方言について、「万葉集」に東歌・防人歌があるように、奈良時代からその存在は意識されていたそうだ。
平安時代には、京都の人間が地方出身者の方言を見下す説話が見られ、鎌倉時代には、関東にいる日蓮が、京都で修行中の弟子に手紙を送り、「京訛り」に染まらず堂々と「田舎言葉」を使うよう戒めているという。
戦国時代の史料によれば、東日本では「良う」「習うて」ではなく「良く」「習って」など、物言いが荒く鋭かったようだ。(朝日新聞5月30日号、商魂・夢想・交流・食事の歴史学参照)
方言にはとても興味がある。拙ブログの栄えある?第1作は第1話:日本の方言についてだったし、方言の魅力というテーマで投稿したこともある。
大辞林特別ページによると、日本の方言は大きく分けると「本土方言」と「琉球方言」で、そのうち「本土(内地)」は、東部(東日本)方言、西部(西日本)方言、九州方言と3つに分かれるそうだ。(下図)
自分は現在は横浜に住んでいるが、広島県出身で、九州や四国に住んだこともあり、東部方言はもちろん、西部、九州方言、すなわち、内地方言は一通り経験していることになる。
そのため「方言」には人より少し思い入れがあると思っている。方言で慣れるまで苦労もあったが、今では興味深いという思いの方が遥かに強い。
それで、広島弁という題名の作品もあるが、我ながら面白く、腹を抱えて笑うほどである。手前味噌であるが、是非一度ご覧あれ。![]()

方言を使った歌は、東北弁(特に津軽弁)、関西弁(特に大阪弁)、九州弁(特に博多弁)、沖縄弁が多いと思う。
今回はこれを中心に曲を紹介したい。
山形弁の歌声
その前に、民謡日本一の山形娘・朝倉さや(現在22歳)が歌う山形弁による曲から。
オフィシャルブログはhttp://asakurasaya.com/
朝倉さや/ロビンソン スピッツ 岩崎良美 タッチ
東北弁の歌声
吉幾三/俺ら東京さ行ぐだ(1984年)【津軽弁】
オヨネーズ/麦畑(1989年)【福島弁】
関西弁の歌声
藤島桓夫/月の法善寺横丁(1960年)
フランク永井/大阪ろまん(1966年)
九州弁の歌声
前田良一/でんでらりゅう【長崎弁】
森高千里/この街(1990年)【熊本弁】
○「でんでらりゅう」は元々は長崎県内に伝わる童歌。一説には長崎は丸山の遊女の歌とも。長崎くんちの出し物「本踊」や「阿蘭陀万才」でも使われている。
長崎市出身のシンガーソングライター達にも愛唱され、さだまさしによる長崎弁ラップ曲『がんばらんば』の歌詞で『でんでらりゅうば』を用いているほか、福山雅治のライブ(稲佐山・道標)の入場曲にもなっている。
『でんでらりゅうば』の歌詞は、標準語で解釈すれば「出られるならば、出て行くけれど、出られないから、出て行かないよ、行けないなら、行かないよ」といった若干謎めいた意味になるようだ。(Wikipedia参照)
○森高千里の歌う「この街」のこの映像では3分8秒頃に科白で熊本弁が出てくるが、これは彼女が熊本市出身だからである。方言が登場する歌として、たびたび引き合いに出される。
沖縄弁の歌声
古謝美佐子/童神(わらびがみ)(1997年)
上間綾乃/悲しくてやりきれない(2012年)
THE BOOM/島唄(1992年)
BEGIN/島人ぬ宝(2002年)