明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年末に書いた「平成の終わりに向けて」だが、いよいよ今年の4月30日に「平成」は終わりを迎える。
1月1日に放送されたNHKが去年9月から11月にかけて、無作為に抽出した、全国の18歳以上の男女合わせて6000人を対象に郵送で世論調査を実施した結果、次の内容だった。
まず、平成という時代に当てはまるイメージについて尋ねたところ政治「戦争がなく平和な時代」が79%に上ったのに対し、「社会的弱者に優しい時代」は30%に留まった。(左図)
さらに、「昭和」と「平成」はどちらがよい時代だったと思うか尋ねたところ、全体的には、「昭和」は55%、「平成」は42%で、「昭和」の方が多く、年代別に見ると、「昭和」を知らない10代・20代は77%が「平成」、「昭和」の時代を幼い時期に過ごした30代は、61%が「平成」、一方、40代以上は「昭和」という答えが多いという結果となった。(右図)
この世論調査は妥当なところだろう。「戦争がなく平和な時代」と「治安が良い」という以外はネガティブな結果に終わっている。特に「社会的弱者に優しい時代」について妥当しない回答が多かったのは、安倍内閣の核心をついている。
平成後の新時代には難問がたくさん待ち構えている。
NHKの世論調査の結果にあるが、「民主主義が成熟」と言う点も、不安だらけだ。
過去最高の長期政権となった安倍政権。政府が国会の審議も通さず、国際協調に尻込みをしているのも不安材料だ。「反核宣言」に後ろ向きなこともそうだし、国際捕鯨委員会(IWC)から脱退するというのも首を傾げる。捕鯨に関係の深い、安倍首相(山口)と二階幹事長(和歌山)の地元に忖度していると、もっぱらの噂だ。こんな独走は今年もっと進むだろう。
そして、少子高齢化問題。
自分が働いているマンションの前は小学校の通学路である。朝と夕刻には子供のにぎやかな声が聞こえる。何時の時代も子供は一緒だと思う。こういう環境で働けることは幸運だ。
都会に住んでいると、若い人の比率が高く、少子高齢化とは無縁のように思え、日本全体の問題を見失う恐れがある。
昨年は45万人、日本の人口が減ったという。それぞれ県庁所在地の長崎市や富山市が丸ごと消える規模で、今後さらにこの現象が加速するそうだ。
同時に老いていく。全人口を年齢順に並べると、1965年は27.5歳が真ん中だった。それが、2015年には46.7歳になった。その半世紀後には55.7歳になると推計される。
人口減少と少子高齢化の崖を世界一のペースで転がり落ちる。人類史上初の出来事が起きている。地方に住む人々は、国家の難題を先取りした先頭走者である。大都市の住民は、今は実感はなくとも、すぐ後を走っている。
「社会の持続可能性を維持できない低出生率は、今の国のあり方に国民投票でノーを示しているようなもの。個人の生き方が国家の将来に直結する。その意味で究極の民主主義だ」と人口学者、金子隆一・明治大学特任教授は言う。
情報技術の革新とグローバル化の深化で、世界は劇的な変化の予感をはらむ。高齢日本は変化をためらい、若い世代は政治の意思決定から遠い。 (朝日新聞2018.12.30記事から抜粋)
もっともである。しかし、そんな事実も忘れたかのように、十代の若い世代が各方面で活躍し、2020年の東京オリンピックを前に日本国中が浮かれている。こんな十代選手だ。
1.卓球:張本智和(15歳)、伊藤美誠、早田ひな、平野美宇(18歳)
2.フィギュアスケート:紀平梨花(16歳)、坂本花織(18歳)
3.水泳:池江瑠花子(18歳)
●16歳の歌
日本では義務教育が終わり、16歳からが高校生。女性の結婚が可能になり、運転免許が取得できるようになる歳だ。
■16歳の結婚
その後2人は芸能界を代表するおしどり夫婦として活躍したものの、2016年に離婚している。
■16歳でデビューした歌手
16歳でデビューした歌手は多い。
●島倉千代子
探せばきっとまだ多くの歌手がいるのだろうが、古くは島倉千代子(2013年、75歳で没、写真)。
前年に「第5回コロムビア全国歌謡コンクール」で優勝し、同社と専属契約していた1955年(16歳のとき)の島倉のデビュー曲となり、半年後に200万枚達成、自身最大の大ヒットとなった「この世の花」(同名の映画の主題歌)。
彼女は、1955年23曲、1956年34曲、1957年37曲、1958年33曲と驚異的な速さで新曲を発表した。
島倉千代子/この世の花(1955年)
●西城秀樹
昨年亡くなった西城秀樹(享年63歳、写真)は、1971年に上京、所属するプロダクションの社長宅での居候を始め、翌1972年に「恋する季節」でデビューしたのは秀樹が16歳の時だった。
後に70年代を代表するスターとして、郷ひろみ(現在63歳)、野口五郎(現在62歳)と並んで「新御三家」と呼ばれる秀樹だが、当初は、甘いマスクでアイドル然とした郷、品のあるたたずまいで歌謡界の新星と期待された野口に比べ、キャラクターが定まっていなかった。そんな中、彼の代名詞である“絶唱系”が浸透していき、1973年に5枚目のシングル『情熱の嵐』で初のオリコンベストテン入りを果たすと、次の『ちぎれた愛』で、初のチャート1位を獲得した。新御三家で1位を獲ったのは秀樹が最初。ここから彼の人気は新御三家でも突出したものとなっていく。
