●民謡の定義
邦楽の一種である日本の民謡は、古代から続く伝統的な歌唱曲の総称で、大部分は歌のみで楽器は加わらない。日本語の発声、韻から生まれたもので日本固有の音楽の原点といえる。
「民謡」という呼び名は明治時代半ば、民俗学など学問的な必要からドイツ語のVolkslied、もしくは英語のfolk songの訳語として創出された。それ以前は地域や時代により様々に呼ばれていたものを総称したものである。当時は里謡、俚謡とも呼ばれていた。
●民謡の名前
■節:ソーラン節(北海道)、津軽じょんがら節(青森県)、ドンパン節、おこさ節、秋田船方節(秋田県)、新相馬節、常磐炭坑節(福島県)、八木節、草津節(群馬県)、磯節(茨城県)、銚子大漁節(千葉県)、武田節(山梨県)、木曾節(長野県)、越中おはら節、麦や節(富山県)、山中節(石川県)、三国節(福井県)、郡上節、ホッチョセ節(岐阜県)、ちゃっきり節(静岡県)、尾鷲節(三重県)、淡海節(滋賀県)、宮津節(京都府)、串本節(和歌山県)、河内おとこ節(大阪府)、貝殻節(鳥取県)、安来節、しげさ節(島根県)、下津井節(岡山県)、ヨイショコラショ節(山口県)、よさこい節(高知県)、伊予節(愛媛県)、黒田節、炭坑節(福岡県)、唐津エンヤ―節(佐賀県)、ひえつき節(宮崎県)、鹿児島小原節、鹿児島ハンヤ節(鹿児島県)
■唄:草津湯もみ唄(群馬県)、日光山唄(栃木県)、吉野木こり唄(奈良県)、徳島麦打唄(徳島県)、箪笥長持唄(佐賀県)、関の鯛釣り唄(大分県)、刈干切唄(宮崎県)、日向木こり唄(宮崎県)
■小唄:三朝小唄(鳥取県)、おいでや小唄(愛媛県)
■踊り:阿波踊り(徳島県)、よさこい鳴子踊り(高知県)
■盆歌:相馬盆歌(福島県)、甲州盆歌(山梨県)、讃岐盆歌(香川県)
■おばこ:秋田おばこ(秋田県)
■おけさ:佐渡おけさ(新潟県)
■音頭:秋田音頭(秋田県)、花笠音頭、真室川音頭(山形県)、日光和楽音頭(栃木県)、秩父音頭(埼玉県)、東京音頭、東村山音頭(東京都)、伊勢音頭(三重県)、江州音頭(滋賀県)
■追分:江差追分(北海道)
■馬子唄:上州馬子唄(群馬県)、箱根馬子唄(神奈川県)、小諸馬子唄(長野県)- 追分節に発展。
■牛追い唄:南部牛追い唄(岩手県)
■舟歌:最上川舟唄(山形県)、松江舟唄(島根県)、音戸の舟唄(広島県)
■甚句(都々逸):名古屋甚句(愛知県)
■子守唄:中国地方の子守唄(岡山県)、島原地方の子守唄(長崎県)
■ユンタ:安里屋ユンタ(沖縄県)
■その他:大漁唄い込み(宮城県)、会津磐梯山(福島県)、岡崎五万石(愛知県)、大津絵(滋賀県)、関の五本松(島根県)、おてもやん、あんたがたどこさ(熊本県)、てぃんさぐぬ花(沖縄県)
●「三大~」のトリビア
■津軽三大民謡:津軽じょんがら節、津軽おはら節、津軽よされ節。なお、「五大民謡」はこれに、津軽あいや節、津軽三下りを加える。
■関東三大民謡:八木節、日光和楽音頭、秩父音頭
■千葉県三大民謡:木更津甚句、白浜音頭、銚子大漁節
■富山県三大民謡:越中おはら節、麦や節、こきりこ
■三大民謡:これは諸説あり、ここでは会津磐梯山、郡上おどり、阿波踊りとしておく。
■三大盆踊り:これも諸説あり、ここでは西馬音内の盆踊り、郡上おどり、阿波踊りとしておく。
●踊る民謡歌手
歌手自らが踊る民謡は少ない。ほとんど歌と踊りは分業しているか、踊っていても声を出すのは、ハヤシか音頭くらいだ。
歌って踊る民謡歌手の代名詞は「ゆさぶり民謡」で知られる、故・岸千恵子(1942-2011年、69歳で没、写真)である。
彼女は、津軽民謡の第一人者として全国的に活動を展開。ステージを所狭しと動き回り歌う「ゆさぶり民謡」と呼ばれる独自のスタイルで知られ、「千恵っ子よされ」(1985年)などがヒット。1988年には「津軽じょんから節」でNHK「紅白歌合戦」にも出場した。説によると、この「ゆさぶり民謡」のきっかけは、どうも二日酔いで歌ったときだという。惜しくも急性肺障害で6年前に亡くなった。
まずは、彼女の元気な歌と踊りを見てみよう。そして下の映像は山本謙司とのやり取りが大爆笑で、必見です!
岸千恵子/千恵っ子よされ(1985年)
岸千恵子&山本謙司/津軽あいや節
歌と踊りは分業していても、素晴らしい民謡はもちろん多い。
花笠音頭
阿波踊り
よさこい踊り
安来節
おてもやん
夏川りみ/安里屋ユンタ