〇結婚会見の違和感
違和感の原因は次の3点である。他からも指摘されているので、別に目新しい話ではない。
2.「授かり婚」というか、安定期に入った5ヶ月の妊娠時期まで、(次の日、事務所員に届を出させたそうだが)どうして婚姻届を出していなかったのか。
3.いくら「極秘交際」だと言っても、二人とも超有名人で、徹底マークに会っているはずだ。日本には名だたる「週刊文春」や「フライデー」などのパパラッチ週刊誌があるのに、これまでスクープされなかったのか。彼らの腕が鈍ったのだろうか。
このことについては、8月9日(金)、朝日新聞「(ニュースQ3)劇場型結婚? 首相官邸で「会見」の意図は」でも疑問が投げかけられている。(画像)
〇何もかも筋書き通り?
もちろん、その元凶は安倍首相で、ときの首相にこんなことを言わざるを得ないことはとても残念だが、彼を漢字一文字で表わすと「嘘」しかないと思っている。
これには、ナチスのゲッペルス宣伝相(1945年、47歳で没、写真)のような悪知恵が働く側近がいて、ことごとく、それによって演出されていると思っている。
それが「官邸官僚」と呼ばれる首相周辺の官僚で、その頂点にいるのが首席秘書官・今井尚哉(60歳)、映画「新聞記者」で中心になった日本版CIAといわれる諜報機関・内閣情報調査室の責任者・内閣情報官・北村滋(62歳)、もりかけ事件で暗躍した、首相補佐官・和泉洋人(66歳)などである。
これが内閣府の組織と主な責任者だが、この黄色の網掛けが上述の策士である。
「水清ければ魚棲まず」という格言もあり、政権を維持するためには多かれ少なかれ仕方ないとは思ってはいるが、さすがに度を超している。もちろん、これを許しているマスコミにも大きな責任がある。例を挙げればきりがないが、空しくなるのでここでは取り上げない。
ところで、小泉進次郎は自民党のスターだ。しかし、彼がウソをついたり謀略を巡らせるはずがないというのは、見た目の印象でしかない。
小泉進次郎の父・小泉純一郎元首相は、総裁選出馬のときに公約した「国債30兆円枠」を守れなくなると、2003年1月23日の衆院予算委員会で「大きな問題を処理するためには、この程度の約束を守れなかったというのは大したことではない」と言い放ったことがある。(写真右)ときの総理があの公約は嘘だった、破ってもいいと言ってのけたのだ。
小泉進次郎が嘘をつかないというのは「願望」としては分かるが、政治家が嘘をつかないなんてありえないと思っている。
小泉進次郎が嘘をつかないというのは「願望」としては分かるが、政治家が嘘をつかないなんてありえないと思っている。
「猜疑心が強い」と言われても、一連の出来事は綿密に計画された「出来レース」の疑いが濃い。
本来ジャーナリズムは、ただ無邪気に提灯記事を載せるのではなく、疑問を解き明かすのが仕事のはずではないか。
まずは天下無双の内閣調査室を抱える菅官房長官が、小泉進次郎と滝川クリステルの関係を知らないはずがない。
それに、当日の午前に菅官房長官に電話で首相官邸で面会の約束を取り付けたというが、首相も官房長官も偶然、平日の当日の日程が空いていたなんてとても信じられない。6日と9日は広島と長崎の原爆慰霊記念式典の狭間の日である。以前から約束していないと、会えるはずがないと思う。
彼の訪問は事前に報道機関には知らされていない。しかし、官邸にはいつもの通り首相番の記者たちが10人以上詰めていた。緊急会見に備えてすぐに各社のカメラマンも集結してきた。
ワイドショーの時間を狙って、「公私混同」とか「できちゃった婚」などという、批判をかわす効果とともに、官邸で結婚を報告できる立場だとアピールしたい小泉氏と、その人気に乗っかかろうとする政権のPRに、各局は十分貢献した。
この時、大マスコミ記者は、予定通りの行動をした。
官邸で結婚会見するという小泉氏の「公私混同」ぶりを一切批判せず、ニタニタしながら「指輪は?」「プロポーズの言葉は?」なんてバカな質問を続け、小泉氏も小泉氏で、恥も外聞もなく、ヘラヘラして「昨年からお付き合いを始めて、そして今回自然なかたちで結婚の報告、妊娠の発表になれたことはうれしく思います」などと冗舌に語っていたという。
〇小泉進次郎の政治的立場
〇小泉進次郎の政治的立場
そして、会見から3日後の8月10日発売の、文藝春秋9月特集号(画像)で、菅氏と進次郎氏の対談が掲載され、そこでは、菅氏は進次郎氏の入閣について「いいと思う」と述べ、次期内閣における入閣候補者であることを示している。さらに総裁選についても、「早過ぎるということはない。本人がやる気であれば別に構わない」として肯定的な態度を表明し、急激な接近がみられる。これも流れとしては不自然だ。
9月に予定されている内閣改造で進次郎氏の「ご祝儀入閣」はあるかどうかが見ものだ。
永田町ではいよいよ「ポスト安倍」に向けた動きが喧しくなり、菅総理という声もあり、メディアにもさまざまな名前が取り沙汰される。だが、それを見る国民の目は冷めている。
まさか、このような陰険な人物が、総理にふさわしいと思っている人が多いとはとても思えない。日本は真っ暗闇になるだろう。それでもポスト安倍の最先頭にいることは間違いない。
しかし、菅総理だと不人気が見えているので、小泉氏の重用で取り繕うとしているように思えてならない。容姿と歯切れのいい発言が人気を呼んでいるようだが、そんなことでいいのだろうか。
伊東正義氏(1994年、80歳で没、写真)。1989年、リクルート事件により竹下首相が退陣を余儀なくされ、ポスト竹下に党三役の一人であり、金権腐敗に縁のない伊東の名前も挙がったが、「本の表紙を変えても、中身を変えなければ駄目だ」と頑なに拒否した清廉な政治家のことだ。
これには、菅氏は4位、小泉氏は10位にランクインしている。
「後世に、政治家としての功績は滝クリとの結婚だった、なんて揶揄されることがなければいいのだが」という声も。
8月15日の靖国参拝に姿を見せた小泉氏は、参拝前も後も記者団が「ひと言下さい」と呼びかても一切応じず、黙って車に乗り込んでいたという。
政治家なら、結婚報告よりも、靖国参拝を語るのがスジだろう。私的な発言は喜んでベラベラ答えるが、政治的な質問では記者をガン無視とは言語道断ではないか。政治家として、あまりに薄っぺらだ。
将来の首相候補として取り沙汰される進次郎氏だが、ネットでは、「親の七光りで国会議員になって10年。もっともらしい発言はするが、国会議員として何か成果を上げたか?有名人と結婚出来て浮かれているように見える」などと厳しい意見も出ている。
まあ、もうすぐ内実が明らかになり、彼がどんな人間か分かるときが来るだろう。