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老後の生き方【その1】

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 先日、午前中の仕事を終え、午後からマンション管理人の研修会があり、会場へ向かった。

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 昨年の6月、管理人になるための事前研修が2日あり、そのとき出会った人とときどき電話で連絡を取り合っていたが、約8ヶ月ぶりに再会し、この研修が終わった後、会場の近くの焼き鳥(写真)で飲んだ。

 外で飲むのも久しぶりだったが、同年輩で、しかも同じ仕事をしているだけに共通の話題も多く、楽しいひとときだった。
仕事を継続する秘訣

 朝の通勤時間は早い。5時台後半の電車に乗ると、年代や服装がよく似ている男性が多い。同業者現場作業員だとすぐにわかるいでたちだ。何となく親近感が沸く瞬間である。

 自分の仕事は、清掃とかゴミ出しの作業が中心だ。現役時代は身体を動かすことが少なかっただけに、なまった身体には辛い。健康に良いと言い聞かせて働いている。幸い、健康数値と体重は減った。

 ただし、スタッフとか管理職を続けてきたメリットもある。この仕事はほとんど一人で行う。いつも誰かがチェックしている訳ではない。それだけに「自己管理能力」が問われる。そして、記録を保管する「ファイリング」の技術や、主に居住者との「コミュニケーション」「トラブル折衝」能力も必要だ。ただ体力だけで簡単に出来る仕事ではない。
 
 またしても、マイブームの黒柳徹子さんの著書で共感したことがある。

 彼女は「人生一度何かを決めたら、飽きない性分」だということだ。

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 「同一司会者によるテレビトーク番組最多放送」ギネス世界記録に認定され、現在43年目を迎える「徹子の部屋」(写真)で象徴されるように、彼女は今まで「退屈」をしたことがないという。

 同じ道を歩いていても、その途中で、季節の変化を感じたり、何か新しいものを見つけたりするそうだ。

 その源泉となる好奇心を保つ秘訣は、「人でも自分でも、無理に『こうだ』と決めつけない」「価値観って、人それぞれだから、一般論に振り回されことはない」ことだという。

 これは僭越ながら、自分の人生観・仕事観に通じる。仕事でマンネリに陥らなかったのは、「毎日のちょっとした発見」にあった。一見どんな単純作業に見えても毎日違うことがあると思って仕事を続けてきた。

 今もその気持ちが生きていると思っている。
「老後の生き方」2冊の本から

 ところで前作で、「老後の生き方」に関する本について、2冊の本を紹介した。

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 楠木新「定年後」(2017年、中央公論新社、写真左)と、森村誠一+堀田力「人生後半の愉しみ方」(2001年、PHP研究所、写真右)である。

 両者とも、定年後の生き方についての核心に迫る話ばかりで、今の歳(今月で69歳)になっても参考になる。

 以下、楠木新著「定年後」を参考にした場合「定年後」、森村誠一+堀田力著「人生後半の愉しみ方」を参考にした場合「人生後半」と脚注していきたい。

 前作では定年後に、会社にいたときとのギャップが埋めらず、悩む人が多いことに少し触れたが、ここでもそのことが重要なテーマになっている。 

 「定年後」といっても人によってニュアンスが異なる。自分の場合は、60歳の定年後、転職して68歳手前までその会社で働いた。今も、前述のようにマンションの管理人として週5日、7時間勤務を続けている。

 自分の定年は、一昨年末、68歳手前まで働いた時期を指すと思う。
定年退職後の環境はガラリと変わる 

 定年後の生活はガラリと変わる。誰にとっても定年退職は大きな環境変化に違いないが、その後も働いている人と、リタイアした人に分かれ、いずれも当てはまることと、一方だけに当てはまることがある。

 自分は前者の「その後も働いている」口だが、その一番の理由は「生活のため」ではあるが、さしたる趣味もなく、「このままではボケて朽ち果てる」のではという不安が仕事を続けている大きな動機の一つになっている。

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 のように、一昨年末まで働き、引っ越しもあったので、その準備などのため少し休んだ。それから、昨年の3月から4月末までの2ヶ月間、友人の紹介による派遣の仕事があったが、その後は不定期で当てにならない。

 そんなに休んだ訳ではないが、その間の毎日の時間が長い。そして、予定もなく手帳も必要無くなったので、曜日を忘れそうになった。

 実用面でいうと、スーツ、ネクタイ、ワイシャツ、革靴が不要になった。その代り普段着が足りない。引っ越しでも捨てきれず持って行ったが、妻からそっけなく「もう要らないでしょう」と言われハッとした。引っ越し後に大袋を3袋もゴミの日に処分した次第だ。

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 そして、自分の性格からして、この歌のように「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、それで身上つぶした」小原庄助さん写真は、同名映画の一シーン)のようになりそうな危機感を覚えた。

 それで職を探し、昨年6月の研修を経て、7月からマンションの管理人になり、今日に至っている。

三波春夫/会津磐梯山
               


定年後は孤独との戦い

 ここでは女性の定年については触れない。「女性は現役時代から、仕事だけでなく、家事も、子育ても、食べ歩きやショッピングなど好きなことも手放さないで、調整しながら何とかやってきたからだ。仕事だけだった、と言う人が多い男性とはそこが違う」「定年後」

日本の男性は世界一孤独?

