今はスターバックスを始め、セルフサービスのコーヒーショップが主流となり、最近ではファストフード店やコンビニエンスストアも入れ立てコーヒーに力を入れ、競争は激化するばかりである。
しかし、どうして注文していいのかわからない。セルフでどこかに100円を置いておくのだろうか。
それが違っていた。レジでブレンドコーヒーSサイズ100円を注文し、店員がドリップでコーヒーを出してくれるのだ。
もっと驚いたことがある。ここではカウンターが10席程度あり、ゆっくり座って飲める場所があるのだ。
横に座っていた年配の男性と話をした。毎日のように来ているらしい。そこに座っているのはほとんど常連の顔見知りばかりだそうだ。自分だって毎日が日曜日で、さして行くところがなければ同じ行動を取っていたかもしれない。
このコーヒー商戦に火をつけたのはコンビニで、最大手のセブン―イレブンが昨年(2013年)1月から展開を図り、これを追ってサークルKサンクスやミニストップも6月から全店で100円で売り出すなど、各社が販売を競っている。
コンビニがコーヒーに力を入れるのは、原価が安く利益率が高いからだ。さらに、これまで少なかった女性客に人気が高く、「コーヒーの購入客は一緒にパンやデザートも買うことが多い」と相乗効果も期待できるという。
コンビニでのヒットを見て、外食チェーンなども次々と参入。回転ずし大手「くら寿司」や、長崎ちゃんぽんの「リンガーハット」、たこ焼き店を運営するホットランドも、「銀だこカフェ」など。コーヒー商戦はますます熱気を帯びてきているようだ。(Wikipedia参照)
閑話休題。ここで、コーヒーを一杯。
霧島昇・ミスコロムビア/一杯のコーヒーから (1939年)
あべ静江/コーヒーショップで(1973年)
朝日新聞8月30日号の特集「原点復帰?今どき喫茶店事情」(上写真)によると、一方で、店員が注文を取りに来るフルサービスの昔ながらのスタイルも再び注目されている。
家族や仲間とゆっくりくつろぐ。地域のたまり場、サロンとして原点回帰を目指す動きも生まれているという。
■レトロな魅力再評価
そこまで古くはないけれど、昭和の薫りを漂わせるレトロな喫茶店が人気を博している。
「ひとりで行っても独りじゃない」感覚が、昔ながらの喫茶店の魅力だという。
だが、全国の街角から喫茶店がどんどん姿を消しているのも事実。全国の喫茶店数は、1981年の15万4630軒をピークに減少を続け、2012年には7万454軒と半分以下に。
その理由を問うと、経営者の高齢化と後継者不足、セルフ式カフェチェーン店との競合、商店街の衰退。さらにヘビーユーザーだった団塊世代の定年退職による常連客の減少や、外回りの営業マンの余裕がなくなり、休憩や時間つぶしによる利用が減ったことも影響が大きいと指摘する。
■増える中京スタイル
総務省の家計調査では、2人以上世帯での喫茶代支出の過去7年の全国平均は5,229円。昨年は増えているがそれまでは5千円台前半で推移してきた。
しかし、そうした状況下でも岐阜と愛知の両県だけは、全国平均の2倍以上を喫茶代に使う日本有数の喫茶王国で知られる。
中京地区では“ガチャマン景気”とも呼ばれた戦後の繊維産業の隆盛で、仕事の打ち合わせや、増加した若い工員の休憩などで、喫茶店が繁栄したといわれる。
その結果、愛知・一宮市が発祥ともいわれる全国的にも有名になった、各店が競い合うモーニングサービスと称する、コーヒー1杯分の値段で、朝の開店時刻から10時ごろまで、トーストやゆで卵をつけるサービスもはじめられ、気軽に“お茶”する生活習慣が根付いている。
そんな“中京スタイル”が今、全国へ広がりを見せている。
これに対抗する形で、ドトールコーヒーと日本レストランシステムが運営する中京スタイルの星乃珈琲店も急速に出店を増やす。東京都内の中心部で展開してきた銀座ルノアールも、2012年から、埼玉県などで同ジャンルのミヤマ珈琲を立ち上げ、フランチャイズでの全国展開も視野に入れている。
こうした店に共通するのは、店員が注文を取りに来るフルサービス形式。駐車場を備え、座席も余裕を持たせ配置されている。価格はセルフ店に比べれば高いが、その分ゆったりと長時間くつろいでもらおうという営業スタイルが特徴だ。
地元の人々の“たまり場”やサロンとしての機能は、おいしいコーヒーだけなく、元々喫茶店が持っていた役割のひとつ。仲間や家族と時間を過ごすという原点回帰が、活性化への鍵になるのかもしれないという。