不倫と並んで最近注目の社会問題、薬物汚染についても投稿したばかりだが、日本語では、シャブ、エス (S)、スピード(speed) などの俗称で呼ばれ、英語ではアイス(ice)、メス(meth)、クリスタル・メス(crystal meth)などの俗称がある覚醒剤(ヒロポン)は、実は日本人の発明で、第2次世界大戦時には特攻隊員も使っていたとされる。
■覚醒剤を発明したのは日本人
1893年(明治26年)、日本近代薬学の祖と呼ばれる、長井長義氏(1929年、83歳で没、写真)により、エフェドリンから合成されて生まれたメタンフェタミンのことを指す。「麻黄」の有効成分で喘息や咳の薬として使われるエフェドリンを創製したとき、その誘導体の1つとして作られた。
1919年(大正8年)には、緒方章氏がその結晶化に成功した。
ヒロポン(Philopon) とは、大日本住友製薬(旧:大日本製薬)によるメタンフェタミンの商品名であり、同社の登録商標である。成分名は塩酸メタンフェタミン。剤型はアンプルおよび錠剤である。ヒロポンの名は、「疲労をポンと取る」にも掛けているが、英文綴りに見られるように、ギリシア語のピロポノス/労働を愛するを由来としている。
■戦前のヒロポン
第二次世界大戦当時には連合国軍と枢軸国軍の双方で、航空機や潜水艦の搭乗員を中心に、士気向上や疲労回復の目的で用いられた。
日本では、大東亜戦争以前より製造されており、「除倦覺醒劑」として販売されていた。その名の通り、疲労倦怠感を除き眠気を飛ばすという目的で、軍・民で使用されていた。
現代でこそ、覚醒剤の代名詞であるヒロポンだが、当時はメタンフェタミンの副作用について、まだ知られていなかったため、規制が必要であるという発想自体がなく、一種の強壮剤として利用されていた。
当時の適応症は、「過度の肉体および精神活動時」「夜間作業その他睡気除去を必要とする時」「疲労二日酔乗り物酔い」「各種憂鬱症」であった。
大日本帝国軍では、長距離飛行を行う航空兵などに支給されている。ヒロポンの注射薬は「暗視ホルモン」と呼ばれ、B-29の迎撃にあたる夜間戦闘機隊員に投与された。中には、一晩で5機のB29を撃墜した例もあった。ヒロポンは「本土決戦兵器」の一つとして量産され、終戦時に大量に備蓄されていた。
■戦後のヒロポン
日本で覚醒剤のリスクが認識されたのは1947年(昭和22年)に入ってからだ。ただ、海外の文献にも薬害のくわしい記載はなく、最初は精神疾患と誤解されていた。
日本の敗戦により、大日本帝国軍の備蓄品が一気に市場へ流出すると、酒やタバコといった嗜好品の欠乏も相まって、人々が精神を昂揚させる手軽な薬品として蔓延した。
その薬物依存症者即ち「ポン中」が大量発生し、中毒患者が50万人を超えるなど社会問題となった。
加えて、中毒者が行う不潔な注射器の使い回しは、肝炎ウィルスの伝染機会を増加させ、輸血後肝炎が感染拡大する遠因となった。この時期芸能界にも蔓延し、多くの芸能人が常用していたことが、のちに明らかになっている。
その後、1950年(昭和25年)に薬事法で劇薬に指定、さらに翌年に「覚せい剤取締法」が施行されましたが、時すでに遅く、すでに覚醒剤はきわめて深刻に蔓延していた。
現在、処方箋医薬品として「ヒロポン錠」「ヒロポン注射液」の二種類が製造されているが、医療機関が覚醒剤を治療に使用する場合には、都道府県知事への事前の届け出義務があるなど、極めて管理が厳しい。
■サラリーマンも溺れる「覚醒剤」
2月26日発売の日刊ゲンダイに気になる記事が載っていた。
サラリーマンも溺れる「覚醒剤」の連載で、「第5回:留学、駐在で覚えてくるエリート」というタイトルだ。
早速、概要を紹介してみよう。
覚醒剤の検挙者はこの5年間の平均で1万1千人。働き盛りの30代と40代に増えている。
2014年の検挙者の割合は、30代が30.1%、40代が33.7%で、89年の24.5%、23.5%から確実に伸びている。バブルの頃に経験した人が、そのまま断続的にやっていることも理由だ。
もっとも下表のように、日本の薬物汚染は海外と比べたらかわいいものだ。
厚労省によると、アメリカの大麻経験者は41.9%。興味本位で大麻から始め、覚醒剤などより強い薬物に手を出す例も多い。今や連邦刑務所収監者の約半数が薬物犯罪者で、「刑務所が足りないから薬物の刑罰を軽くしよう」といった議論まである。
「アメリカでクスリを覚えてくる日本のエリートビジネスマンの話も聞く。留学した学生も同様です。そういう人は、頻繁に海外旅行するからわかります」(商社マン
