前作で「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざを使った。しかし、これは必ずしもネガティブな表現ではない。企業でも「選択と集中」という事業戦略は大きなテーマであり、自社の資源を過信して事業を拡大すると失敗することが多いことの戒めに使っている。
ところで、前作では「二刀流」という表現を使ったが、「二兎を追う者は一兎をも得ず」に対峙することわざとして「一挙両得」「一石二鳥」というのがある。「才色兼備」というのもそうだろう。中国からの由来の言葉で「一箭双雕」(いっせんそうちょう)というのもある。「箭」は矢を意味し、「雕」は鷲を意味する。英語では、「Kill two birds with one stone. 」という。
一つの事象なのに見方を変えるとネガティブ(否定的)にも、ポジティブ(肯定的)にも捕えることができるというのが世の常である。
●ネガポ
本題からは横道にそれるが、5年前の拙ブログ・使ってみたい「ネガポ」な言い換えを思い出した。朝日新聞のbe土曜版、2013年1月26日号に、『使ってみたい「ネガポ(ネガティブとポジティブの略)」な言い換え』のランキングが載っていた。
以下がそのベスト5。
第1位:いいかげん⇒おおらか 第2位:気が多い⇒好奇心旺盛 第3位:つきあいが悪い⇒「No!」と言える 第4位:飽きっぽい⇒切り替えが早い 第5位:退屈⇒平穏無事 なお、「優柔不断⇒思慮深い」「気が小さい⇒謙虚」「理屈っぽい⇒論理的」というのもある。
「人は正論より、あたたかい言葉を求めている」。どうせ同じことを表現するなら、人が前向きになれる言葉を選ぶようにすれば、 人間関係を円滑に進めることが出来る。とても大切なことだよね。
閑話休題。
野球界で「二刀流」といえば、「打って投げる」選手のことだろうが、芸能界では、歌って踊れる歌手や、演じて歌える俳優・歌手で「一人二役」が出来る人のことを言うのだろう。
今回は、2回に渡って「歌って踊れる歌手・グループ」をテーマにしてみたい。第一回は「口パク」。
●光GENJI
歌って踊れると言われる歌手やグループは数知れないが、実際の舞台では息が切れて歌えないので「口パク」が多いと聞いた。
例えば、ローラースケートで踊りながら笑顔で歌っていたとされる男性アイドルグループ・光GENJI。「口パク」は当時から有名な話だった。
1987年、いずれもジャニーズ事務所所属の既存グループだった5人組の「GENJI」と、内海光司、大沢樹生の2人による「光」の2つのグループが合体して、「光GENJI」を結成。「STAR LIGHT」でレコードデビュー。ローラースケートを履いて踊り、バック転などもこなすアクロバティックなパフォーマンスがうけ、デビューしてすぐに人気が上昇、爆発的なブームを生み「最後のスーパーアイドル」と呼ばれ、その人気は経済誌などでも社会現象として取り上げられる。1988年には3枚目のシングル「パラダイス銀河」が第30回日本レコード大賞を受賞した。
光GENJI/パラダイス銀河~ Diamond ハリケーン
●ミュージカル映画の口パク
歌って踊れて演技するといえば「ミュージカル」になるが、ブロードウェイなどの舞台はともかく、映画では「口パク」が多い。
その主役は知る人ぞ知る、マーニ・ニクソン(1930 - 2016年、86歳で没、写真)。
数々の著名なミュージカル映画において、女優の歌唱シーンの吹き替えを担当していた「最強のゴーストシンガー」として知られる。
マーニ・ニクソンの名や容姿を知る者は少ないが、その歌声は映画ファンまたはミュージカルファンであれば、一度はどこかで聞いているはずである。
映画で誰もが耳にしている「Tonight」や「Shall We Dance?」を歌っているのが、実は彼女である。
その女優の特有の発音や声色まで似せて歌うニクソンは「最強のゴーストシンガー」としてハリウッドの業界関係者の間では有名であったが、吹き替えはトップシークレットであったため、長年にわたり彼女の存在を世の人が知ることはなかった。
しかしデボラ・カーが、自身の吹き替えをニクソンが行ったとインタビューで暴露したことから、彼女の存在が初めて浮かび上がることとなったという。
映画「王様と私」より、「シャル・ウィー・ダンス?」
映画「ウエスト・サイド物語」より、「アイ・フィール・プリティ」
映画「マイ・フェア・レディ」より、「踊りあかそう」
●口パクでも旬なグループ
萩野目洋子のヒット曲『ダンシング・ヒーロー』に合わせて踊る“バブリー・ダンス”が関心を集めている登美丘高校ダンス部。昨年末には紅白歌合戦にも出演して話題を呼んだ。
メイクをした姿はとても高校生には見えないし、とても部活動の踊りのレベルではない。
NHKBS1で毎週日曜日の午後6時から放映の「COOL JAPAN 発掘!かっこいいニッポン」(写真)は外国人の感性をフルに活かして、クールな日本の文化を発掘して、その魅力と秘密を探ろうという番組。
番組最後には、司会の鴻上尚史が一番クールだった、ベストオブクールを決定する。
「世界が驚いたニッポン! 2018」というタイトルの新春2時間スペシャルで、世界が驚いたニッポンについての投稿動画を外国人が扇を使って「Q:部活動はクールかノットクールか」を判定した。
結果、COOL:37 NOT COOL:19という結果だった。ただのクラブ活動に時間をかけるのはノットクールという意見もでたが、学校が活動の場を提供している環境を含め、クールだという意見も出た。
その大阪府立登美丘高等学校は、大阪府堺市東区にある公立高等学校(写真、地図)。