今回はクルマのCM特集をしようと思うが、せっかくクルマの特集を続けているからには、少し勉強もしなければと思い、下表の通り国産車の主要機種について年表を作ってみた。
すでにお分かりのように、車のことに詳しくないので、機種の選定などに問題があるかもしれないが、ご容赦いただきたい。
昨年度の国内の自動車メーカーの売上ランキングは次の通り。
<年表>
元々は大きなサイズで作ったのだが、縮小されて、何が何だか分からない。興味ある方は、拡大して見てください。すいません。
この表を作り改めて分かったこと。特に日産自動車が顕著だが、1960年代に人気車種が集中して発売されていることだ。
●スカイライン神話
グラフを見ると、今は倍以上の差がついているが、その昔、確かトヨタとニッサンの売上は肉薄していたはずだ。「技術の日産」と呼ばれ、これから言及するスカイラインを始め、個性的な車が多く、人気はトヨタを上回っているほどだったと記憶している。
いまだに「スカイライン神話」という成功秘話が懐かしく語られ、写真のような「スカイライン物語」という本が発売されている。
今年は誕生から60周年を迎え、記念行事が行われた。なお、GT系は愛称として「スカG」(スカジー)と呼ばれることも多い。
スカイラインのCMは有名な曲が多い。
スカイラインのCMは有名な曲が多い。
◆山下達郎によるCM曲
山下達郎は「ターナーの機罐車」「悲しみのJODY」「SOUTH BOUND No.9」と、スカイラインのCM曲を数多く発表している。
「悲しみのJODY」 (She Was Crying) は、アルバム『MELODIES』(1983年)の中の一曲。
後に、1993年に発売した「9代目スカイライン」(R33、写真)のCMに使われ、キャッチフレーズは「走りの向こうに、ロマンがある」だった。
山下達郎/ターナーの汽罐車(1991年)
◆極めつけは男性フォークデュオ・BUZZのこの曲
総計64万台と、歴代のスカイラインシリーズでも最大のヒットを記録した。
「ケンとメリーのスカイライン」という広告のキャッチフレーズから、“ケンメリ”と称される。
そのCMは、キャッチフレーズの通り、ケンとメリーを演じる若いカップルが主役。スカイラインに乗る彼らが四季折々に見知らぬ土地を訪ねたり、遊びに興じたり、時に物思いにふけったりする姿を追った映像のバックに、男性フォーク・デュオのBUZZ(バズ)が歌う叙情的なメロディーが流れていた。
彼らは同CMソングに起用された「ケンとメリー~愛と風のように~」でレコードデビュー。オリコンチャート19位まで昇るヒットとなり、33万枚を売り上げた。
BUZZ /ケンとメリー~愛と風のように~(1972年)
●タイアップソング(の苦難)
◆小沢健二/カローラIIにのって
小沢健二の「カローラIIにのって」(1995年)は、トヨタ「カローラII」(写真)のCMソングとして、前年1994年からオンエアされていた楽曲。曲のタイトルは、その「カローラII」にちなむ。
当初CDは全国の販売店向けに5,000枚をプレスしたのみで、市販する予定はなかった。しかしCMが人気となったため市販に踏み切った。市販用CDは80万枚以上を売り上げた。
なお、車種名が題名にまで出て来るため、NHKの歌番組で歌うことは出来ない。
小沢健二/カローラIIにのって(1995年)
◆山口百恵 /プレイバックPart2
歌詞に登場する「真っ赤なポルシェ」という歌詞のため、NHKの歌番組では「真っ赤なクルマ」と一部改変して歌ったようだ。
なお、真っ赤なポルシェの型式に関しては、様々な見解があり、現在でも確定していない。
山口百恵 /プレイバックPart2(1978年)
◆岩崎宏美/万華鏡
そのため、当時ダイハツ工業が主要スポンサーとして名を連ねていたフジテレビの『夜のヒットスタジオ』では、この曲が発売されている期間は出演を見合わせたという。
岩崎宏美/万華鏡(1979年)
◆しばたはつみ/マイ・ラグジュアリー・ナイト
しばたはつみ(2010年、57歳で没)の「マイ・ラグジュアリー・ナイト」(1977年)は、タイアップ曲の一つで、マツダ・コスモのCM曲。シングル盤のレコードジャケットにもコスモが写っている。(写真)
オリコンチャート17位のヒットとなり、同年、第28回NHK紅白歌合戦に初出場した。
また、サウンド・イン"S"(TBS)ではサブ司会としてレギュラー出演するなど、ジャズ歌手として活躍していた。
しばたはつみ/マイ・ラグジュアリー・ナイト(1977年)
◆PUFFY/サーキットの娘
PUFFY(パフィー)は、日本の女性ボーカルデュオ。メンバーは大貫亜美と吉村由美。1996年に奥田民生プロデュースのシングル「アジアの純真」でデビュー。力の抜けた自然体のスタイル、親しみやすいキャラクター、ハイクオリティな楽曲が特徴。
「サーキットの娘」(1997年)は、池沢さとしの漫画『サーキットの狼』(写真)のパロディ。タイトルにちなんでレースクイーンがテーマとなっている。
漫画は、愛車ロータス・ヨーロッパを駆る主人公の風吹裕矢が、一匹狼の走り屋から始まり公道やサーキットを舞台にライバル達との競争を繰り広げ、プロレーサーへと成長していく物語である。
ライバルとしてポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ、日産・フェアレディZ、シボレー・コルベット、トヨタ・2000GTなど、世界中の著名なスポーツカーが多数、劇中に登場。いわゆるスーパーカーブームの火付け役となった。単行本の発行部数は1977年時点で1,100万部を突破し、累計では1,700万部を記録している。
この曲はヤマハのスクーター「Vino」(写真)のCMソングに使用され、CDジャケットイラストでも二人はVinoに跨っている。ビーノ(Vino)とは、イタリア語でワインを意味する。
なお、PUFFYは、デビューから13枚目の「あたらしい日々」まで、全てタイアップ付のシングルレコードだった。
PUFFY/サーキットの娘(1997年)
●思い出のCM
◆「星影の小径」(1950年)は、小畑実の歌唱で発売された歌謡曲である。
後に多数の歌手によってカバーされたが、ちあきなおみによってカバーされたものが、幾つかのCMに起用され、1992年のアウディ(写真)のCMも話題を呼んだ。
ちあきなおみ/星影の小径(1992年)
◆「この素晴らしき世界」(What a Wonderful World、1968年)は、「サッチモ」こと、ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)の楽曲。作詞・作曲はG・ダグラス(音楽プロデューサーのボブ・シールのペンネーム)と、ジョージ・デヴィッド・ワイス。原曲は『きらきら星』である。
作詞したボブ・シールームは「ベトナム戦争」を嘆き、平和な世界を夢見てこの曲を書いたという。
1996年に3代目ホンダ・シビック(写真)のCMとして起用され、日本でシングルにリリースされ、大人気となった。
ルイ・アームストロング/この素晴らしき世界(1968年)