時代を思い返してロマンティックに美化している場面を描いている。
邦題の「悲しき天使」については、日本で発売された当時、外国の楽曲に邦題を付ける際の常套手段として、「悲しき…」や「恋の…」といった言葉を冠していたことによるものであり、英語歌詞の内容とは特に関係はない。
「悲しき天使」は、しばしば、イギリスで活躍したアメリカ出身の歌手、ジーン・ラスキンの作詞作曲と紹介されている。これは「Дорогой длинною」(長い道)がソビエト連邦からの亡命者によって欧米に広められるうち、いつしか作者不詳の「ロシア民謡」と呼ばれるようになり、その後1962年にラスキンが英語版を編曲し自作として発表したために、ラスキンの作品と呼ばれるようになったためとされる。
アレキサンドルフ赤軍合唱団 メリー・ホプキン/悲しき天使(1968年)
アニマルズ(1965年)/サンタ・エスメラルダ(1977年)/悲しき願い
ブレンダ・リー(1972年) ペットショップ・ボーイズ(1987年)/オールウェイズ・オン・マイ・マインド
ビートルズのカバーは多いが、今回はこの曲で。
ビートルズ(1965年)セルジオ・メンデス&ブラジル‘66/ディ・トリッパー