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長寿社会【その2】

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 前作、長寿社会【その1】で、日本が世界でも経験したことのない勢いで少子高齢化が進んでいて、2015年の日本人の平均寿命は女性87.05歳、男性80.79歳だが、33年後の2050年には、平均寿命は女性90歳男性84歳で、100歳以上は100万人を突破するという予想まであることをお伝えした。

団塊の世代

 何と言ってもその主役は、我々「団塊の世代」である。

 「団塊の世代」とは、第二次世界大戦直後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれて、文化的な面や思想的な面で共通している戦後世代のことである。

 連合国軍占領下の日本で誕生し、実の父親が戦死して母子家庭となった例や、本土空襲などの戦災体験がない世代である。また、昭和40年代にヒット曲となった戦争を知らない子供たち」に象徴される「戦争を知らない世代」「初の戦後生まれ」である。

杉田二郎/戦争を知らない子供たち(1970年)


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 その名前は、作家の堺屋太一(現在82歳、
写真)が通商産業省鉱山石炭局在籍時の1976年に発表した小説『団塊の世代』の中で用いたことから、「団塊の世代」という用語とともに、団塊の世代が日本社会に及ぼす大きな影響が一般にも認識された。なお、アメリカでも同様の現象が見られており、こちらは「ベビーブーマー」と呼ばれている。

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 確かにそのときは異常だった。

 学校は大幅な生徒数の増加に、急きょ「プレハブ校舎」(写真)を建てて対応を図った。

 自分の高校は11組あり、1クラス50名なので、1学年で550名も生徒がいた。

 当時は「受験戦争」と呼ばれるほど生存競争は厳しく、高石ともや「受験生ブルース」(1968年)の歌詞が他人事とは思えなかった。

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 一方で、地方農村や旧産炭地(ちょうどその頃エネルギー革命で多くの炭鉱が閉山した)の中学校・高等学校卒の若者は、高度経済成長期で働き口が豊富だった東京や大阪などの大都市へ集団就職(写真)した。

 彼らは「金の卵」と呼ばれ、工場や商店などといった中小零細企業で大勢雇われ日本経済の底を支えた。

高石ともや/受験生ブルース(1968年)


井沢八郎/あゝ上野駅(1964年)


団塊の世代と現在の出生数の違い

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 厚生労働省が6月2日発表した人口動態統計によると、2016年に生まれた子どもの数(出生数)は97万6,979人となり、1899年に統計をとり始めて以来はじめて100万人を割り込んだ。出産適齢期にあたる女性の人口が減り、少子化に歯止めがかからない。

 ちなみに「団塊の世代」の3年間の年間出生数は260万人を超えている

 1947年生まれは267万8,792人、1948年生まれは268万1,624人、1949年生まれは269万6,638人であり、3年間の合計出生数は約806万人にのぼるという。(右図参照)

団塊の世代が引き起こしている課題

 次は、総務省調査による2017年1月1日現在の日本の年齢別人口構成比のグラフである。

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 その中では、おおよそ団塊の世代に当たる65歳~69歳の人口が突出している。

 「団塊の世代」はいろんな問題を抱えてきた。

 まずは、かつて2007年問題」というのがあり、2007年になると団塊の世代が60歳の定年退職することで働き手が不足するという懸念があった。これは、法律の改正により、団塊の世代が基礎年金をもらえるようになるのは、63歳~65歳に引き上げられた。そのため、年金がもらえるようになる年まで、退職後も働き続ける人が多く、この問題はさほど深刻なものではなかった。

 さらに「2012年問題」という、雇用延長して65歳になり、年金をもらい始める年になると、仕事を辞める人が増えるのではないかという懸念が新たに生まれた。これも深刻なものにはならなかった。不況の影響により、技術力の低下というマイナス面がある一方で、人件費が削減できたというプラスの面もあるためである。 

 しかし、今後も大きな問題を抱えている。2022年頃以降には後期高齢者(75歳以上)となり、一定の部分は社会的入院や要介護者になり、年代とともにその比率は高まっていき、社会保険の負担がさらに増えるだろうと考えられているからである。
 昔は、長寿といえば敬われたものである。

 しかし、これだけ高齢者の比率が高まれば、逆に厄介者扱いされてもおかしくない。それでは、これから我々高齢者はどのような生き方をしたらいいのだろうか。

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 そのヒントを探して、現在、五木寛之(現在84歳、写真)のこの3冊を読んでいる。

 「嫌老社会を超えて」(2015年、中央公論新社)、「うらやましい死にかた」(2000年、文藝春秋)、「余命」2015年、祥伝社)である。

 次回は、この書籍の感想を中心に、老後の在り方について語っていきたい。

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