日本再発見をテーマにしたテレビ番組が増えている。「目からうろこ」というか、今まで知らなかった日本の魅力を再発見することが多く、日本に住んで良かったと思う瞬間だ。
●日本再発見の番組
テレビ東京の18:55からの「Youは何しに日本へ?」、20:00からの「世界!ニッポン行きたい人応援団」。そしてこれは日本再発見ではないが、21:00から「世界ナゼそこに日本人」と、普段こんなことはないが、このときだけは3時間もテレビにくぎ付けだ。
この中で、「世界!ニッポン行きたい人応援団」(画像)が一番好きだ。
昨日は、アメリカの「納豆」大好きな夫婦の訪日。この番組を見るといつも涙腺が弱くなる。もちろん昨日も泣いた。
拙ブログでは、幸運か不運か【その3】最終編で醤油大好き男性外国人、相撲人気と国際化で、相撲大好き女性外国人、私の好きなテレビ番組で、組子細工大好き男性外国人、近況報告【2017年4月9日】でおでん大好き女性外国人のそれぞれ来日を、盆踊りの現在で南米ラプラタの盆踊りの紹介をしている。
その「世界!ニッポン行きたい人応援団」は必ずしも毎週放映はしていないのだが、それを埋める番組も素晴らしい。
2週間前、5月14日の「運動会!ザ・ワールド 世界でニッポンの運動会やってみたらどーなる」(画像)も最高だった。
『日本人にとっては馴染み深くも、世界では類をみない運動会。ニッポンの運動会を世界各国の学校で開催してみたら一体どうなる?言葉も文化も違う中米・グアテマラとアフリカ・マラウイで子供たちがニッポンの運動会に初挑戦!現地にあるもので運動会に必要な道具を自作、競技練習に取り組みます!さらに、その国ならではの暮らしぶりも覗いちゃいます!ニッポンからグアテマラへ北斗晶、マラウイへ佐々木健介が向かいます』と解説。
運動会が日本だけの行事とは知らなかったが、世界の各地でこんなに喜ばれるとは。感動の番組だった。ぜひシリーズ物にして欲しいと思った。
■cool japan 発掘!かっこいいニッポン (NHK)
日曜日のNHK・BS1(午後6時00分~6時44分)のcool japan 発掘!かっこいいニッポン(画像)も素晴らしい番組だ。
外国人の目から、日本の衣食住の文化を紹介する番組で、前回・5月27日(日)のテーマは「花」だった。
2週間前・5月13日(日)の「竹」(画像)が特に印象に残っている。
『京都・嵐山に外国人が押し寄せるなど、いま日本の「竹」が大人気。日本人は、古来「竹」を様々な日用品に利用し、筍料理に舌鼓を打ってきた。しかし、外国では日本ほど竹を利用しないという。様々な用途に竹を利用し、味も楽しむ日本の竹はクール?外国人の視点で日本に根付いた竹文化のクールを探る』と解説にある。
あらゆるところに「竹」が存在しているのに慣れていて、気が付かなかった竹の魅力と、その特性を生かし上手に利用する日本人の知恵にハッと驚いたものだ。
その他、ここでは一部しか紹介していないが、「和風総本家」、「ワタシが日本に住む理由」(画像)や数々の旅番組があり、このジャンルの番組を見ることが多い。
●このような番組が増えたことをどう思うか
拙ブログの「日本を褒めるテレビ番組」でも述べたことだが、日本人としてとても嬉しいことに違いはないし、誇りに思うのだが、これには大きな落とし穴があることも承知している。
どの番組でも日本を訪問した外国人は日本人のホスピタリティに感激し、自分もそれに涙する。
しかし、日本人は本当に人に優しい民族だと思いながら、当然のことだとは思うが、いいところばかりではない。
一方でヘイトや、いじめ、最近の政治、スポーツの世界での暴力やえこひいき、ウソ。自殺も多い。自分さえ良ければいいと思っている日本人がたくさんいる現実があるのも事実だ。
良い点は日本人の誇りとして素直に認めていいことだが、決して他民族より秀でた優性民族というのではなく、自然環境や、残念ながら今は違うが、長い日本の歴史の中で、これまで多くの為政者に恵まれていたのだと思う。
その点だけは戒める必要がある。これに驕ってはいけない。なにしろ、「謙虚さ」とか「慎み深さ」というのも日本人の良さなのだから。
そして、日本人の特長にぜひ「正直」を加えて欲しい。このままでは「嘘つきの国民」というレッテルを貼られかねない状況にある。
なお、「YOUは〜」のプロデューサーである太田勇は、Twitterで『「YOUは〜」は日本礼賛番組ブームの元祖みたいに言われるけど、うちは「日本スゴい」ではなく「日本のそんなとこ発見するYOUスゴい!」がテーマであると述べており、外国の人に安易に「日本スゴいですね」と言わせる番組はむしろ大嫌いである』ことも述べている。(https://twitter.com/ota_yu/status/835304203757072384)
■2017年の状況
2017 年の訪日外客数は前年比19.3%増の2,869万1千人で、JNTO(日本政府観光局)が統計を取り始めた1964年以降最多となった。
これは、航空路線の拡充やクルーズ船寄港数の増加、査証要件の緩和に加え、これまでの継続的な訪日旅行プロモーションなど、様々な要因が訪日外客数の増加を後押ししたと考えられる。
市場別では、主要20市場全てで過去最高を記録。中でも、韓国(714 万人)と中国(735 万 6 千 人)は全市場で初めて700万人台に達したほか、これに台湾と香港を加えた東アジア4市場は、前年比 21.9%増の2,129万2千人となり、訪日外客数全体の70%以上を占めた。
また、ロシアでは年初の査証要件緩和の効果が大きく、前年比40.8%増と高い伸びを示した。(訪日外客数(2017 年 12 月および年間推計値)参照))
■世界の中の日本
前年比20%前後の伸び率で訪日外国人数が伸長している日本だが、世界の観光マーケットではどのような位置づけだろうか?
