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悲しい女の歌

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 「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉があるが、悲しい女の歌もその当時の世相を反映している。
 
 まずは、戦後間もないころの「悲しい女の歌」
 
菊池章子/星の流れに(1947年)
 
イメージ 2●この曲を作詞した清水みのる1979年、76歳で没)は、第二次世界大戦が終戦して間もない頃、東京日日新聞(現在の毎日新聞)に載った女性の手記を読んだ。
 
 もと従軍看護婦だった彼女は、奉天から東京に帰ってきたが、焼け野原で家族もすべて失われたため、米軍相手のいわゆる「パンパン」写真)、「夜の女」として生きるしかないわが身を嘆いていたという。清水は、戦争への怒りや、やるせない気持ちを歌にした。こみ上げてくる憤りをたたきつけて、戦争への告発歌を徹夜で作詞し、作曲の利根は上野の地下道や公園を見回りながら作曲した。
 
 完成した際の題名は『こんな女に誰がした』であった。GHQから「日本人の反米感情を煽るおそれがある」とクレームがつき、題名を『星の流れに』と変更して発売となったという。Wikipedia参照)
 


島津亜矢/岸壁の母(原曲は1954年)
 
イメージ 1●この曲を作詞した藤田まさと1982年、74歳で没)は、戦後シベリア抑留から息子の帰還船を待つ母親のひとりである端野いせ(写真)のインタビューを聞いているうちに身につまされ、母親の愛の執念への感動と、戦争へのいいようのない憤りを感じてすぐにペンを取り、高まる激情を抑えつつ詞を書き上げた。
 
 歌詞を読んだ平川浪竜は、徹夜で作曲、翌日持参した。さっそく視聴室でピアノを演奏し、重役・文芸部長・藤田まさとに聴いてもらった。聞いてもらったはいいが、何も返事がなかった。3人は感動に涙していたのであった。そして、これはいけると確信を得、早速レコード作りへ動き出した。
 
イメージ 3 レコーディングが始まったが、演奏が始まると歌手の菊池章子は泣き出した。何度しても同じであった。放送や舞台で披露する際も、ずっと涙が止まらなかった。『事前に発表される復員名簿に名前がなくても、「もしやもしやにひかされて」という歌詞通り、生死不明のわが子を生きて帰ってくると信じて、東京から遠く舞鶴まで通い続けた母の悲劇を想ったら、涙がこぼれますよ』この曲は、1954年発売と同時に日本中を感動の渦に巻き込み、100万枚以上の大ヒットとなった。
 
 なお、これには後日談がある。端野いせさんは1950年の引き揚げ船初入港から以来6年間、その都度東京から出てきては 帰還を願って舞鶴の岸壁に立ち続けた。 しかし、1981年、息子の生存を37年間も信じたまま、81歳で遂にこの世を去る。
 
 ところが、2000年になって生存が判明したのだ。ソ連軍の捕虜となりシベリアへ抑留、後に満州へ移され中国共産党八路軍に従軍、後に上海に居住して妻と2人の息子と暮らしていたことが分かった。運命は残酷だった。Wikipedia参照)
 


 別れの辛さを歌う、「悲しい女の歌」。
 
森進一/女のためいき(1966年)
テレサ・テン/つぐない(1984年)
 


 1970年代の「悲しい女の歌」。の辛さを歌う。
 
金田たつえ/花街の母(1973年)
グレープ/無縁坂(1975年)
 


 再び1970年代の「悲しい女の歌」。不幸ぐせの女を歌う。
 
五木ひろし/おまえとふたり(1979年)
ばんばひろふみ/SACHIKO 1979年)
 


 ちぼうけを食らった悲しい女の歌。
 
平野愛子/君待てども(1948年)
麻生よう子/逃避行(1974年)
 


 最後は、この曲。
 
梶芽衣子/怨み節(1972年)
 
イメージ 4 1972年から始まった篠原とおる(現在78歳)の漫画『さそり』を原作とした映画、「女囚さそりシリーズ」は、主演の梶芽衣子(現在67歳、写真の人気とあわせてヒット作となり、彼女の歌う主題歌怨み節」もヒットした。
 
 恋人に裏切られた挙句、冤罪によって収監された女囚701号こと「松島ナミ(さそり)」を主人公とした映画で、収監された刑務所内での看守や女囚による陰惨な私刑(リンチ)や陵辱刑事による暴力に超人的な精神力と忍耐力で耐え、「怨み」を蓄積していき、最終的には自分を陥れた男達へと復讐を遂げる、といったストーリー。
 
 梶芽衣子の熱狂的なファンであるクエンティン・タランティーノが、『キル・ビル』シリーズで、梶の歌う「怨み節」を使用している。(Wikipedia参照)
 



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