漫画原作者・城アラキ氏(写真)
「あなたが一番困った客は?」と、新しいバーに行くと必ず聞く。
「酒の知ったかぶり」は困るというより野暮。バーテンダーが知らぬふりをするのは客へのサービスだったりする。
「他の客のオーダーに口を出す」のは確かに困った客だ。「昔のラガブーリンはうまかった」と言ってにらまれたのは私だ。隣のカップルが偶然これを飲んでいるのに気づかなかった。でもカップル君、「ベタベタしたきゃ他に行け」。カウンターの中からは丸見えだよ。
「独り呑みの女性客に『一杯おごりたい』という」のも、君が見ほれるほどの二枚目でない限りやめるのが無難だ。
悲憤慷慨は酔っ払いの常だが、声の大きさにも限界がある。「他のお客さんの会話より大きくなったら要注意」。内容はもっと問題で、「悪口と猥談」は小声の時ほどよく響くと覚えておく。
「女性バーテンダーをオネーサンと侮って甘えぬこと」。実は誰より男っぽいよ。男でも女でもカウンターのバーテンダーはあなただけのものではないから独占しない。
長々と書いたのはこの時期だから。新卒サラリーマン君のバー・デビューに備えてだ。
少しだけ緊張した酒を飲む。自分が楽しむためではなく、一緒にいる誰かを楽しませるための酒を覚える。これも、新社会人としての大事なマナーだ。
多分上記について、自分はクリアしていると思っているが、さあどうだろうか。
それでは、今度はお返しだ。「あなたが一番困ったお店は?」と聞かれると、どう答えるだろうか。
少し考えてみた。一つに絞ることは出来ない。こんなところだろうか。
1.常連客ばかりと話をして、一見客は相手にしない。
2.いつも怖い客や気難しい客がいて、客に気を使う。
3.話題がお粗末で、時間の無駄。行っても何の足しにもならない。
4.常連になっても自分の趣向を覚えていなくて、何度も同じことを聞かれる。
5.店内で痴話げんかを始める。
幸い、最近はこんなお店に行ったことがない。もっとも、今は行きつけのお店が固定しているので「困った」ことがないからだが。
そういえば、今年はそんなに飲みに行っていない。酒量も減った。2日ぐらい続けて一滴も飲まないことも多くなった。
先週は1度だけ、今週も1度だけ。後は家で350mlか500mlのビール1本。慎ましい生活になった。
来週は2度予定している。別々の部下と飲む。そのうち週末の郡山の日帰り出張は楽しみだ。出張帰りの一杯飲み屋は堪らない。
それも健康だから飲める。お酒がおいしくなくなったり、ドクターストップになればお終いである。
いつまでもお酒を飲めるように、次のことを守っていきたい。
守って飲みたい、お酒のマナー10則
1. 笑いながら共に楽しく飲もう
2. 自分のぺースでゆっくりと
3. 食べながら飲む習慣を
4. 自分の適量にとどめよう
5. 週に2日は休肝日を
6. 人に酒の無理強いをしない
7. くすりと一緒には飲まない
8. イッキ飲みはしない、させない
9. 遅くても夜12時で切り上げよう
10. 肝臓などの定期健診を
西田佐知子/初めての街で(1979年)
内海美幸/酔っぱらっちゃった(1982年)
ちあきなおみ/紅とんぼ(1988年)