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高齢化社会

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 日本の高齢化現象が加速している。下図を見ると驚くべき戦後の高齢化のスピードが分かる。何と、1950年では65歳以上は総人口の5%でしかなかったのだ。
 
 総務省は9月14日、敬老の日に合わせて15日現在の高齢者の人口推計を公表した。
 
イメージ 1  65歳以上の高齢者人口が3,296万人(総人口25.9%)、70歳以上は2,383万人(同18.7%)、75歳以上が1,590万人(同12.5%)、80歳以上は964万人(同7.6%)。となり、いずれも過去最高。
 
 「団塊の世代」の1949年生まれが65歳になったのが一因で、4人に1人が高齢者8人に1人が75歳以上となる。
 
 男女別では、男性の高齢者が1,421万人(男性人口の23.0%)、女性が1,875万人(女性人口の28.7%)だった。
 

 また、5年ごとに行われる住宅・土地統計調査(2013年)によると、高齢者のいる世帯は2,086万世帯で、初めて2千万世帯を超えた。うち高齢者の単身世帯は552万世帯に達したという。


 何度もブログで述べているが、自分も高齢化社会の仲間に入っている。
 
 いつも図書館で借りている書物の中には必ずと言ってよいほど、老いについての本がある。
 
イメージ 2イメージ 3 今は、次の2冊だ。
 
 米長邦雄(2012年、69歳で没、左写真)の「六十歳以後<植福の生き方>(海竜社、2007年、右写真
 
 いわく、60歳までは「修行」のときである。60歳から「本当の人生が始まる」。第二の人生でも、余世でもない。ここからが勝負。一生懸命やらなければ幸せにならない。
 
 筆者は70歳で最高の恋をすると言っていたが、残念ながら69歳で亡くなった。


イメージ 4イメージ 5 竹田真砂子(現在76歳、左写真)の「美しき身辺整理」(新潮社、2010年、右写真
 
 いわく、年は「取る」ものであって「重ねる」ものではない。59歳までは年を「取り込む」、60歳以上は年を「取り除く」という意味で「取る」のである。
 

 重ねてはいけません。それまで身につけていたものを一つ一つ確認しながら、垢を落とすように取り除いて行くこと。これこそ、老人が心がけるべき最も重要な作業だと考える。


 人は歳をとればとるほど生に対する執着が強くなる。
 
イメージ 6イメージ 7 名郷直樹(53歳、左写真)著『「健康第一」は間違っている』(2014年、筑摩書房、右写真)は、飽くなき「健康欲」に対する警告書。
 
 日本は世界一の長寿国。2013年には日本人の平均寿命は男性が80.21歳、女性は86.61歳となり、男女いずれも過去最高を更新している。これはもちろん素晴らしいことだが、一方で私たちの身の回りは“健康長寿”のための情報であふれ返り、必死に健康に、もっと長寿にと突き進んでいる。

  「80歳をとうに越えたご高齢の方が、大好きな酒や甘いものを必死で我慢する。禁煙を守り通す。一生懸命運動をする。すべては、健康長寿のために。そんな患者さんと数多く接する中で、これが本当に正しい道なのかと疑問を感じるようになりました。健康長寿が悪いというつもりはありませんが、日本人はその果てしない“健康欲”と、どこかで折り合いをつける必要があると思うんです」

 日本人の生存曲線を見てみると、1980年代までは、50歳以降100歳にかけて徐々に死ぬ人が増えるという緩やかな曲線だった。これが近年、70歳過ぎまで線がおおよそフラットな状態で、以降急激に死亡が増えるという急カーブを描くようになっている「医療が進歩しても、死はいつか訪れます。
 
 つまり、日本人は長生きになった結果、高齢になると同年代が一挙に次々と死んでいくという、つらい現実を体験せざるを得なくなっています。このような状況の中でも、長寿大国である日本では、長寿を目指さず頑張らないことは非難されがちです。生き残った高齢者は、もっと長生きしようと努力せざるを得ないんですね」

 人間の3大欲求は性欲・食欲・睡眠欲といわれるが、これに勝るとも劣らない強い欲望が健康欲であると著者は言う。とくに食欲は健康長寿に大きく関わるが、これが暴走しそうになっても、ダイエットや生活習慣病などのキーワードが抑止力として働いてくれる。

 「ところが、健康欲には抑止力がない。どんどん健康になることを目指し、しかし実感としてなかなか満たされず、底がない。食欲に置き換えて考えると、大変危険であることが分かるでしょう」
 

 本書では、がんや認知症の早期発見にも疑問を投げかけながら、健康長寿を求めすぎるが故の弊害について考えていく。(日刊ゲンダイより)


 最後は9月15日の朝日新聞「天声人語」「敬老の日に向けて」のコラムから。
 
 しどけない、という言葉を耳にすることは最近あまりない。服装や姿勢がだらしないさまをいう。
 
 逆に、無造作にくつろいだ様子が魅力的にみえるという使い方もある
 
イメージ 8イメージ 9 哲学者の鷲田清一さん(65歳、左写真)が『老いの空白』(2003年、弘文堂、右写真)で、〈高貴なまでのしどけなさ〉と書いている。
 
 ローマの美術館のカフェでの光景だ。店の支配人は仕事を店員に任せ、ぼんやり外を見たり、壁にもたれたり、ぶらぶら歩きをしたり。その姿が実に優美だ、と
 
 支配人は何もしないことに慣れている。手持ちぶさたを紛らせようとはしない。お座りをしてじっと庭を眺める犬のような、妙な高貴さが漂う。他人の思惑などは眼中になく、ひとり超然とたたずんでいる
 
 この〈見事なまでの無為〉の境地が、私たちの老いには必要なのではないか。鷲田さんはそう問いかける。10年以上も前の著書だが、なお古びていない。もちろん理想ではあろう。だが、加齢に向き合う心の持ちようとして銘記しておきたくなる
 
 年をとるにつれ、人の記憶の配置というものは変わっていく。
 
イメージ 10イメージ 11 精神科医中井久夫さん(80歳、左写真『徴候・記憶・外傷』(2004年、みすず書房、右写真でそう指摘する。
 
 いわば縦並びから横並びへ。
 
 若い頃は日めくりカレンダーのような年代記だが、だんだん時間の順序があいまいな遠近法になり、最後は一枚の絵になる、と。単純化した話ではあっても、なぜか納得させられる。
 

 人生の記憶の画面を眺める無為の時間。それが手に入れば幸せといっていいのだろう。


 歳をとっての心構え。いろいろ考えさせられる。本当は、虚心坦懐で生きることが幸せなのだろうネ。
 
エディット・ピアフ/バラ色の人生(1946)
エディット・ピアフ/水に流して(私は後悔しない)(1960年)
 


ルイ・アームストロング/この素晴らしき世界(1968年)
ジョージ・ハリスン/美しき人生(1971)
 



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