7月10日・参院選の投開票日まで残り1週間。
今回は、初の18歳からの選挙権、アベノミクスの評価、消費税増税の先送り、民共協力の成果、改憲勢力2/3なるか、沖縄基地問題、原発の再稼働、米国の大統領候補がそろって反対のTPP、公的年金の運用損失など、どれをとっても日本の岐路が問われる争点や問題だらけだ。
本来なら選挙終盤を迎え、新聞・テレビの報道は大いに盛り上がっているはずだ。
ところが今のところそんな様子がみじんも感じられない。
アベノミクスが行き詰まり、野党にとっては格好の追及の場だというのに、与野党の党首が集うテレビ討論会が公示後は1回しか行われていないという「異常事態」に陥っている。亡くなられた方とご家族にはお気の毒だが、ダッカ襲撃事件はその言い訳に利用されそうだ。
今、「忖度(そんたく)」というあまり聞きなれない言葉が流行っている。「安倍首相の意向を忖度した結果」とかに使われている。直接言われなくても、配慮するということだ。
党首討論でアベノミクスの失敗を指摘されれば「火ダルマ」になるのは目に見えている。だから、安倍は党首討論を避けて「争点隠し」に走っている。そんな卑怯な安倍を密かに支えているのが今のテレビなのだ。
参院選で与党が勝利すれば、安倍首相は一気呵成に『憲法改正』に動く。今回の結果は、日本が平和憲法を守るために踏みとどまれるのか、それとも戦争に突き進むことになるのか、重要な国政選挙であり、メディアはこれまで以上にきちんと報道しないといけない。ところが、テレビは安倍政権の片棒を担ぎ、『争点隠し』に加担している。このままだと投票率は下がり、安倍政権の思うがままになりそうだ。
参院選で与党が勝利すれば、安倍首相は一気呵成に『憲法改正』に動く。今回の結果は、日本が平和憲法を守るために踏みとどまれるのか、それとも戦争に突き進むことになるのか、重要な国政選挙であり、メディアはこれまで以上にきちんと報道しないといけない。ところが、テレビは安倍政権の片棒を担ぎ、『争点隠し』に加担している。このままだと投票率は下がり、安倍政権の思うがままになりそうだ。
「最低の犯罪者とは、間違ったものを目にし、それが間違っていることに気付いていたにもかかわらず、そこから目を背けてしまう人たち」
今年4月に来日公演を開いた米国の伝説的ロック歌手、ボブ・ディランの有名なセリフだが、この言葉は今の日本のテレビ局にソックリ当てはまる。
今年4月に来日公演を開いた米国の伝説的ロック歌手、ボブ・ディランの有名なセリフだが、この言葉は今の日本のテレビ局にソックリ当てはまる。
安倍首相が遊説で連呼する次の「アベノミクス」自画自賛の数字は矛盾だらけだ。
数字のトリックというのは恐ろしい。
「雇用は3年間で110万人分を生み出し、有効求人倍率は24年ぶりの高水準。パートの時給も過去最高」――。全国遊説で安倍首相が必ず口にしているのが、この「アベノミクス自画自賛」の決まり文句だ。
だが、雇用の中身は正規を36万人減らし、身分が不安定な非正規を167万人増やしただけ。1日公表された有効求人倍率も正規は0.87倍だ。だいたい、24年前の生産年齢人口(15~64歳)から今は約1000万人も減っているのだ。人口が減れば雇用指標が押し上げられるのは当然であり、求人が増えているのは、介護など労苦が多いわりに報われない仕事ばかりだ。
雇用が回復し、時給も右肩上がりなら、なぜ、実質賃金が5年連続でマイナスなのか。総務省発表の家計調査でも、5月の1世帯当たり(2人以上)の消費支出は28万1827円で前年同月比1.1%減。2月にうるう年の影響でいったんプラスになったことを除けば、9カ月連続のマイナスだ。
「2年で2%の物価上昇」を目指した日銀の異次元緩和も、5月の消費者物価指数は前年同月比0.4%減で、異次元緩和に踏み切った13年4月以来の下げ幅に逆戻りした。安倍がバカの一つ覚えのように「サイコー!」と連呼したところで「アベノミクス」の失敗は歴然。だからこそ、新聞各紙の世論調査でも6~7割が「アベノミクスを評価せず、見直すべき」と答えているのだ。
確かにドル円相場は15年6月5日に13年ぶりに1ドル125円台となり、大企業は大儲けしたが、30兆円近いカネが内部留保に回っただけ。
中小企業には何ら恩恵がなく、そうしたら年明けから円高、株安が進行。英国のEU離脱の影響もあって最近は1ドル100円近辺で推移している。(図)
大事なのは「この道を。力強く、前へ。」という自民党のスローガンではなく、「これからの道はどうするの?」だ。しかし、安倍首相の口からは何も語られない。党首討論もないから、不透明のままだ。
そして、2015年度分の住民税が課税されていない人で、2017年3月31日までに65歳以上になる人に対して、参院選挙の前に、3万円の「年金生活者等支援臨時福祉給付金」を支給している。現在1,044万人が申請をしており、うちすでに585万人に給付金が振り込まれているそうだ。585万人×3万円=1,755億円だけでも、凄い金額。
そして、2015年度分の住民税が課税されていない人で、2017年3月31日までに65歳以上になる人に対して、参院選挙の前に、3万円の「年金生活者等支援臨時福祉給付金」を支給している。現在1,044万人が申請をしており、うちすでに585万人に給付金が振り込まれているそうだ。585万人×3万円=1,755億円だけでも、凄い金額。
明らかに高齢者に対する選挙対策であり、姑息なやり方だ。
安倍政権は2014年10月、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用する株式の比率を倍増させたが、15年度の運用実績は5兆円超の赤字となっていたことが判明した。(図)
政府は「数字が確定していない」ことを理由に、正式な運用結果の公表は、選挙後の7月29日とする方針だ。本来であれば7月初めには毎年公表していたものをわざと遅らせるという姑息なやり方である。ここにきてさらに株価の低迷が続いているので、損失は最大30兆円という驚愕説まで出ている始末だ。
政権側が懸案を先送りした例はこれにとどまらない。
先の通常国会では、環太平洋連携協定(TPP)の国会承認を見送り、継続審議とした。3月に施行された安全保障関連法で可能となった自衛隊の駆け付け警護についても、南スーダンに展開中の国連平和維持活動(PKO)部隊の任務に加えるのは今秋以降とする見通しだ。
政権の暴走を許してはならない。
話題は都知事選ばかり “参院選は死んだふり”自民党の狡猾(日刊ゲンダイ、2016年7月2日号記事参照)