会社では1歳しか違わない社長に次ぐ年長者である。「後進に道を譲らねば」というプレッシャーと毎日戦っている。
ご存知の通り、イチローは6月15日(日本時間16日)の敵地パドレス戦で日米通算4257安打とし、ピート・ローズ(現在75歳、写真)のメジャー最多4256安打を抜き去る大偉業を成し遂げた。
そして次の17日(日本時間18日)も、本拠地ロッキーズ戦で代打で出場し、中前安打を放ち、その後、プラドの二塁打で好走塁を見せて一気に生還。5-1の勝利に貢献。
今季、イチローの打撃は絶好調。4月は打率.333、5月も打率.316と好成績を残すと、6月はここまで打率.425と驚異の4割超え。スタメン出場した試合はここ5試合連続でマルチ安打を放っており、次なる金字塔へ42歳の勢いが止まらない。
偉業達成後のイチローのインタビューが興味深かった。
「ここ(ピート・ローズの最多安打記録)にゴールを設定したことはない。実はそんなに大きなことという感じは全くしていない」「それでも、チームメートだったり、記録のときはいつもそうですけど、ファンの方だったり、ああいう反応してもらえるとすっごくうれしかったですし、まあ、そこですね。それがなかったら、なにもたいしたことないです」
なぜ、ゴールに設定していないのか。
「日米合せた数字ということで、どうしたってケチがつくことは分かっている」「今回はピート・ローズが喜んでくれていたら、全然違うんですよ。でも、そうじゃないっていうふうに聞いているので、だから僕も興味がないっていうか……」
ローズも大リーグ記録は彼のもので変わらないのだから、でんと構えて、祝福のコメントを口にしていればこの記録を通して彼の株が上がったかもしれない。
「僕は子供のころから、人に笑われてきたことを常に達成してきている自負はある。例えば、小学生のころに毎日、野球を練習して近所の人から『あいつ、プロ野球選手にでもなるつもりか?』っていつも笑われていた。悔しい思いもしましたけど、でもプロ野球選手になった。何年かやって、日本で首位打者をとって、今度、米国に行くときに首位打者になってみたい。そんなときもやっぱり笑われた。でも、それも2回達成した。常に人に笑われてきた悔しい歴史が僕の中にはあるので、これからもそれをクリアしていきたい思いは、もちろんあります」
ところで、なぜ、マーリンズと再契約したのか。会見ではその一端がうかがえた。
「16年目なんですけど、米国に来て。途中、チームメート、同じ仲間であってもしんどかったことは、たくさんあったんですね。去年、このチームに来て、1年一緒にやって、今年は少しメンバーが変わったんですけど、チームメートとしては最高のチームメートとはっきり言える“子たち”ですよね。年齢差から言えば。本当に感謝しています、彼らに」
「同じユニホームを着た人に足を引っ張られないということは大きいですね。本当にいい仲間だと思います」
彼にとっても、長く働くのには、チームメートの要素が大きいということだ。
彼は50歳まで現役を目標にしているが、60歳まで続けたらという仰天記事が。
60歳現役説を唱えたのは米全国紙のUSA TODAY。同紙のボブ・ナイチンゲール記者はイチローについて、「彼は22歳の身体を持った42歳の選手。誰よりもシェイプアップされている。午前3時に寝て、午前10時か11時から練習する生活を続けている。50歳までといっているがその考えは捨てるべきだ。たぶん60歳までいけるのではないか」と伝えている。現状で体力的な衰えはまったく感じさせず、肉体年齢が20歳若いのだから、還暦でのプレーも可能だというのだ。
大リーグでプレーした最年長選手とされているのが、サチェル・ペイジ投手(1982年、75歳で没、動画)。1965年に59歳2か月で登板した。アスレチックスと1日契約を結び、マウンドに上がったという。
大リーグでプレーした最年長選手とされているのが、サチェル・ペイジ投手(1982年、75歳で没、動画)。1965年に59歳2か月で登板した。アスレチックスと1日契約を結び、マウンドに上がったという。
自分も現役を続けるためには、頭脳と身体を鍛えておかなくてはならない。そして、良い仲間と…。イチロー選手にはもちろん足元にも及ばないが、彼の生き方はとても参考になる。
今回は、イチロー(一郎)の歌を特集。
藤山一郎/夢淡き東京(1947年)
神戸一郎/十代の恋よさようなら(1957年)
若原一郎/おーい中村君(1958年)
荒木一郎/今夜は踊ろう(1966年)
鳥羽一郎/兄弟船(1982年)
水木一郎/マジンガーZ(2006年)