安倍首相から「言論の自由」の証拠としてお墨付きをいただいた「日刊ゲンダイ」(2015.10.8版)によると、「第3次安倍改造内閣が7日、発足したが、閣僚名簿を見てハッキリわかったことがある。この内閣は長くない。そして、最後の安倍内閣になるだろう、ということだ」と断言している。
安倍首相は改造後の記者会見で「未来へ挑戦する内閣だ」「(この内閣で)未来を切り開く」と豪語、「経済政策を一層強化する」「世界の中心で輝く日本をつくりあげていく」と大仰なセリフを吐いた。その言葉と閣僚人事の落差には国民も唖然としたのではないか。
すでに破綻が明らかになっているアベノミクスの戦犯経済閣僚をそのまま留任させて、何が「経済優先」なのか。自分の派閥から4人を起用し、「お気に入り」と「お仲間」優先をエスカレートさせた人事で、何が「未来への挑戦」なのか。その他の新閣僚人事にも薄汚い派閥対策の政略が透けて見えて、適材適所とは程遠い布陣だ。
それなのに、仰々しいセリフで自画自賛する安倍首相には「国民を愚弄するな」と言いたくなる。もともと、舌先三寸のぺテン・イカサマ政権がますます、傍若無人化している。国民はそれに辟易しているのに、安倍首相は気づかない。こういう人事をすること自体、ヤキが回っている証拠で、だから、この内閣は長くないと言い切れるのだ。
「一言でいえば、意味不明内閣ですね。1億総活躍というスローガンも具体性がなく、よくわからない。とにかく、安保法案の強行で吹き荒れている逆風を沈静化させ、ほとぼりを冷まして、来年夏の参院選まで安全運転で乗り切りたい。こんな思惑なのでしょう。だから、中途半端な人事になる。自分のお友達のうち、大臣経験のない人を優先的に登用しただけの人事で、とてもじゃないが、長期政権を見据えたものとは思えません」(政治学者の五十嵐仁氏)
こんな改造内閣で内外に山積する危機的問題に対処できると思っているのか。だとしたら、早晩、そのツケは回ってくる。目玉の1億総活躍相に“身内”登用のいかがわしさ。
「広い視野と強い突破力が必要」とまで宣言した重量級閣僚がコレだ。唯一の目玉とされた1億総活躍相が、首相側近の加藤勝信官房副長官の昇格とは国民もズッコケたのではないか。
安倍首相の外遊時に後ろに立つ姿を見るだけで、ほとんど無名の加藤氏の名がクローズアップされたのは、あの「マスコミを懲らしめる」発言のチンピラ勉強会の後見役をやっていたことぐらいだ。元大蔵官僚で役人の習性には通じているのかもしれないが、当選6回以上の入閣待機組がゴロゴロいる中で、当選5回の加藤氏が初入閣できたのは、ズバリ安倍首相の“身内びいき”の最たるものだ。
「自民党内では『ああ、ゴッドマザー人事だね』ってみんな言っていますよ。加藤さんは加藤六月元農相の娘婿。元農相の妻で加藤さんの義母にあたる睦子さんは、安倍首相の母の洋子さんと親しく、2人は以前から加藤さんの初入閣を期待していた。母親たちの望みをかなえてあげたというわけで、安倍家と加藤家のための人事ですよ」(自民党ベテラン議員)もっとも加藤氏の上昇志向は相当のものだ。
「加藤さんは加藤六月氏の娘婿として後継者になるため、まず長女と婚約したのですが、それが破談になると次女と結婚した。ちなみに長女、つまり現在、加藤氏の義姉にあたる康子さんは、明治の産業革命遺産の世界遺産登録に関し、内閣官房参与に就任しています」(永田町関係者)
いやはや、安倍首相の政権私物化は看過できない域に達している。
政治評論家の野上忠興氏はこう言う。
「加藤さんは安倍さんに従順で抵抗をすることはないでしょうから、安倍さんのメンツをつぶしたり、恥をかかせることはない。安倍家と加藤家の関係もあるし、看板大臣として据わりがよかったのでしょう」
加藤氏の後釜の官房副長官にはこれまた安倍首相子飼いの萩生田光一氏。“情実人事”ばかりで、自民党内もシラケムードだ。(第3次安倍改造内閣(C)日刊ゲンダイ参照)
その兆候が明らかに現れている。
安倍内閣の性格はいくつもあるが、カネまみれ政権ということでも天下一品である。上図の△印のように、違法献金の疑いがあると報じられている大臣が12人もいる内閣をこれまで見たことがない。
調査を実施したのは読売新聞と毎日新聞、共同通信の3社。内閣支持率は読売が56%(前回54%)、共同は53.7(同49.4)といずれも微増しており、毎日は51%(同43)と8ポイントも上昇した。
世論調査自体の不信感もあるが、野党の追及の甘さや、マスコミのふぬけぶりにも原因があるのだろう。
そして公約を守らない「嘘つき内閣」。
内閣のメンバーを見ると、(カッコ内は副長官)
●神道政治連盟国会議員懇談会 菅義偉 石破茂 岸田文雄 塩崎恭久 中谷元 高市早苗 岩城光英 遠藤利明 森山裕 林幹雄 河野太郎 丸川珠代 (萩生田光一) (世耕弘成)(12名)
●みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会 菅義偉 石破茂 高市早苗 (萩生田光一)(3名)
●日本の前途と歴史教育を考える議員の会 安倍晋三 岸田文雄 高市早苗 (萩生田光一)(3名)
という右傾内閣であることは承知していたが、
●TPP交渉における国益を守り抜く会 中谷元 高市早苗 岩城光英 遠藤利明 森山裕 加藤勝信 高木毅 馳浩 林幹雄 島尻安伊子(9名)
というのはどういうことなのだろうか。TPPに加盟反対の大臣が9人もいるというのではないのかね。
