「汽車(Steam Locomotive、略称:SL)」は、昔は蒸気機関車のことを指したが、現在ではJRと私鉄の違いを表現するため(ちなみに私鉄は「電車」という)や、長距離の列車を指したりと、曖昧な使い方をされているようだ。
しかし、実用化には、1814年のジョージ・スティーブンソンの「ブリュヘル号」(写真右)まで待たねばならなかった。
当時の蒸気機関車は炭鉱に使われていた。最初の蒸気機関車は時速6.4kmで、30トンの石炭を運んだそうだ。
「汽車」をテーマにした曲は多いが、1960年代まで汽車は蒸気機関車のことを指していた。
まずは、定番といえる曲から。
童謡:汽車(1912年)
「汽車」は、童謡、文部省唱歌。作詞は不明(乙骨三郎という説がある)、作曲は大和田愛羅。
汽車(蒸気機関車が牽引する客車列車)がさまざまな場所を通り抜け、その目まぐるしい変化の面白さを歌っている。
1912年(明治45年)に刊行された『尋常小学唱歌 第三学年用』が初出。(Wikipedia参照)
汽車ぽっぽ(1927年)
「汽車ぽっぽ」は、1927年(昭和2年)に本居長世が作詞・作曲した。
発表当時、東海道本線は丹那トンネルが着工されていたが、まだ御殿場駅経由のルート(現在の御殿場線)で運転されていた。
蒸気機関車牽引の列車が最後部に補機をつけて、御殿場ルートの急勾配を駆け上がっていく様子をうたったものと言われている。(Wikipedia参照)
童謡:汽車ポッポ(1938年)
日中戦争は泥沼化し、軍事国家としての道を突き進む当時の社会情勢の中で、題名は「兵隊さんの汽車」、その中に乗っていたのは「僕ら」ではなく、「兵隊さん」だった。富原薫作詞、草川信作曲。
「スピードスピード窓の外」は、「僕らも手に手に日の丸の」であり、「走れ走れ 走れ」は「万歳万歳万歳」といった具合に、当時は「銃後の小国民たち」が、「出征する兵隊たち」を見送る内容で、戦後、現在のものに改められた。(Wikipedia参照)
*この2つの映像では「汽車ぽっぽ」と「汽車ポッポ」の題名が逆になっている。
「汽笛」の音を表す「ポッポ」はこんな曲にも使われている。
アルマ・コーガン/恋の汽車ポッポ(The Train of Love)(1960年)
三橋美智也/夕焼けとんび(1953年)「上りの汽車がピーポッポ」
1970年代のヒット作品。汽車は「別れ」の代名詞になっている。
はしだのりひことクライマックス/花嫁(1971年)「花嫁は夜汽車に乗って」
ちあきなおみ/喝采(1972年)「動き始めた汽車にひとり飛び乗った」
チューリップ/心の旅 (1973年)「あ~明日の今頃僕は汽車の中」
イルカ/なごり雪(1975年)「汽車を待つ君の横で」
堀内孝雄/遠くで汽笛を聴きながら(1976年)
岸洋子/希望(1970年)
「希望という名の あなたをたずねて 遠い国へと また汽車に乗る」
選曲に苦労をしたぐらい、「汽車」の歌詞のある曲が多く、汽車がとても身近にあることがよく分かった。