自国の統計情報だけでなく、他国のデータと比較することで日本の強みや今後の課題が見えてくる。
以下は、【急上昇!?】日本は世界の観光客数ランキングで何位なのか? 国連観光統計2017を読むを参考にしている。
昨年(2017年)7月に発表された国連世界観光機関(UNWTO)の世界観光統計データを元に、世界目線で考察を行っていく。
・2016年外国に旅行した人は12.4億人
まずは全体像を把握していこう。1990年には4億人程度だった外国旅行者数(国際観光到着数)は、四半世紀後の2016年には約3倍の12.4億人まで成長!世界人口が約74億人なので、単純計算すると7人に一人が外国に出かけていることになります。
・エリア別
大陸レベルまで細分化すると、下表の通り。特に日本が属するアジア・太平洋(オセアニア含む)エリアの伸びが顕著で、全体に占める割合も25%になった。
・国別
図はさらに国レベルまで細分化し、上位20位までランキング化したもの。(注:トルコは未確定だが、実態は世界第6位なので、日本は15位とあるが16位になる)
日本は前年比21.8%と急成長してはいるが、テロで減ったものの観光大国のフランスは3倍以上で、まだまだとてもかなわない。
■政府の観光政策
「インバウンド」というあまり聞きなれない言葉が流行っている。
インバウンド(Inbound)は、内向きに入ってくるという意味合いがあり、おもに旅行関連では外国人が訪日することを指す。なお、インバウンドの対義語として、自分の国から外国へ旅行する「アウトバウンド」という言葉も最近使われだしている。
2002年に小泉内閣で閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」は、国交省に対し、2003年より外国人旅行者の訪日を促進する戦略を構築すべしという課題を示した。
そこで国土交通省が策定したのが「グローバル観光戦略」である。この「グローバル観光戦略」は、具体的には以下の4戦略から構成されている。
1.「外国人旅行者訪日促進戦略」
2.「外国人旅行者受入れ戦略」
3.「観光産業高度化戦略」
4.「推進戦略」
これらの戦略を、官民が連携しつつ推進し、各施策の目標達成度を常に測り、新たな戦略を構築して行く。
「ビジット・ジャパン・キャンペーン」はこの中の「外国人旅行者訪日促進戦略」の一環として2003年から行われることとなった。
キャンペーンが開始される前年度(2003年度)には、出国日本人旅行者数が1,652万人であったのに対し、訪日外国人旅行者数は524万人であった。この格差を是正すべく、当初は2010年までに年間で1,000万人の外国人が訪日することを目標とした。
2008年の訪日外国人旅行者数は835万人となり過去最高を記録したが、2007年からの世界金融危機、2008年のリーマン・ショックによる世界的な不況の影響を大きく受け、2009年は679万人と大きく落ち込み、2011年も東日本大震災と福島第一原子力発電所事故で落ち込んだ。
しかし、2012年末からアベノミクスによる円安が進むと訪日外国人旅行者数が急増し、2013年に年間1,036万人を記録して初めて1,000万人の大台を超え、その2年後の2015年には2,000万人目前の年間1,974万人を記録して45年ぶりに出国日本人旅行者数を訪日外国人旅行者数が上回った。
これを受けて日本政府は従来の訪日外国人旅行者数の目標を改め、2020年に年間4,000万人、2030年に年間6,000万人を目指すことことにした。
●日本を信じる
両氏は初版刊行時ともに90歳。東日本大震災で感じた日本人の底力、生きる意味、自らの「老い」と「死」について縦横に語り合う。現在寂聴氏は96歳。キーン氏も6月18日で96歳になる。
同書が刊行された当時は東北大震災の爪痕が激しく、復興は不可能と言われた時期だった。それが「読めば元気の出る対談集!」と銘打ってあるだけに含蓄に富む発言、指摘が目立つ。日本から逃げ出している外国人が多い中、日本への帰化を表明したキーン氏。これで勇気づけられた日本人も多かったことだろう。
キーン氏にとって、90歳になり日本に永住しようという気にさせる日本人の良さというのは、二つあるという。
一つは「清潔さ」、もう一つは「礼儀正しさ」。あと、何が起きても立ち上がって前に進むたくましさ。
メイド・イン・ジャパンについての言及もあった。
「海外で高く評価される日本文化の特徴は、物を作るのがとても上手なことですね。日本のデパートの工芸品売り場で、外国人はみんな驚きます」
そして「海外に紹介すべき日本の文化といえば、私はまず日本の仏教のことを思います」とあり、「仏教の無常観(同じ状態は続かないで変化すること)」を高く評価している。
お二人に共通しているのは、「徹底的な平和主義」と「健康の秘訣は何もない」ことだ。
キーン氏の「私はこの国にいたい。日本の人々と一緒に生きたい。日本に対する愛情が、私に日本人になることを選ばせたのです」
という言葉が重たいが嬉しい。
それに引き換え、今、ニュースで騒がせている事件のことを思うと悲しくなる。「無常」という言葉を信じて生きよう。一方で、いつかは変わって欲しい日本の姿がある。