そして、原発ゼロの会の河野太郎大臣は言い訳がきかないのではないだろうか。
問われる任命責任…島尻北方相「歯舞」読めないおバカぶり(日刊ゲンダイ2016.2.10)
島尻安伊子沖縄北方担当相(写真左)の9日の記者会見が、大問題になっている。
北方領土のひとつ、歯舞群島(右図)の「歯舞(はぼまい)」という漢字を読めなかったのだ。
島尻大臣は北方領土の元島民でつくる団体「千島歯舞諸島居住者連盟」が主催する北方領土ネット検定を紹介した際、手元の資料を読みながら「千島、はぼ……ええと、何だっけ」とストップ。そばにいた秘書官が「はぼまい」と伝えた。
さらに、島尻大臣は会見でこのネット検定の初級編を3、4年前に受けたことを明かし、「(点数は)恥ずかしくて言えない。これからまた勉強したい」と話したのだ。島尻大臣の事務所は「ちょっと慌ててしまったのか、度忘れしてしまったのでしょう」と説明しているが、島尻大臣は北方領土返還に向け、国民の世論を喚起する担当相。笑い話では済まない話だ。地元紙記者はこう言う。
「歯舞群島から根室の納沙布岬までの距離は、わずか3.7キロ。望遠鏡でも見える距離で、道民は『いつの日か、いつの日か』と眺めながら返還を待っている。北方四島の中で最も日本に馴染みがある島です。『歯舞昆布』は上質な昆布で最高級のダシが取れることで有名です。地元では『やはり、沖縄県選出の島尻氏は北方領土のことなんかどうでもいいんだ』という声が漏れています」この発言は外交にも大きく影響するだろう。安倍首相は5月にロシアのプーチン大統領と非公式会談をする方向だからだ。北方領土も議題に上がるはずだったが、担当大臣がこのレベルではロシアになめられるだけだ。
「現在は5月の会談に向けて、事務方同士が最終調整を行っている最中。今月15日には次官級協議も予定されています。そのタイミングでの今回の会見は、ロシアに『交渉する気はありません』というマイナスのメッセージを送っているようなもの。しかも、今月7日は『北方領土の日』でした。日比谷公園で行われた全国大会で、島尻氏は最後にあいさつもしている。安倍首相の任命責任を問われても仕方ありません」(北方領土に詳しいジャーナリスト)
もともと、沖縄選出の島尻氏を大臣に起用したのは辺野古移設の地元対策みたいなものだ。慣例で北方領土担当をくっつけた。高木下着大臣といい、甘利ワイロ大臣といい、丸川おバカ環境相といい、安倍首相の人事はムチャクチャだ。
いわき市議、福島県議、さらにいわき市長を歴任して国政に。第1次安倍改造内閣と福田康夫内閣で官房副長官を務めた、岩城光英法相(66歳、写真右)が、TPPについて全く理解していないことが明らかになった。
9日の衆院予算委員会で、外国企業と訴訟になった場合、国際機関と日本の最高裁判決のどちらが優先されるのか野党議員に問われたが、答えられず、審議が度々ストップ。岩城大臣はシドロモドロになりながら、「どちらも有効。当事者が選択することも可能だ」と答えた。竹下亘予算委員長も「答弁できますか?」と呆れ顔だった。
8日の予算委でも、「国際交渉だから法務省には答えられない」「国内では最高裁判決が優先する」と意味不明の答弁を連発していた。野党にとっては格好の標的だ。
丸川環境相は問題発言を謝罪
民主党政権が子ども手当法案の採決を強行した際、「愚か者めが!」と罵倒したのを機に「女ヤジ将軍」の異名を取った元テレビ朝日アナウンサー、丸川珠代環境相(写真左)も、問題発言を国会で追及され、謝罪した。
問題になっているのは、丸川大臣が7日に長野県松本市で行った講演での発言。 原発事故に伴う除染で国が長期目標として示している年間追加被曝線量1ミリシーベルトについて、「『反放射能派』と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だと言う人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと発言した。
しかし「1ミリシーベルト」は、民主党政権が、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づき定めたもの。科学的根拠は示されている。
9日の衆院予算委で追及された丸川大臣は、「もし誤解を与えるようであれば、言葉足らずであったということについてはおわびを申し上げたい」と陳謝した。
まだまだスキャンダルはてんこ盛りだ。
大臣ではないがイクメンで名をとどろかせた宮崎謙介議員。安倍首相は結婚披露宴で彼を将来の日本の指導者と持ち上げた。
それにしても、安倍内閣はおかしな人間ばかりが集まっている。1人としてまともな者がいない不思議な内閣だ。人選に問題がある。能力や資質、適性で選ばず、安倍晋三に近い考え方をした連中を優先して集めたからだろう。
何しろボスの安倍が国会でしかも、首相の席からヤジを飛ばすのだから前代未聞だ。
今、チマタの女子高生の間で「アベ過ぎる」と言う言葉が流行しているそうだ。意味は「他人の話が聞けない、聞かれたことに答えない&ごまかす」ことをいうようだ。
勇気のある人だ。今はこんなことすらしにくい世の中になった。
3月一杯でNHK「クローズアップ現代」のキャスター、国谷裕子さんが、テレ朝「報道ステーション」の古舘伊知郎さん、TBSの「NEWS23」の岸井成格さんも番組を降りる。
危険が一杯の世の中になりそうだ。何とかして反安倍の国民戦線を作っていこうよ。