最近、すでに亡くなった父や母の夢を見ることが多くなった。奇しくも2月1日(日)に長兄の住んでいる愛媛県・西条市で母の13回忌を行う予定だ。
但し、まだ行けるかどうか分からない。長い間会っていない親族、ひょっとするともう2度と会うチャンスはないかもしれないと思うと、行きたい。
母は病弱で、50歳ぐらいから入退院を繰り返していた。それが92歳まで生き延びたのは奇跡的だった。自分は5人兄弟の末っ子だったので特に可愛がってくれた。
ところで、人間の命に限界があることは分かっているし、その日が着々と近づいていることは頭の中では分かっているものの、日頃はそんなことは考えず生きている。
それは、とりあえず「健康」であることと、そんなことを考える暇がないほど、毎日悩んだり、やらなければならないことが多いからだ。
自分も大病には何度か襲われたが、80歳の長兄を筆頭に、兄弟はみんな健在だ。両親の長寿のDNAを受け継いでいることに感謝したい。
不慮の事故や病気でお亡くなりになる記事を見るたび、人の命の不平等さを痛感する。
いつまで生きられるか
男性の平均寿命は前年の世界5位から4位に順位を上げた。世界一は香港の80.87歳だった。(右表参照)
しかし、本当の関心事は平均余命である。厚生労働省が発表した「平成25年簡易生命表の概況」は次表の通りである。
これを見ると自分の歳(65歳)の男性の平均余命は19.08年とある。すなわち84歳までは平均的に生きられるということだ。
いつまで働けるか
もう一つ大きな関心事は、いつまで働けるかということだ。
自営業には定年がないのがうらやましい。自分はこれといった趣味もないので「生涯現役」というか、健康が許す限りせめて70歳ぐらいまでは働きたいと思っている。
日本では定年があるのが当たり前という感覚があるが、世界では定年制度が禁じられている国もあるという。(世界の定年制―アジア~アメリカ~ヨーロッパ―参照)
アメリカでは年齢を理由とする事業主の差別行為は禁止されており、航空機のパイロットやバスの運転手など例外的に定年制を設けることが許される職業がある以外は、年齢を理由に労働者・雇用者を退職させることはできないそうだ。
カナダ、オーストラリア、ニュージーランドも同様に定年制は禁じられており、イギリスでも2011年10月から定年制が廃止された。イギリスが定年制を廃止した背景には、高齢化の進展に伴う年金支給開始年齢の引き上げがあるが、これらの国では、労働者が年齢に関わりなく働くことのできる権利を保障・保護するために定年制が禁じられているのだという。
一方、ヨーロッパ諸国の多くは、日本と同様に年金受給開始年齢に関連付けられて定年が決められている。フランス、ドイツ、オランダ、オーストラリア、スイス等々の国では、年金支給開始年齢=定年という考え方が定着しており、現在は概ね65歳。ただし年金支給開始年齢の引き上げが決まっている国では、定年年齢も引き上げが予定されている。
アジアにおいては、経済成長を続けている国が多く、また日本やヨーロッパ諸国のように高齢化が社会問題化しているという状況にはないため、定年が法律で定められている国は多くない。
法定定年年齢が設けられているのは、韓国(55歳)、台湾(65歳)、シンガポール(62歳)、マレーシア(60歳)など。ただ、これらの国々では、将来の高齢化を見据えた定年の延長や再雇用の促進策が近年とられるようになってきており、韓国では2016年1月までに定年年齢を60歳以上に引き上げることが法律で義務付けられたそうだ。(下図参照)
自分は昨年の3月で65歳になったのだから、少なくともそこで辞めなければいけなかったのだろうが、幸い今から4年前に役員になったものだから、「定年」という概念が無くなった。
社長や部下にはボケてきたらいつでも辞めるので、遠慮なく言ってくれと話している。ただし、本当に進言してくれるかどうかは分からない。
それでも、日本では年齢のプレッシャーが強い。
自分はとても幸運だが、日本は世界一少子高齢化が進んでいる国なのに、どうしてまだ働きたい中高年に対して冷たい国なのかと思う。
歳を取れば「年の功」というものがあり、若い人では出来ない仕事をこなしてきたという自負があるので、若いものに負けると思っていない。
そして、勘違いかも知れないが、能力は歳を追うごとにアップするものと信じている輩なので始末が悪い。
次の表は朝日新聞2014年8月19日号に掲載された、「何歳まで働くかをめぐる内閣府の意識調査(2013年)/日本人の平均寿命の推移/60歳以上の就業者数」
日野原重明氏が「新老人の会」で提言しているように、『老人』や『高齢者』という呼び名を変えて欲しいと本気で思う。
少年:5~17歳、成年:18~34歳(選挙権は18歳に変更)、壮年:35~74歳(定年は75歳に変更)、老年:75~99歳、百歳者(センテナリアン):100歳以上
ただ、いつも引き際を間違えないようにしなければならないと思っている。
今の会社を辞めたとしてもどこかで働きたい。
働いていいことはいくつもある。
規則正しい生活、適度なストレス、能力を磨く機会、多くの人との出会い…。
働かなければ自分は多分生きていけない。こんな人生もありだよね。
おやじとおふくろへひと言、「もう少しそっちへ行くのは待っててね」
吉永小百合/勇気あるもの
中島みゆき/ヘッドライト・テールライト