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数字と言葉のトリック【その3】

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――労働人口はこの20年で800万人以上減っています。

 分母が求職者数、分子が求人数だとすると、分母にあたる若者は減る一方なので有効求人倍率は相対的に上がります。雇用政策の成功によって有効求人倍率が上がっているわけではありません。2008年のリーマン・ショック以降の不景気で企業が求人を絞っていたため、こうした社会構造の変化による人手不足が表に出てこなかっただけなのです。景気動向に左右されるのは中途よりも新卒採用なのですが、この大きな流れで見れば新卒の就職率が上がるのも当然です。

――新卒の求人状況はどうですか。

 リクルートワークス研究所の調査結果によると、18年3月卒業組が対象の大卒求人倍率は1.78倍で前年とほぼ同水準です。大卒求人倍率で1.6倍を超えると売り手市場と呼ばれます。しかし、従業員数5000人以上の大企業の求人倍率は0.39倍で、圧倒的な買い手市場です。1番人気の金融業は0.19倍。広告やウェブ、IT系の情報サービス業は0.44倍。一方で、製造業2.04倍、建設業9.41倍、小売りなどを含む流通業11.32倍。業種によって大きな開きがある。

 就職できればどこでもいいということであれば、職に就けるのかもしれません。しかし、求職者と求人側のニーズに明らかなギャップがある中で、それをないまぜにして平均化し、景気が上向いて幸せな就職が増えていると結論付けるのは乱暴でしょう。学生が殺到するいわゆる大企業の場合、競争率はおおむね100倍。100人の求人に対し、1万人が受験している状況です。

――狭き門です。

 毎年50万~60万人ほどの学生が就職活動する中、大企業に入社する学生は10万人ほど。およそ8割の学生が中小企業に就職するのですが、大半の学生が難関の大企業を含め、トータルで100社以上も受験します。エントリーシートを書き上げるだけでも、1社あたり2~3時間の労力がかかるんです。

 求人倍率が表しているのは最終的にどこかに就職した結果の数字に過ぎず、そこに至るまでの苦労が加味されていない点でもピンときません。雇用環境の実態を見るために追わなければいけない数字は求人倍率ではなく、離職率の方でしょう。

 ――入社3年以内の離職率が中卒7割、高卒5割、大卒3割といわれる「七五三現象」は改善しているのでしょうか。

 足元でいえば、変化はありません。景気が良くなって希望通り、あるいは希望に近い仕事に就けたとなれば定着率は上がるはずですが、頭を抱えている企業は少なくありません。早期離職をテーマにしたイベントを開くと、企業関係者がかなり集まります。特に飲食サービス業の早期離職は5割を超えます。
景気拡大のウソ


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 主要100社を対象に朝日新聞が11月に実施した景気アンケートで、国内の景気の現状を「拡大」「緩やかに拡大」とみる企業が計9割に達した。企業の景気判断が改善する一方、客観判断とは別に、戦後2番目とみられる長さで続く景気拡大を「実感」できるか尋ねると、44社が「あまり実感と合わない」と答えた。

 調査は年2回。各企業の経営トップへの面談を原則に、11月13~24日に実施。98社から回答を得た。

 国内の景気の現状では、前回調査(5~6月)ではゼロだった「拡大している」が2社に。「緩やかに拡大している」も前回から11社増えて88社になった。

 みずほフィナンシャルグループの飯田浩一常務は「もともと好調だった自動車産業に加え、半導体など電機セクターがよい。五輪やインバウンドの需要も日本経済を牽引(けんいん)している」と好況の背景を語る。

 2012年12月に始まった景気拡大は「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さとなる見込み。企業側の受け止めを聞いたところ、「大いに実感と合っている」が1社、「ある程度、実感と合っている」は51社。

 ただ、「あまり実感と合わない」も多い。その理由としては、「賃金が十分に伸びていない」(26社)、「社会が成熟し、需要が拡大しにくくなっている」(18社)が多かった。
 「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「株価が上がってバブルなだけ。海外市場を相手にしたところばかりよく、日本の景気自体はよくなっていない」と指摘する。

 調査が主要100社というのが曲者だ。

 いつも思うのは、こういった調査が日本の99.7%を占めている中小企業が入っていないということだ。従業員数も70.1%もあるというのに、本当に景気は良くなったのだろうか。賃金はアップしたのだろうか。
 
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 「トリクルダウン」と言って富裕者や大企業を豊かにすると、富が国民全体に滴り落ち、経済が成長するという骨董無形な理論は破綻している。

 都合の良い理論やデータに国民は騙されてはいけない。

吉田拓郎/ペニーレインでバーボンを





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