2月22日に「春はまだかいな」という題名でブログを投稿したが、あれからもうすぐ1ヶ月。
●いよいよ春の到来か?
今週の3/14(水)の東京の最高気温は20℃を越し、春どころか初夏の暖かさ。いよいよ春の到来だとぬか喜びをしてみたものの、まだ朝夕は寒い日が続く。
この天気予報を見ると、春分の日の3月21日は最高気温が一けた台に下がるほど乱高下するそうで、今は着る服の選択に困る時期だ。
それが、本日(3/17)、東京都心で桜(ソメイヨシノ)の開花の発表があったようだ。
平年より9日早く、昨年より4日早く、1953年以来3番目に早い開花だという。(「東京 ソメイヨシノ開花」参照)
アンドレ・リュウ/さくら(原曲歌:森山直太朗、2003年)
●日の出と日の入りの時間帯の表現
5時台に仕事に出かける時間は、ちょっと前までは真っ暗だったが、今はすっかり明るくなった。
調べてみると、今は5時50分が日の出。約1ヶ月前の3月22日は6時20分で、30分も差がある。
ところで、日の出と日の入りの時間帯について、日本語にはいろんな表現があり、図にするとこんな感じだ。
■日の出は「夜明け」の時間。薄明(Dawn)というが、彼離時(かわたれどき)、明け方、暁(あかつき)、東雲(しののめ)、曙(あけぼの)、黎明(れいめい)などが同義語だ。
■日の入りは「日没」の時間。日の出のときと同じく、薄明(Twilight)というが、黄昏(たそがれ)、夕方、宵、日暮れなどが同義語。なお、日没後の時間帯を「薄暮」という。
●春の日は暮れそうで暮れぬ
「一人娘と春の日は暮れそうで暮れぬ」という言葉がある。一人娘は親が惜しがり、なかなか嫁に出さないというたとえ。
春の日は暮れそうで暮れないことから「暮れる」と、嫁に「くれる」をかけたものだという。
その反語として、「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」がある。
興ざめかもしれないが、実は春も秋も、日が暮れる時間は変わらない。だんだん日が長くなる春と、短くなる秋の印象がそんな言葉を生んだのだろう。
こんなヒット曲が。
南沙織/人恋しくて(1975年)【暮れそうで暮れない黄昏どきは】
●暮れなずむ春
イントロクイズのようだが、「暮れなずむ」という出足で始まる曲と言えば、すぐ頭に浮かぶのが海援隊の「贈る言葉」(1979年)だ。
「暮れなずむ」とは、日没どき、日が暮れかけてから暗くなるまでの間の様子で、「暮れ泥む」と書く。多くは春の夕暮れを表す。「泥む」とは物事が停滞することで、「春の日は暮れそうで暮れない」ということを言っている。
なお、たとえば「公園はすっかり暮れなずんでいた」という使い方は間違いで、それでは「日が暮れてしまった」という意味になってしまう。
海援隊/贈る言葉(1979年)【暮れなずむ町の】
●春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)
蘇軾「春夜」から、おぼろ月夜に花の香りが漂う春の宵のひとときは、千金にも値するほどすばらしいということ。「一刻」はわずかな時間、「千金」は千両・大金の意。
春は「霞(かすみ)」の季節。この霞は昼間の呼び名で、夜には「朧(おぼろ)」と呼び名が変わる。
NHK東京放送児童合唱団/朧月夜(1914年)
●春はあけぼの
清少納言(966年頃-1025年頃)は平安時代中期の日本の歌人、「枕草子」を著したことで有名。
「枕草子」に、「春は、あけぼの。夏は、夜。秋は、夕暮。冬は、つとめて。雪の降りたるは、いふべきにもあらず」と、四季のいいとこが書かれてある。
この「あけぼの(曙)」とは、夜がほのぼのと明ける頃のことで、夜空がほのかに明るんで「暁(あかつき)」の終わり、「夜明け前」のことを言う。
原文(本文)と、現代語訳(口語訳)は以下の通り。
■原文(本文):春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
■現代語訳(口語訳):春は夜がほのぼのと明けようとする頃(が良い)。(日が昇るにつれて)だんだんと白んでいく、山際の辺りがいくらか明るくなって、紫がかっている雲が横に長く引いている様子(が良い)。
滝廉太郎作曲/花【見ずやあけぼの 露浴びて】