ちなみに郷ひろみのデビュー曲は彼が16歳のときの「男の子女の子」(1972年)。野口五郎は15歳のときの「博多みれん」(1972年)。最初にヒットした2曲目の「青いリンゴ」(1972年)も彼が15歳のときの曲だ。
西城秀樹/恋する季節(1972年)
「スター誕生!」からは、後に記述する中森明菜の他、岩崎宏美、伊藤咲子らが、16歳でデビューした。
「花の中三トリオ」と呼ばれた森昌子、桜田淳子(現在60歳)、山口百恵(現在59歳)の3人もそこで合格したアイドル歌手だが、デビューしたのは15歳である。なお、3人が進級するごとに、花の高一トリオ・高二トリオ・高三トリオと呼び名を変え、高校卒業時の1977年3月にトリオ解消となった。
1982年はタレントの豊作で、「花の82年組」と呼ばれた。中森明菜、小泉今日子の他、堀ちえみ、三田寛子、石川秀美、松本伊代、早見優、シブがき隊らは、同年に16歳でデビューした。
●小泉今日子
KYON2(キョンキョン)の愛称で知られる、小泉今日子(現在52歳、写真)は「花の82年組」。1980年代のアイドルとしては松田聖子と中森明菜の2強に続いた存在であり、歌手としては筒美京平や馬飼野康二の作曲した作品でヒットを連発した。1982年3月21日にシングル「私の16才」でアイドル歌手としてデビュー。
小泉今日子/私の16才(1982年)
中森明菜(現在53歳、写真)も「スター誕生!」出身で、「花の82年組」の一人。16歳(1982年)のとき、シングル「スローモーション」でデビューし、1980年代のアイドルとしては松田聖子と2強を争った。別冊宝島の調査によると、1980年代のシングル総売上げは年間ベスト50位以内のものに限っても932.5万枚、年間50位以内ランクイン曲数は22曲と、どちらも当時の女性アイドル中1位であった。
中森明菜/スローモーション(1962年)
海外ではこの人。
サンレモ音楽祭といえばこの人、ジリオラ・チンクエッティ(現在71歳、写真)。2017年、24年ぶりの日本公演に訪れ、その美しさと歌声を披露した。
ミーナは歳をとって妖怪と呼ばれるほど変貌したが、彼女は現在も活躍中で、その若さと美しさは目を見張るほどだ。
1964年(当時16歳)に、「non ho l'eta」(夢見る想い)をサンレモ音楽祭で歌っていきなり優勝、この曲で同じ年のユーロビジョン・ソング・コンテストにも優勝した。1966年には「Dio come ti amo」(愛は限りなく)を歌って、サンレモ音楽祭でふたたび優勝し、同名の映画にも出演している。
■題名が16歳(Sixteen)の歌
今、十代で一番注目されている年齢は、2016年6月より選挙権を得た18歳だろうが、歌ではなぜか「16歳」をテーマにしたものが多い。
ジリオラ・チンクエッティ/夢みる想い(1964年)
■題名が16歳(Sixteen)の歌
ケーシー・リンデン(現在80歳、写真)の「悲しき16才」(Heartaches At Sweet Sixteen)については、前奏や間奏部分で「ヤヤヤーヤ、ヤヤヤヤ…」と歌う特徴的な部分が人気を博した。
ザ・ピーナッツが1960年にカバーした曲で、日米ともにB面で、日本ではヒットしたが、アメリカでは全くヒットしなかったようだ。
ケーシー・リンデン ザ・ピーナッツ/悲しき16才(1959年)
ニール・セダカ(現在79歳、写真)は、1960年代前半に歌手兼作曲家として、1970年代にシンガー・ソングライターとしてそれぞれ黄金期を迎えた。日本やイギリスでも独自のヒット作を生むほどの人気を得た。「すてきな16才」(Happy Birthday Sweet Sixteen、1961年)は、ハワード・グリーンフィールドが作詞し、ニール・セダカが作曲、1962年1月6日から3週連続でビルボード・Hot 100の6位を記録した。
ニール・セダカ/すてきな16才(1961年)
サウンド・オブ・ミュージック(1959年)は、オーストリア出身のマリア・フォン・トラップによる自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』を基にしている、リチャード・ロジャース作曲、オスカー・ハマースタイン2世作詞によるミュージカル作品。
「エーデルワイス」、「私のお気に入り」、「すべての山に登れ」、「ドレミの歌」、表題曲「サウンド・オブ・ミュージック」といったミュージカルの多くの曲がスタンダードとなっている。
ミュージカルを原作に、1965年に公開されたロバート・ワイズ監督、ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画は、第38回アカデミー賞で作品賞など5部門を獲得し、世界的に大ヒットした。
この「もうすぐ17才」(Sixteen Going on Seventeen)は、トラップ家の長女・リーズル(シャーミアン・カー、2016年、73歳で没)と、その一つ上で恋仲の17歳のナチスの電報配達員の恋人、ロルフリーズル(ダニエル・トゥルーエット、現在75歳)とが交互に歌う初々しさに溢れる曲だ。(写真)
映画「サウンド・オブ・ミュージック」より/もうすぐ17才(1965年)
今年も若い人が活躍できる日本であって欲しいネ。