このテーマでもっと早く投稿する予定だったが、風邪を引いて寝込んでしまった。長い間風邪を引いた経験がなかった。昨年末退職後、生活が一変したことと、その間の疲れが溜まっていたからだろう。
就任前にトランプ大統領就任に対する憂鬱というテーマで投稿したが、いよいよトランプ氏がアメリカ大統領に就任した。もう5日目である。早速物議をかもしている。
もうツィターでぼやくことはないと思ったが、就任式後も行っている。フォロアーは2,000万人いるそうだが、ときの大統領がそんなことにかまけていいものか。もっとも、テレビによると、これは彼自身ではなく、iPhoneを使って、第三者が入力しているそうだ。
大統領就任演説の全文を読んだ。これもゴーストライターの作品だが、ほとんど予想通りだったが、素晴らしいところもある。こんなところだ。
「あまりにも長い間、ワシントンにいる一部の人たちだけが、政府から利益や恩恵を受けてきました。その代償を払ったのは国民です。ワシントンは繁栄しましたが、国民はその富を共有できませんでした。政治家は潤いましたが、職は失われ、工場は閉鎖されました。
権力層は自分たちを守りましたが、アメリカ市民を守りませんでした。彼らの勝利は、皆さんの勝利ではありませんでした。彼らは首都ワシントンで祝福しましたが、アメリカ全土で苦しんでいる家族への祝福は、ほとんどありませんでした。
すべての変革は、この場所から始まります。今、ここで始まっているのです。なぜなら、この瞬間は皆さんの瞬間だからです。皆さんのものです。今日、ここに集まっている皆さん、アメリカ中でこれを見ている皆さんのものです。今日という日は、皆さんの1日なのです。これは皆さんの式典です。そして、このアメリカ合衆国は、皆さんの国なのです。
本当に大切なことは、どの党が政権を握るかということではなく、政府が国民により統治されることです。2017年1月20日は、国民がこの国の治める日として、これからずっと記憶に刻まれるでしょう。この国の忘れ去られた人々は、もう忘れ去られることはありません。誰もが皆さんに耳を傾けています。何千万の人々が、歴史的な運動に参加しています。
今まで世界が見たことのない動きが起きています。この動向の中心にあるのは、とても強い信念です。それは、国は国民に奉仕するために存在しているということです。アメリカ国民は、子供たちのために素晴らしい学校を望んでいます。また、家族のために安全を、自分自身のために良い仕事を望んでいます。正しい人々、そして、正しい国民がそう望むのは正当で、当然のことです」
この「皆さん」と「忘れ去られた人々」の対象者がマイノリティを含めた人々であることを祈っている。
ただ、過去の否定と自慢話ばかりで、昨日の衆議院代表質問で、民進党の野田幹事長が言っていたように「自由、民主主義、人権、法の支配などの言及がなかった」
世界トップの国の指導者が「アメリカ・ファースト」といって、自分の国さえ良かったらいいと公言すべきだろうか。
彼が本を読んでいるのを誰も見たことがないそうだ。思慮に乏しく、儲けさえすればいいという考え方はトップとしての資質に欠ける。
身近なことに置き換えてみよう。過去の否定と自慢話ばかりは、安倍首相の施政方針演説や国会答弁と全く同じではないか。ことあるごとに前の民進党政権をなじり、実績の見えないアベノミクスを恣意的に自慢している。
一方で、マスコミ批判は日本とは事情が違う。
彼がマスコミを避けているのは、自分と考えが異なる人間との対話が出来ないからだ。
アメリカは腑抜けにされた日本の記者クラブと異なり、ナアナアの関係ではないからだ。日本は別の意味で反省しなければならない。
一方でこんな意見もある。
オリバー・ストーン監督(70歳、写真)「トランプ大統領、悪くない」 (1月24日、朝日新聞)
過激な言動で物議を醸すドナルド・トランプ氏が超大国のトップに就いた。政権批判の映画を世に出し続けてきた米アカデミー賞監督が「トランプ大統領もあながち悪くない」と意外な「評価」をしている。かつてはトランプ氏に手厳しい発言もしていたオリバー・ストーン監督に、真意を聞いた。
―米大統領選の結果はショックだったと米メディアに語っていましたが、ツイッターで「トランプを良い方向にとらえよう」とも書いていました。
「ヒラリー・クリントン氏が勝っていれば危険だったと感じていました。彼女は本来の意味でのリベラルではないのです。米国による新世界秩序を欲し、そのためには他国の体制を変えるのがよいと信じていると思います。ロシアを敵視し、非常に攻撃的。彼女が大統領になっていたら世界中で戦争や爆撃が増え、軍事費の浪費に陥っていたでしょう。第3次大戦の可能性さえあったと考えます」
「米国はこうした政策を変える必要があります。トランプ氏は『アメリカ・ファースト(米国第一主義)』を掲げ、他国の悪をやっつけに行こうなどと言いません。妙なことではありますが、この結果、政策を変えるべきだと考える人たちに近くなっています」
―トランプ政権下で、米国の介入主義は終わりを迎えると?
