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ブラック研修

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 最近は「黒(ブラック)」という文字を使った言葉がよくやり玉にあげられ、可哀そうな気がする。

 中には黒字黒帯とか、いい意味に使われることもあるのだが、政治経済の分野では特に悪者にされやすい。

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 例えば、ブラックボックスブラックリストブラックサイトブラック企業

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 過去の苦い
「検閲」を思い出させる、黒一色に塗りつくされた公文書の数々はつい最近の出来事だ。これはTPP追及時の写真だが、築地の豊洲移転、森友・加計事件では「のり弁」(写真左)という言葉になり、「黒」はすっかり日本の隠匿文化の象徴として定着した感がある。

 1967年のことだったが「黒い霧解散」というのもあった。今度も「モリ・カケ」黒い霧解散と揶揄されても仕方がない。

 そして、ここのところせっかくの記録的「株高」なのに、その異常さに、ちょうど30年前のブラックマンデーの再来前夜かとささやかれている。

 ところで、朝日新聞10月16日に人格否定の「ブラック新人研修」とは 自殺で労災認定もという記事があり目についたので、その内容の一部を紹介したい。

 ゼリア新薬工業の新入社員だった男性(当時22)が新人研修中に自殺し、労災認定されていた。遺族が8月、記者会見して明らかにした。研修の一部を委託された会社の講師から、意に沿わない告白を強要されたことなどで精神疾患を発症。強い心理的負荷が自殺の原因と認められた。参加者の心を壊す研修の実態とは――。

 男性は2013年4月1日、ゼリア社にMR(医薬情報担当者)として入社。同10~12日、新入社員を対象にした「意識行動変革研修」を受けていた。

 「弱みをさらけ出せ」

 遺族や代理人弁護士によると、講師にそう迫られた男性は、吃音(きつおん)を同期の社員らの前で「告白」させられた。

 「吃音ばかりか、昔にいじめを受けていたことまで悟られていたことを知った時のショックはうまく言葉に表すことができません」

 「しかもそれを一番知られたくなかった同期の人々にまで知られてしまったのですから、ショックは数倍増しでした。頭が真っ白になって、その後何をどう返答したか覚えていません」

 男性は研修日記にそう綴ったが、参加者によると、感極まって涙を流す受講者も多数出る異様な雰囲気の研修だったという。

 その後も長時間の研修や自主学習を強いられた男性は同年5月19日、自宅に帰る途中で自殺した。男性の研修参加報告書には、講師が赤ペンで書きこんだコメントが残っていた。「いつまで天狗やっている」「目をさませ」

 「人格を否定し、それまでの価値観を破壊するような『ブラック新人研修』はこの10年間で増加傾向にある。ひどい労働環境でも辞めない様に、最初に順応させる狙いがある」という。…

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 ブラック研修」という熟語があることを初めて知った。

 若いころは営業マンだったので「営業研修」があった。その中の一つに精神力を鍛える研修もあった。一人一人がホースを持ち、大声をあげながら教室の床をたたいて回る。

 良かったという感想を述べる社員もいた。今から思うとこれもブラック研修だったのだろう。

 この件に関して、前作、気づきで社員研修のことに触れていたので、次に述べる自分が受けたある研修を紹介したい。

 「営業研修」の後階層別研修」を2回受けた。今から30年も前の30代後半、福岡営業所で係長をしていた頃の話だ。

 それがブラック研修かどうかは今でも分からないが、内容は朝日新聞の記事によく似ている。

 長い間勤めていた会社は、ある一社が階層別研修を一手に引き受けていた。年間ウンゼン万円払っていたという噂だった。 

 この研修を、彼らは「感受性訓練」と称していた。

 リクルートマネジメントソリューションズによると、「感受性訓練とは、別名ST(Sensitivity Training)と呼ばれ、周囲にいる人の気持ちや集団のダイナミズムを感じとり社会的感受性を高める訓練のことを指す。自他や集団の内面を診断し、場面に適した行動を自由にとれるようになることを狙っていて、1グループ10~15名前後で、面識がなく職業や年齢、背景などが異なるメンバーで編成されることが多い。 一般的には、トレーナーより議題や訓練の進め方が提示されることはほぼなく、受講者自らが訓練から何を得るか、訓練をどう進めていくかを考えなければならない」とあり、れっきとした学問のようだ。

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 研修の一環で、一人を受講生の集団で囲み様々な質問を投げかける場面がある。この写真は裁判所風景なのでちょっと違うが、こんな感じだ。

 虚勢を張らない素直な自分をさらけることを目的とするのだろうが、途中で気分が悪くなったり、泣き出す社員が出て来る始末だ。

 ある社員に対して講師は「あなたはもうボケている」と言っていたので、どうしてそんなひどいことを言うのかと聞くと、「彼にはそんなことを言っても気が付かない。それがボケている証拠だ」と言い返された。

 彼とは隣の布団で寝るので、その夜はどう声をかけていいのか困ったものだった。

 もう一つ鮮明に覚えていることがある。

 講師からみんなに「血液型の違いで性格が異なると思っている人は手を挙げて下さい」という問いがあった。

 誰も手を挙げなかった。自分は実はそう思っていない少数派(?)に属するが、そのとき手を挙げた。「みんな手を挙げないが、血液型の違いで性格が異なると思っている人は多いと思います」

 くだんの講師は語気強くこう言った。血液型の違いで性格が異なると思うのは、『宗教』と一緒で思い込みにすぎない」

 どのシーンで言ったか忘れたが、講師に対して堪忍袋の緒が切れて、遂に「こういう研修はいやだ」と言ってしまった。

 講師は、「この研修を理解しない人がいるのでは研修をする意味がない」と言い残して途中で帰ってしまった。

 その後、自分はその会社では7人いる人事部のマネージャーになった。

 人事部のマネージャーになると自動的に「トレーナー」という研修のサポート役を与えられる。

 ところが、自分だけは研修会社の反対に遭い任命されなかったのだ。

 その後会社に経営危機が訪れるといつの間にかこの研修は無くなっていた。

 一般的に3Kと呼ばれ、真っ先に経費削減のやり玉に挙げられる「広告費」「交際費」「教育費」のアルファベットの頭文字の「K」を取ったものの一つを地で行っていたのだ。

 この経験が「勇気ある勲章」だったのか「一生の恥さらし」だったのかは分からないが、あの頃も正しいと思えば我を通そうとする自分がいて、今となってみれば懐かしい思い出の一コマである。

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