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「国としては、学校などにおける薬物乱用防止教育の充実や乱用者の社会復帰の支援強化を図っています」(厚労省監視指導・麻薬対策課)
具体的には、どんな動機から薬物に手を出していったのか。20代女性は「シャブを使うと、ゲームを集中してできたり、大好きなアーティストのライブのDVDを見ているだけで、まるでライブ会場にいるような臨場感を得られる」と話し、また30代男性は「人間関係のトラブルから退職に追い込まれた。落ち込んでいた自分が、何事もなかったような気持ちになった」のを契機に始めたという人間関係のつまずきで薬物に手を出すのなら日本人全員が薬物乱用者でもおかしくはないが、きっかけはこの2人のように、ほんのささいなことのようだ。
日本でもいまだ新たな「危険ドラッグ」が次々と禁止薬物に指定されているように、危険ドラッグが入り口にもなっているという。
覚醒剤は興奮作用で知られ、血圧が上昇して集中力が増す。
歌手のASKAが覚醒剤所持・使用で逮捕された時に話した言い訳は『作曲活動に必要だった』でした。これを聞いて、『別に人を傷つけたわけじゃない』と何となく受け入れた国民もいたと思います。しかし、人を傷つけてからでは遅いのです」(薬物犯罪に詳しいジャーナリストの森鷹久氏)
甘い認識が第2、第3の清原和博をつくる。
清原和博に続いて、神奈川・葉山町議まで。覚醒剤汚染は広くサラリーマンにまで浸透している。
なぜ立派な大人が覚醒剤に手を出してしまうのか。容疑者の多くは警察の取り調べに「仕事の悩み」「将来への不安」を口にするが、それは表向きで、ほとんどは「セックスのため」だという。
薬物犯罪に詳しいジャーナリストの森鷹久氏がこう解説する。
「女性の場合は千差万別で、覚醒剤があまり効かないという人もいます。しかし、男性はセックス時の感度を高めるために使用している人が多い。清原容疑者はほぼ100%セックスのため。猛烈な快感と超人的な持続力を持つことができます」
覚醒剤を使ったセックスは、通常時の10倍以上もの猛烈な快感が全身を襲うという。薬効が切れるまで永遠にセックスし続け、相手がいない場合は血が出るまでオナニーし続ける。
ちなみに、ASKAと一緒に捕まった30代女性は、“あの際”に獣の咆哮のような声を上げていたというから、女性もうまくハマれば絶頂を超える絶頂を体感できる。
そして覚醒剤抜きの性行為は考えられなくなるようだ。覚醒剤は1回当たり0.02~0.03グラムを使用する。作用時間は約2時間で、長い人の場合は4時間ほど持続するという。この間は休憩も忘れて出し入れを繰り返す。まさにスーパーマンだ。
同じく、日刊ゲンダイの2月9日号の記事。清原容疑者にも数々共通点 「覚醒剤使用者」の特徴とは。清原容疑者もろれつが回らなくなっていた
「清原容疑者の眉毛を見て、これはやってるなと思いました」――。こう言うのは都内で深夜バーを経営し、覚醒剤使用者を数多く見てきた50代の女性だ。
「30代の覚醒剤使用者は男性のくせに暇さえあれば鏡を見て眉を整えていました。清原容疑者の眉が女性のように細く、形が整っているのは毛抜きで抜いていたからでしょう。
覚醒剤常習者は顔が土色で、頬がタケベラでそいだようにこけているのが特徴。肌は粉を吹いたように荒れています。クスリを打つと3日間も眠らずにいられ、その間食べ物も水も欲しくないので短期間で激やせする。逆にいくら食べても満腹を感じないため激太りする人もいます」
この女性によると、覚醒剤使用者の特徴は目に表れるという。まず中毒になると瞳孔が開き、目がギラギラした感じになる。その目を見られたくないので下を向きがちになり、他人と目を合わせたがらない。まばたきが極端に減る中毒者もいる。
汗が黄色っぽくなり、頭髪が白く変色。喉と唇がかわくのでやたら水分を欲しがり、しょっちゅう唇をなめるのも特徴という。
「清原容疑者は逮捕時の警察車両の中で額に汗をかいてました」とは裏社会に詳しいジャーナリストの鹿島一男氏だ。
「覚醒剤を打つと冬なのに寒さを感じず、むしろ暑がって汗を流す人がいます。清原容疑者も同じだったと思われます。ただし個人差があり、真夏の室内で寒がり、“エアコンを切れ”と言う人もいるのです。
今回、清原容疑者がイベントで司会者の質問の意味を理解できず、きょとんとしている映像がテレビで流れていますが、あれはクスリが切れかけで集中力が低下したせいでしょう。ろれつが回らなくなり、後遺症のある脳梗塞患者のようなたどたどしいしゃべり方をする人もいます」
このほか顔がどす黒く変色するのも覚醒剤使用の特徴とか。こうしてみると、清原容疑者は深刻なジャンキーといえそうだ。
覚醒剤やめますか? それとも人間やめますか?