「そう願っています。米軍を撤退させて介入主義が弱まり、自国経済を機能させてインフラを改善させるならすばらしいことです。これまで米国は自国経済に対処せず、多くが貧困層です。自国民を大事にしていません。ある面では自由放任主義かと思えば、別の面では規制が過剰です。トランプ氏もそう指摘しており、その点でも彼に賛成です」
「トランプ氏はまともではないことも言います。かつてないくらいに雇用を増やすなんて、どうやって成し遂げられるのか私にはわからない。だがものすごい誇張だとしても、そこからよい部分を見いださねばなりません。少なくとも米国には新鮮なスタイルです」
「彼は、イラク戦争は膨大な資産の無駄だった、と明確に語っています。正しい意見です。第2次大戦以降すべての戦争がそうです。ベトナム戦争はとてつもない無駄でした。けれども、明らかに大手メディアはトランプ氏を妨害したがっており、これには反対します。トランプ氏がプラスの変化を起こせるように応援しようじゃありませんか」
―プラスの変化とは?
「例えばロシアや中国、中東、IS(過激派組織「イスラム国」)への新政策です。テロと戦うためロシアと協調したいと発言しており、これは正しい考えです」
―ロシアが米国にサイバー攻撃したとされる問題について、監督は疑義を呈していますね。
「米国の情報機関について私は極めて懐疑的です。米中央情報局(CIA)は長年、多くの間違いを犯してきました。キューバのピッグス湾事件やベトナム戦争、イラクの大量破壊兵器問題です。米国は世界をコントロールしたがり、他国の主権を認めたがらず、多くの国家を転覆させてきました。そんな情報機関をけなしているトランプ氏に賛成です。だが、そうしたことは社会で広く語られません。米国社会のリーダー層と反対の立場となるからです」
―リベラル派が多いハリウッドは反トランプ氏が目立ちます。
「そのリベラルと呼ばれてきた人たちが、ものすごい介入主義者と化しています。リベラルと言われるクリントン氏をみればわかります。民主党は中道右派となり、左派を真に代表していません」
以下、米政府による個人情報の大量監視を暴露したCIA元職員エドワード・スノーデン氏を描いた新作映画「スノーデン」のことを語っているが、それについてはここでは省略したい。
それにしても、トランプ氏に対する反発は収まりそうにない。
シュウォルツは、まさかトランプの選挙キャンペーンが成功するとは思いもしなかったので、さほど気にかけることもないと自分に言い聞かせていた。だが、演説の終盤になってトランプがメキシコ移民を「レイプ常習犯」と罵倒したとき、シュウォルツは不安に襲われた。かつてトランプをそのすぐそばで何百時間も観察したシュウォルツは、トランプの見せかけの長所と致命的な欠点を知り尽くしている。
だが、多くの米国人はトランプのことを天才的なビジネス感覚をもった、口は悪いが憎めない大物実業家だと思っている。「トランプは口を開けば嘘をつくのです」とシュウォルツは言う。「わたしの知る誰よりも、彼は、いついかなるときでも自分が言うことはすべて本当であるか、あるいは少なくとも本当であるべきだと信じてしまう能力をもっているのです」
自分の役に立っているうちは、トランプは誰にでも愛想よくしています。そして、役に立たないとわかるととたんに手のひらを返すのです。そこに個人的な友情などというものはなく、損得勘定でしかものを考えません。彼は、自分の利益になるかどうかしか眼中にない男なのです
とりわけ、父フレッドから受けた助力が最小限のもので、多くは独力で成功したかのように書いているのはその最たるものだという。トランプがかつて「労働者階級の人々はわたしを愛する。わたしが親の七光りではなく叩き上げで成功したことを知っているからだ」と断言したこと、『トランプ自伝』では裕福な家庭に生まれた人々を「ラッキー精子クラブ」と揶揄していることをバレットは指摘している。
今年、トランプは自らをホレイショ・アルジャー(立身出世の小説を多く書いた19世紀の作家)の登場人物に例えて庶民派であるとアピールした。だが、トランプがつつましい家庭に育ったとはとてもいえない。
