よりによって公文書の改ざんが、しかも「省庁の中の省庁」と呼ばれる財務省で起きた衝撃的な事実が白日の下にさらされ、政界に激震が起きている。
これは歴史的な事件で、後世まで語られることになるだろう。それほどの大事件である。
傍若無人のままやってきた安倍内閣が遂に大団円を迎える時期が来たと認識している。
政府内ではまだこんなことを言っているそうだ。「判断を間違えれば安倍政権ごと吹っ飛ぶ」
図のようにトカゲのしっぽ切りにして、麻生財務相も辞任しないと言っているそうだが、それどころではない。
この大事件の本丸は安倍首相だ。昨年の衆議院選挙の命題は一体なんだったんだろうか。
もし、安倍内閣が解散しなければ、一大国民運動を起こさなければならないとまで怒っている。
●内閣人事局の弊害
これまで、日本の三権分立は名目だけで、行政の突出ぶりが目立っていたが、かろうじて国会の与野党伯仲により、その独走を抑えてきた。
しかし、ここにきて小選挙区制の弊害と野党の分裂により、自民党の議席が大多数を占めたことと、派閥には問題もあったが、その弱体化により、候補者の選定などの内部けん制が働かなくなり、官邸の驕りが目立ってきた。
内閣人事局は、国家公務員の幹部人事を一元管理する政府組織。審議官級以上の約600人が対象で、官房長官が適格性を審査した上で、幹部候補名簿を作成。閣僚は幹部の任免に当たって首相や官房長官と協議する。局長は官房副長官だが、実際の運用では官房長官が強い権限を持つ。
官邸が強い人事権を握ることで政策や改革が進みやすくなった半面、締め付けられた官僚が過度に政権を「そんたく」したり、以前から各省庁の幹部人事を内閣人事局が管理する「官邸主導」の弊害が指摘されていた。(図)
学校法人「森友学園」問題で矢面に立たされる財務官僚には、霞が関から「あれだけ首相を守れば、昇進は確実」とのささやきもあったが、実際、今度辞任した佐川元理財局長は国税庁長官という異例の出世を果たした。
「公文書の改ざん」公表は、ある意味では「権威が地に落ちた」財務省も、遂に堪忍袋の緒が切れた結果だったのかもしれない。(官邸主導人事に弊害 官僚側にそんたくや不満(2017/6/3、毎日新聞)参照)
●忖度の国日本
もう1年前になるが、忖度(そんたく)の国・日本と(2017/3/25)いうタイトルのブログを投稿したことがある。その一部を。
今から12年前の2006年に誕生し短命に終わった第一次安倍政権も、総裁選での協力者の入閣が目立った論功行賞人事で、「お友達内閣」「少年官邸団」「私の内閣」などと揶揄され、スキャンダルが続出したものだが、その学習効果もなく、昔なら政権が転覆するほどの大問題が続出しているというのに、大多数の国会議席を盾にして逃げ回っている安倍首相。
今や「お友だち内閣」の弊害がてんこ盛り状態である。
彼のような「傲慢人間」は自分の意向を忖度してくれる人ばかりを集めたがるし、周囲には「忖度の達人」が集まりやすい。
正に「類は友を呼ぶ」。彼の周りの人間はみんなそういう連中だ。
森友問題がここまでこじれ、長引いたのは安倍首相のこの発言だった。
2017年2月17日の衆議院予算委員会において、安倍首相は学校法人森友学園に対する大阪府豊中市の国有地譲渡等及び当該学校法人の小学校新設に係る設置認可に関する質疑において
「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います」、また「繰り返して申し上げますが、私も妻も一切この認可にも、あるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして」、さらに「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさにこれはもう私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは申し上げておきたいと思います」との答弁を行った。
これを取り繕うため、決裁書を改ざんした。しかもその結果、近畿財務局で自殺者を出すという悲劇が起きたのだ。
●安倍首相の失言
●安倍首相の失言
安倍首相の失言はこれに留まらない。
2年後に行われる東京オリンピック、パラリンピックの誘致の際についても、安倍首相は原発事故については「アンダーコントロール」と明言。
大震災の復興という看板は実質的に降ろされ、オリンピックが原発事故の問題を矮小化してしまった。
いくら同盟国と言ってもここまで「アメリカ追随」することはないだろう。早速、トランプ大統領から梯子を外されそうになっている。
●官僚の奮起に期待
昨年の同じころ、たまたま霞が関の中央官庁で働いたことがある。
「2ヶ月という短期間ではありましたが、一生(といっても、残り僅かの人生ですが)の思い出になるようないい出会いがあり、仕事の上でも、とても有意義な経験をさせていただきました。
小職は民間企業一筋で、一企業だけのことしか考えていなかったので、全世界に向けて社会貢献を図ろうとするスケールの大きい仕事に向かって邁進する国際〇〇課はまばゆいばかりの存在でした。
皆様には、ますます日本の国際貢献活動の先頭に立ってご活躍されんことを、心からお祈り申し上げます」
事務所の壁にはこんなポスターが貼ってあった。
このスローガンを信じたい。