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雲を愛でる【その1】

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 今日(10月10日)はあいにく(?)雲一つない秋空だが、朝日新聞の昨日(10月9日)の天声人語に、次の記事が載っていた。

天声人語「雲を愛でる」

 秋雨の冷たさにコートを着たかと思うと、翌日は汗ばむ陽気で半袖に戻る。この時期の天候は何とも読みがたい。なるほど秋の空は移ろいやすいものである。

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秋は空が澄んで、雲の位置が高い。雲好きにはたまらない季節です」と語るのは気象予報士の武田康男さん(57)。長く千葉県内の高校で地学を教え、南極で越冬も体験した。いわし雲さば雲に秋を感じるが、この季節は何と言っても夕焼け雲(写真)だという。「黄から橙(だいだい)色をへて真っ赤に変わる。色彩のドラマは見あきることがありません」


イメージ 2イメージ 3時間の許す限り、天空を写す。飛行機の旅なら陽光や風向きを考えて席を選ぶ。観察のために北海道へ飛び、とんぼ返りすることもある。災害をもたらす危険な台風でさえ、空の研究には役立つ。風によってはレンズ雲(写真左)つるし雲(写真右)ど珍種が出現するからだ。

これまで虹やオーロラ、皆既日食を求めて米国や中国、エジプトなどを旅した。多くの国で市民が雲に寄せる関心は「雨が降るか降らないか」日本の人々は雲の形や色、流れ方を見て、世の移ろいを感じとってきたと話す。
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青空高う散る雲は繊(ほそ)い巻雲真綿雲、鳥の羽(は)のやうな靡(なび)き雲〉。北原白秋(1942年、57歳で没、写真)は一編の詩に十数種類もの雲を詠み込んだ。耳慣れない名ではあっても、その響きから空に浮かぶ姿を想像するのは楽しい。

日ごろ記事の締め切りに追われて、空を何日も見上げぬまま過ごすことがある。たまには立ち止まって雲の流れに目をこらしたい。せめて秋の好日くらいは。
雲の種類

 雲の種類は、雲形雲級ともいう)という、雲の形状により分類することが出来る。

 世界気象機関発行の「国際雲図帳」では、雲をその大まかな形から
巻雲、巻積雲、巻層雲、高積雲、高層雲、層積雲、層雲、乱層雲、積雲、積乱雲と、10「類」に分類しており、これを十種雲形(十種雲級)と呼ぶ

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秋の空

 空に浮かぶ雲は季節により大きな変化がある。

 「天高く馬肥える秋」という言葉があるが、は青い空が澄み渡り、上層雲である巻雲(すじ雲)、巻積雲(いわし雲、うろこ雲、さば雲)、巻層雲(かすみ雲)が中心となり、空が高くなるのが特徴だ。

 これは、夏は太平洋高気圧で湿った空気中の水蒸気に光が乱反射して白っぽく見えるのに対し、秋は移動性高気圧の乾いた空気のために澄み渡り、いつもより上空の雲までよく見えるからだ。だから、秋の月が美しく見え、お月見にも最適な時季なのだ。

 ところが、低気圧と高気圧が日本の上空を交互に通るため、お天気が変わりやすいのもこの時季の特徴で、これを変わりやすい人の心になぞらえ、「男心と秋の空」「女心と秋の空」と言うようになった。

 元は「男心と秋の空」と言われていたのが、大正デモクラシーで女性の地位が向上すると、恋愛の価値観も変わり、当時、一世を風靡した浅草オペラで、『風の中の 羽のように いつも変わる 女心…』と歌うヴェルディ作曲の歌劇「リゴレット」第3幕の「女心の歌」が大ヒット。以来、「女心と秋の空」と言われるようになった。

 「女心と秋の空」ということわざの意味は、 変わりやすい秋の空模様のように、女性の気持ちは移り気だということで、「男心と秋の空」ともいうことがあるが、男女によって意味合いに多少違いがあり。 男性は愛情の対象、好きな女性に対する恋心が変化しやすいということで浮気や不倫をしやすい。 女性の場合は感情の起伏が激しく、場面や時期でコロコロ気分が変わることを意味するという意味だという。

ルチアーノ・パヴァロッティ/歌劇「リゴレット」より「女心の歌」


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 朝日新聞「美しいと思う季節の日本語」(2012年10月6日)のアンケート調査で13位いわし雲(写真)が入り、読者から「いわし雲はのどかで幼いころを思い出します。父母に手をつながれて見たいわし雲、うれしくて今でも思い出すと手にぬくもり感じます」(埼玉、66歳女性)とあった。

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正岡子規(1902年、34歳で没、写真)は、俳句雑誌「ホトトギス」(1897年)の中で「春雲は綿の如く、夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く、冬雲は鉛の如く」と、季節の違いによる雲のことをこのように表現している。

 先の天声人語で紹介があった北原白秋の詩、白秋詩歌集第五巻童謡集」1941年(昭和16年)発行)より「雲の歌」の全文は、次の通り。        

 青空高う散る雲は 纖(ほそ)い巻雲(まきぐも)、真綿雲、鳥の羽のやうな靡き雲(なびきぐも) 白い旗雲、離れ雲。 

 一刷毛、二刷毛まだ寒い すうと幕引くレエス雲、日暈月暈(ひがさつきがさ)湿らせて 春さきの雲、氷雲。

 水脈(みお)の泡波、うろこ雲、はるばるつづく日の入りは いつも夕焼け、月あかり、雁が飛びます、わたります。

 日の輪月の輪かがやかす 高い層雲(かさぐも)、帷雲(とばりぐも)、灰いろ雲の濃い雲も たまには薄すり、青の帯。

 葡萄鼠の霧の雲、水と天(そら)との間(あい)の雲、風の層雲(かさぐも)、わかれ雲、地にはとどかず、棚の雲。

 寒い黒雲(くろくも)、冬の雲、かぶさりかぶさる雲の塊(くれ)、時どき、お母さんの眼のやうな 青いお空を透かしてる。

 むくりむくりと湧く峯は、雲のヒマラヤ、銀のへり、お経もらひか、天竺へ、犬、猿、坊さま、豆の馬。

 雷雲(いかづちぐも)はおそろしい、晝も神鳴り、旱り雲、宵には稲妻、朝は虹 おどろおどろの暴風雨雲(あらしぐも)。

 迅い飛び雲、日の光、それでも雨雲、乱れ雲、霙(みぞれ)がふります、雪がふる、ぱらぱら霰も(あられ)もころげます。         
マントヴァーニ楽団/碧空(YouTube)


トワ・エ・モア/空よ(1970年)




五輪真弓/空(1986年)

 




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