 下図は社会集団において友人や仲間などとほとんどあるいは全く過ごさない人の割合を世界比較したものだ。(出典:OECD Women and Men in OECD Countries、2005年)
 

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 右から2番目が日本の男女だが、社会的孤立している男性の割合が16.7%と、2位のチェコの男性(9.7%)を大きく離して、世界的にも突出した数字となっている。

 要因として日本人男性の人間関係は会社中心。生活時間のほとんどを会社で過ごし、上司、同僚、部下と家族のような関係性を築き上げるのがサラリーマン世界である。

 このような人間関係は現役時代のうちはいいが、定年後は一変し孤独になる。特に定年間際に役職に就いていた方はチヤホヤされていた現役時代から誰も相手にしてくれない寂しい定年後に一瞬にして落ちてしまうのだ。(
「定年後」

 「肩書社会の弊害が、定年後の人間関係を貧しくする」「つきあい下手というのは、特に六十歳代にあらわれるもの」「定年後にも序列をつくってしまう男の哀しい性」「仕えることに慣れている人たちには、言葉がない」「裸のつきあいの中では、どんな人が評価されるのか」「縦社会から横社会への意識改革こそが、何よりも重要」「上の人間は大事にされているように見えるけれど、実は組織とは極めて非人間的なもの」と、小タイトルにも厳しいことが書かれている。
 
 定年前の肩書を引きづった序列化を、簡単に崩すことが出来る方法がある。それは、例えばゲートボールの会など、これまでとは全く別の価値基準をもった集団に入っていくことだ。「人生後半」

誰からも名前を呼ばれない

 家族からは「おとうさん」と呼ばれ、電話やファックスも自分あてには来ない。退職した当初は、引き継いだことや仕事の確認のため電話が入るかもしれないと思っていたが、それも一切なかった。(「定年後」)

 名前を呼ばれるのは病院だけだという。

定年後の退職者の活動は

 まずは図書館。真っ先に新聞コーナーに行く。各自1紙ずつ手に取って読み始めるが、数紙の新聞を持ち回りするそうだ。遅い人がいるとちょっとした小競り合いもあるという。

 スポーツクラブも午前中は見事なまでに高齢者が中心である。利用者の要望を掲示するボードに「スポーツクラブと思って入会したのに、ここは養老院なのか」という、にわかには笑えない意見書が貼られていたという。

 喫茶店・カフェで午前中過ごしている人も多いようだ。

 それにしても、それぞれの場所における定年退職者と思しき人たちの特徴を一言でいえば、誰もが独りぼっちだということのようだ。

OB会、同窓会

 会社OB会窓口担当者の多くは、年1回ある会合では小言をいただき、説教めいた話を聞かないといけないので、あまり出たくないそうだ。

 自分がある会社の総務部長をしていたときにもそんな経験がある。「先輩招待会」なる年1回の会合で、パーティの始まる前にOBの希望者に対して会社の業況説明を行う時間がある。その場で、ある先輩が会社の経営批判をしたというのだ。

 現役の役員は余計なお世話だと怒って、今後こんな行事は止めたらどうかと言いだし紛糾したことがある。いずれにせよ、元社長や、いまだに会社が命と思っているOBが何人も参加するので、気を遣うことこの上なかった。

 その点、同窓会は居心地がいい。この歳になって「~君」と呼ばれることはまず無い。同じ歳で、全く利害関係のない人たち。ここで今の地位や過去の栄光を話しても相手にされないだけだ。そして、同窓会で若い時の感動を思い出せば、脳も活性化し、健康にもいいという。

アメリカの定年退職者も大変

 もう16年前になるが『アバウト・シュミット』(About Schmidt、2002年)という映画があり、そこで初めてアメリカにも「定年」があることを知った。そして定年後「濡れ落ち葉」になることも。

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 ルイス・ベグリーの同名小説を原作とするアメリカ映画だが、主役のジャック・ニコルソン(現在80歳、写真)はこの映画でゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)などを受賞した。


 Wikipediaによると、筋書きはこうだ。

 ネブラスカ州オマハの保険会社でアクチュアリーとして働いていた平凡な66歳男性のウォーレン・シュミットは退職した。しかし退職後の新しい生活に馴染めず、自分には価値がなくなったように感じていたウォーレンは、テレビ・コマーシャルでアフリカの子供たちを援助するプログラムを知り、6歳の少年ンドゥグの養父になって彼に手紙を書くようになる。しかし、家族のことなどを書いてゆくうちに世の中や自分の境遇に関する怒りがこみ上げてくる。

 そんな折に妻のヘレンが急死してしまう。しかも妻が過去に自分の親友レイと浮気していた事を知ってしまい、やり場のない気持ちを持て余したウォーレンは、トレーラーハウスで一人娘ジーニーの結婚式の手伝いにデンバーに行くことにする。

 しかし、ジーニーに手伝いは要らないと断られたウォーレンはそのまま旅に出るが、キャンプ場ではトラブルを起こしてしまう。

 娘の婚約相手ランドールの実家を訪ねたウォーレンは、ランドールの母親ロバータをはじめ、彼の家族がとんでもない連中だと知ると、ジーニーに結婚をやめるように諭すが、そんな父親の言葉に娘が耳を貸すことはなかった。

 意に反して娘の結婚式を無難にこなし、やがて帰宅したウォーレンは留守中に届いていたチャリティ団体からの手紙を見つける。そこにはンドゥグが描いた絵が同封されていた。(写真)それを見たウォーレンは涙を流す。

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 続く。

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