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日本の大和言葉を美しく話す 【その2】

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 前作、日本の大和言葉を美しく話す」について書き足りないことがあったので、続編を。
 
 まずは、もう一度大和言葉クイズについて。
 
 次の16個の漢語とほぼ同じ意味の大和言葉は何でしょう。
 
 自分には難しくてヒントなしではほとんど答えられない。問題と、ヒントを載せる。
 
<問題>
 
イメージ 1

<ヒント>
 
イメージ 2

 ところが、ヒントがあっても答えられないものがある。
 
イメージ 31.地震…「ない」
 「ない」は「大地」という意味だったが、地震が起きることを「ない振る」といっているうちに「ない」だけで地震を指すようになった。ちなみに、「いわき」は秋の暴風、「いかずち」は雷のこと。
 
イメージ 42.常緑樹…「ときわぎ」
 「ときわ」は漢字で書くなら「常磐」か「常盤」。もともとは「とこいわ」で「変わることなく常にある大岩」と云う意味。それが「変わらず永久に続くこと」、さらには「樹木の葉が常に緑であること」も指すようになって「ときわぎ」という言葉が生れた。
 
イメージ 53.蝶…「かわひらこ」
 「かわひらこ」は、川の上をひらひらと飛ぶもの、という意味。ちなみに蛾は「ひいる」。これは「舞い上がる」という意味の動詞「ひいる」から生まれたという説がある。
 
イメージ 64.象…「きさ」
 昔の人は象を「きさ」と呼んでいた。ただ、日本列島に象がいたのは二万年前。そのころの呼び名が残っていたとは思えない。「きさ」は「木目」を指す言葉でもあるので、大陸から伝承した象牙を見た人が、表面にある細い線を木目のようだと思い、未知の動物である象のことも「きさ」と呼んだ、とも言われる。
 
イメージ 75.白鳥…「くいい」
 白鳥はかつて「くいい」「くぐい」「くび」などと呼ばれていた。鳴き声からつけられた名と考えられている。
 
イメージ 86.長円…「いびつ」
 「いびつ」は今では「ゆがんでいる」という意味だが、語源はご飯を入れる容器「飯びつ」。その形が長円だったので、長円形を「いびつ」と呼ぶようになり、円と比べると歪んでいる、ということから現在の意味が生れた。
  みんな知らない言葉だ。
 
 それから、「日本の大和言葉を美しく話す」の中から、気になる言葉をいくつか。
 
1.このうえなく
 たとえば、「街で○○さんを見かけたけど、チョー素敵だった」いまや老若男女を問わず口にする「チョー」。とても便利な言い方です。
 
でも、あまりに頻繁に使われるため、最近は、聞く人の心に響いている印象がありません。
 
「チョー」と言いたいときには、むしろそれを避けて、別の言葉で言ってみましょう。一番のお勧めは「このうえなく」大和言葉特有の柔らかさと穏やかさを持った言葉です。人や作品を評価する際に、「このうえなく素敵だった」「このうえなくおいしい」といった形で使ってください。
 
「それより上のものがない」という意味ですから、要するに「最高に」「最上に」ということ。漢語では表せない「あふれる思い」が伝わります。
 
2.いたく
 また、「心を打たれた」「感激した」と言いたいときには、より優雅な言い方あるので紹介しましょう。「いたく」です。
 漢字にするなら「痛く」。つまり、痛みを感じるほど強く心を打たれた、ということ。友達が親切にしてくれたときなどに「いたく心を打たれた」と言えば、照れくさいほどの深い感謝を表現できます。
 
3.こよなく

 もう一つ、「チョー」に代わる言葉を。
 
「懐かしむ」「愛する」という語の前に、その度合いを強調する言葉をつけたいときは、「このうえなく」よりも「こよなく」が似合います。「ふるさとをこよなく懐かしむ」「家族をこよなく愛している」言ってみてください。懐かしさや愛情の奥行きがぐっと増します。

 
藤山一郎/長崎の鐘 【こよなく晴れた青空を】
 

4.そぞろ歩き
 (スル)当てもなく、気の向くままにぶらぶら歩き回ること。
 
竹越ひろ子/東京流れ者(1965年)【そぞろ歩きは軟派でも】
 

5.たそがれ
 「夕刻」を表す大和言葉の代表は「たそがれ」です。語源は「あの人は誰?」と云う意味の「誰そ彼は」。つまり、薄暗くて、向こうから来る人が誰だか分からない、という心象を昔の人はそのまま時を表す単語にしたのです。この言葉のセンスは世界に誇れるものだと思います。
 
坂本スミ子/たそがれの御堂筋
ちあきなおみ/黄昏のビギン(1991年)
 

●大和言葉は、その響きが魅力の一つでもあります。
 
 大和言葉の音の特徴は、比較的平板で、すべての音韻の母音が、いわば「平等に響く」ことにあります。外国の人に聞くと「トヨタ」「はやぶさ」「かわいい」といった言葉を聞いたり発音したりするのはとても楽しい、まるで歌を歌っているようだ、といいます。
 
 それは一音ごとに「A」「I」「U」「E」「O」という母音がよく響いているからです。
 
われらがご先祖たちは、日本を『言霊(ことだま)の幸(さき)わう国』と呼んでいました。

 
言霊が栄えさせている国、ということです。たとえば万葉集には、柿本人麻呂のこんな歌が収められています。

 
しきしまの大和の国は 言霊の幸わう国ぞ ま幸(さき)くありこそ

 
分かりやすい現代文にするなら、「
この日本の国は、言霊、すなわち言葉が持つ霊的な力によって幸せになっている国です。これからも平安でありますように」
 
 古代の人々は、言葉に霊力が宿ると考える「言霊信仰」を持っており、美しい心から生まれる正しい言葉は、その言葉通りのよい結果を実現し、逆に、乱れた心から生まれる粗野な言葉は災いをもたらす、と信じていた。
 
 翻って現代の日本はどうでしょう。文法の乱れや流行語の多用も問題ですが、より深刻なのは、いわゆるネットいじめや、議会のやじ、ヘイトスピーチなどで使われる粗野な言葉。
 
 見聞きするたびに暗澹たる気分になります。
 
 少しでも美しい言葉を使う習慣を広げ、ご先祖様に対して誇れる国にしたいものです。
 
斉藤一人/日本は言霊の国
 

 全くの同感ですね。







 
 
 

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