父フレッドが所有していた物件の多くは中所得者向けだったので資産としては目立つものではなかったが、その不動産価値はかなりのものだった。フレッドが亡くなって数年後の2003年、トランプと兄弟たちが父親から受け継いだ不動産の一部を売却したが、その価格は5億ドルに上ったことが報じられた。『トランプ自伝』のなかで、トランプは父親を「わたしがもっとも重要な影響を受けた人物」と呼び、“辛抱強くやること”の大切さを教わったことこそが父親から受け継いだ最大の遺産だと述べている。
こんな四面楚歌の彼がどうして当選したのだろうか。
一つは、いま世界中に吹き荒れている自国中心主義、移民排斥運動の影響だろう。
そして、グローバリズムから取り残された人々、拡大する貧富の差への憤り(写真)に、もはや社会が耐えられなくなったこと。その原因を作った既得権益層に対する不信感だ。
親の収入によって受けられる教育が違い、学歴社会から取り残される。ハーバード大学の年間の授業料は何と700万円だそうだ。
得票数では300万人も差をつけられたのに勝ったのは、アメリカ中西部のラストベルト(地図)など、スイング・ステート(激戦州)を徹底的に攻めたことである。
白人労働者の不満を(不法)移民や自由貿易に責任を押し付けた戦略が功を奏した。
もう一つは、ライバルの不人気だろう。最終的には民主党候補のヒラリー・クリントン氏(写真)だ。
彼女は、女性初の米大統領を目指し、女性の社会進出を阻む「ガラスの壁」の打破を掲げていた。
それで、女性に対してはトランプの方が女性蔑視発言などで不利だと思っていたが、実はそうではなかった。肝心の女性に対する不人気が響いた。米CNNテレビの出口調査によると、白人女性の53%がトランプに投票していたという。
選挙終盤、夫のビル・クリントン氏を応援演説に立たせず、有名人を呼んで話をさせた。
夫の添え物ではないことを強調したかったのかもしれないが、多くの女性は、夫が援護してくれないような妻にはなりたくない。女性は男性に支えられて輝き、男性は女性に支えられて輝く。元モデルの妻や前妻との間にできた娘を登壇させたトランプ氏の方に、女性は共感したんだろう。(写真)
子供たちが選挙を支えた。
下図がトランプ一族だ。
ドナルドは億万長者である。酒、たばこ、マリファナをやらない、ドナルド・トランプの唯一の道楽は「女」である。
ドナルドは3度結婚しており
1.1977年にチェコスロバキア出身のイヴァナ・ゼルチコヴァ(イヴァナ・トランプ)と結婚し、1992年に離婚。夫妻の間には、二男一女(ドナルド・トランプJR、イヴァンカ、エリック)
このうち、トランプは才色兼備の長女のイヴァンカ(写真)を寵愛している。
1990年、夫ドナルドとモデルのマーラ・メイプルズとの浮気が発覚。1992年に正式に離婚するが、慰謝料を巡って裁判で泥仕合となり、衆目を集めた。正確な金額は定かでないが、彼女のこれまでの会社への貢献度を加えられ、2億ドルの現金、14億ドルの土地(コネチカット州)、フロリダ州パームビーチにある邸宅などを受け取ったとされる。マーラ・メイプルズは若い頃のイヴァナに似ているということ、離婚訴訟と並行してのドナルドの破産も大きな話題になった
2.2度目の結婚は1993年そのマーラと。マーラとの間にティファニーが生まれる。1999年8月に離婚。
3.3度めの結婚は、2005年、相手は24歳年下のスロベニア出身のモデル、メラニア・クナウス。翌2006年3月20日メラニアとの間に男児バロンが生まれる。
外国出身のファーストレディは旧宗主国のイギリス出身のルイーザ・アダムズに次ぐ史上2人目で190年ぶり(被植民地国以外としては史上初)である。(Wikipedia 参照)
大統領就任式でのラルフローレンの服装(写真)は好感度を高めた。
予想通りのスタート。脇が甘いのでこれからスキャンダルも出てきそうだ。
安倍首相は慌てて彼に会う必要はない。