昨年の後半からこれまでの半年の間、人生の終盤を迎えたときだというのに、「退職ー転居ー再就職」という、ドラマが待ち構えていた。
下図の通り、その成り行きを時系列にしてまとめてみた。
●退職のいきさつ
一昨年ぐらいから仕事の方針について、社長と考え方の違いの溝が広がり、3月末で自分の方から申し出て役員を辞退、部下が自分の立場になった。
そのとき退職しようと思ったが、踏みとどまり、建屋の異なる別部門の責任者に転出した。
ところが、1年契約の更新だと思ったところ、最初は、切りのいい年末までにして欲しいと言われ、8カ月の雇用契約を取り交わしたが、後で考えてみると、言い方は悪いが、「してやられた」という感じだ。
社長から契約更新可否の話がなかっので、焦れて10月17日に自分の方から聞きに行くと、年末で辞めてくれとのこと。かくして、新しい部門でわずか8カ月の勤務、入社して7年8カ月の会社人生を終えた。
企業のトップと言い争ったので、その「仕返し」は覚悟しなければならなかったのだろうが、後味の悪い辞めかたになってしまった。
今や67歳。この3月には68歳になる。年齢的には潮時かも知れないが、まだあまりある体力と気力が残っている。それでも、この歳での転職の厳しさは身に染みているつもりだ。
●転職の歴史
下図が50歳を越えての我が転職の歴史である。
今から7年半前、ブログを始めたてのころ、第174話:転職の歴史(2009年9月11日の記事の一部である。このF社というのが、昨年末まで働いていた会社だ。
当時、+αと書いた在籍期間は、結局7年8ヶ月。50歳以降6回も転職を重ねた中で、60歳に再就職したこの会社が一番長く勤めることになった。
この間、転職活動を要する失業は3回。それも期間は短く、あとの2回もすんなりと就職が出来、高齢の転職としては大ラッキーだった。
もう、これまでの「神風」に期待は出来ない。
●再就職活動と、就職後3日目の感想
年末で辞めたあと、ハローワークには顔を出していたが、取りあえず退職のほとぼりを覚ますことと、引っ越しの後始末もあったので、2ヶ月の「プータロー」は既定路線だった。
「退職のほとぼり」を覚ますには時間がかかった。仕事での達成感が強かったので燃え尽き症候群に近かったことと、長年付き合っていた社員との別れが辛く、辞めたあとに会社との別れという記事を書くなど未練たらしく、男らしくなくなかった。
時がそれを解決してくれる。あれから2ヶ月経ち、ようやく心に落ち着きが戻ってきた。
そして、3月から本格的な就職活動をしようと思った矢先だった。短期間ではあるが、運よく仕事が決まったのだ。
仕事に就いて3日目。ようやく作業が出来る環境が整い、午後から書類が回ってきた。
実は、一日中机に座って実務をしたのは社会人になってからのたった3年間ぐらいだ。それからは営業マン、管理職と続き、席を温めることは少なかった。
一日中パソコン、書類とのにらめっこ。眼も衰えてきた。腰も痛い。…心配はあるが、やれるだけやってみよう。自分との戦いだ。
昨日はそういうわけで、最初の一仕事を終えた。担当者に聞いてみた。「遅いですか?」答えはこうだった。「いや、早いですよ」 これで、取りあえず自信はついたところだ。
気分が高揚していたので、久しぶりに目黒区・池尻大橋にある、元行きつけの居酒屋とスナックの2件に寄り、大騒ぎして家に帰った。
●引っ越し前の出来事
実は「そろそろ」という予感はあった。建物の老朽化による取り壊しを行うため、立ち退きの依頼は昨年の8月30日、家の不動産屋の担当者が突然やってきた。
最後に写真を残しておいた。近いうちに解体されるはずだ。
テラスハウスの右側に住んでいた隣家は、とっくの昔に引っ越しをした後は誰も入居していなかった。
●引っ越し後の出来事
引っ越しした2月11日。それからもう1ヶ月近く経つ。新しい地に慣れるのは当たり前だ。
それが、買い物など、近くに出かける場合にとても便利がいい場所であることが分かった。
大型スーパーやホームセンターが目白押しで、しかも近くにある。
ちょっとした病気にかかり、二つの病院にも行った。
何よりも一番気に入っているのは大型図書館のことだ。町田中央図書館のことだが、本当にいい本がたくさんあり、大満足している。
まさか、住むとは思っていなかった、相模原市と、隣接する町田市。ブログでは、神奈川のおきて【その2】相模原、神奈川のおきて【その6】神奈川県?町田市で紹介した。
転居の手続きはほぼ終わった。
●確定申告
確定申告について、相模原税務署に2回行った。
2回行った理由は、手続きをする際、年金の源泉徴収票を忘れたからだ。
一回目は2月24日。長い行列でやっとこれからというとき、帳票がないことに気付いた。
それが、家に帰って探したがみあたらない。多分、退職や引っ越しのどさくさで、どこかに紛れたのだろう。
それで、年金ダイヤルに再発行を依頼すると、2週間ぐらいかかるという。それだと、直接年金事務所に問い合わせた方が早いですよと言われ、最寄りの年金事務所に電話すると、2月28日午後に発行してくれるという。
2月28日、年金事務所でもらったその足で、税務署に行き手続きを終える。昨年は医療費控除が無かったので大したことはないと思ったが、それでも5万7千円も還付がある。庶民にとってはバカにできない金額だ。
年金事務所が速やかに再発行してくれたことと、すぐに税務署で手続きをしたおかげで、結果的に3月1日就職前の直前だったが、確定申告の手続きを終えることが出来た。
●総括
今のところ、いいサイクルが回っている。
引っ越しの時期も良かった。退職後だったので、家財の整理や、移動の手続きにたっぷりの時間が取れた。
新居の契約の関係で、1ヶ月ほど旧居と新居の家賃をダブって払わなくてはならな期間があったが、それを避けるため早く引っ越した場合は、多分トラブルが多発していた。
退職後2ヶ月の充電は「癒し期間」としての長さもちょうど良かった。
そして、短期ではあるが、舞い込んできた仕事。
「自分には無理」とか言って断らなくてよかった。
退職、転居、再就職ーどれをとっても最初はいやでいやで、気持ちが沈んでいたが、今はとても新鮮だ。
「人生至るところに青山あり」。身をもってそれを味わった思いだ。
だだし、「好事魔多し」。こんなことで、浮かれすぎないように注意だけはしたい。
奥田美和子/人生に乾杯を!(2012年)